知らないことばっかり。
019
ほぼ全力疾走で、男の子が廊下を走ってきた。
……何処かで見た覚えが無くもないような?
「……キア?」
「そうそう! キア、だよ!」
「あぁ! あの、学校のお便りを届けてくれたかたですよね!」
なんだ、レミスも知っていたのか。まぁ、もう一件お便りを届けるって言ってたからな。
肩で息をして、少し汗をかいている。相当走ってきたようだ。
「ちょっと、ライル君の、部屋に行こうか」
「僕の部屋ですか?」
「そう、ちょっとした世間話さ」
生まれてから、世間話、否、世界の情報に全く興味を示さなかった。と言うよりは、両親がそもそも世間話をしなかった。
転生してきた、この世界の情報を全く聞こうとしなかった俺も悪いんだけど、そういう話にならなかったなだよなぁ。きっと、俺はついていけないだろう。この、キア先輩のする世間話に……6歳の世間話に……
とりあえず、二人を部屋に招待したライル。
「どうぞ」
「うわぁ! 懐かしいなこの感じ!」
キア先輩、全く6歳に見えない反応をするよな。俺みたく、転生者だったりして。
しばらくの間、俺は無心でいよう。どうせついていけない話だ。
「それで、王都で……で、ここに……」
…………
「ちょっと! ライルってば! 聞いてるの!?」
「……え?」
「ライル、先輩が何の出身か訊いてるわよ!」
何の出身? 平民か、貴族かってこと? ……何でいきなり……はぁ、出来ればそう言う話しはしたくないんだけどな。
平民? まじか! 関わらないようにしようぜ。
とかなりたくない。
キア先輩がそう言う人じゃないことを願って……!
「えと、、」
「……フルネーム、ライル・リ・トリーユだよね? トリーユってことは、貴族かな」
出身を訊いてきたはずのキアは、易々と出身を言って見せた。
え? ……それはどういう……? 俺が貴族?
「あれ? もしかして、知らなかった?」
ニコニコと話を続けるキア。
コイツ、一体なんなんだ? 何で、俺のことを……
『お知らせがあります。ステータスを表示してください』
いきなり、視界にそんな通知が来た。
「うわぁ!? な、何だいきなり……ステータス?」
ステータスって何だ? 何のことを?
「お、夕飯の準備ができたみたいだね。食堂に行くとしよう!」
「そうですね!」
何の話? いつ、そんな連絡が入ったんだ?
「ん? ライル君、ステータス見れないの?」
呆然としているライルに、キアが話しかけた。
「すみません。ステータスってなんですか?」
そう、キアに聞くと、快く答えてくれた。
ステータスとは、自分の情報がたーくさん載っているものらしい。俺のような、もと中学生なら、そのくらいでも理解できるのだが、5歳児にその説明はいくらなんでも無いだろう。絶対理解できない。
ちなみに、魔力を視界に集中させることで、ステータスは見れるらしい。
なんと不思議な理屈だ。
今のステータスはこんなもの。
名前 ライル・リ・トリーユ
称号 貴族の長男 魔法学校1年
レベル 10
魔力 58000
体力 魔力に比例
属性 闇 炎 風
スキル 魔法陣 浮遊 聞き耳 観察 言語理解
魔法 属性のなかで、自由に作成可能。
つまり、『∞』
という。俺に理解できたのはここまで。
あとは、よくわからない。ま、先輩に聞けばわかるだろう。




