第47話。情報収集と遠足
ももは誠に肩を貸しながらやっとの思いで街の中に入ると、街の中は活気で溢れていた。
そこらじゅうから漂ってくる食物の匂いはいくら空腹を覚えない腹だと言っても、空腹の鐘がなる。
だがももはそれに見向きもしないまま、釘ずけのスノーを放って歩き出す。
道中ももは物凄くいたたまれない顔をしながら、その足を一歩一歩と運んでいた。
着いた先はお世辞にも綺麗とは言えない様な安宿であった。
「誠様・・・申し訳有りません今の手持ちでは・・・」
「構わない。1人寝れれば充分だ」
「申し訳有りません・・・」
スノーが遅れてやってきたところで現状を空気から察したが、あまりにも街の活気とは異様なその空気は重く淀んでおり、吸うたびに呼吸困難になった。
宿の扉を開くと大柄の女性が壁の様に立っており、無言で壁に書かれた料金を指差した。
ももは笑顔で金を払うとすぐさま、鍵を貰った部屋へと足を急ぎ誠を寝かせようとしていた・・・。
部屋の中は外見のみためのイメージと同じではなかったが、少しばかり小綺麗にした程度であった。
そこにももは誠を寝かせようとするが、何故か誠は寝ようとはしなかったーーーーー。
「誠・・・様?」
「ももお前が寝ろ。これは命令だ。俺は外で野宿する。」
「行けません!それはももが許しません!」
「ハハハッ随分と偉くなったなぁもも?」
「偉くなりましたよ誠様。誠様のお側に置いていただける程度には・・・。だからこそ・・・!!!」
「だからこそさ。スノーお前も、ももの部屋で寝ろ。今はお前も女の子だ。疲れたろう?少し休め」
「ですが誠様!」
「もも?これ以上俺に言わせるな。今は休めまた忙しくなる。休める時に休みなさい・・・」
誠はそう言うと覇気の無いミイラの様な肉体のまま外に出ようとするので、ももが静止しせめてと・・・白いローブを羽織らせた。
♪♪♪♪
「少しばかり街を歩くか・・・」
気が向いた誠は活気に溢れる街を歩くと、もう遥か彼方の昔にやったゲームの様な世界がそこには広がっていた。
まるで世界が原点に回帰したかの様に誠は目を見開いた。
体が衰えてなのか筋肉が無いからなのかブルブルと震えるが武者震いという事にして、歩いていると少し興味を惹かれる人間が居た。
ソレは周囲をキョロキョロと辺りを見渡しては、依頼を提示する店の店主の所を行ったり来たり・・・。
誰に話しかけるわけでもなくキョドリ・・・。
まるで昔の自分を見ている様でいたたまれなく気がつくと声をかけていた。
声を改めて出して気づいたが・・・
あまりにも枯れた枝木の様なその声は聞き取り辛く、醜かったーーーーー。
だがその少女は耳を一身に傾けて私の声を聞き取ろうと努力をしてくれたのであった。
「えっと・・・あの!その!私!すいません!・・・・・・・・・」
「落ち着いて・・・逃げやし無いから」
「はい・・・。私ここの店主さんの依頼を受け無いと職業テストの最終問題に合格出来ないのですが、その最低条件がPT2人組というのなんです・・・」
「ちょろまかして・・・1人でいけば良いだろう?」
「職業認定のテストを受ける人には、試験官が1人に対して1人着くので、それは出来ないのです・・・」
(だからそこと、そこと、そこから視線が降り注いでいるのか。目障りだ)
「それは・・・私でも・・・構わない・・・のかね?」
「は・・・はい!でも・・・狩に行くのはグラデビウスという・・・難易度C級の人牛魔です」
「依頼内容は・・・?」
「えっ・・・はい!これです・・・」
グラデビウスーーーーー。
特徴は赤い体毛に日本の牛の脚を持つ。
その腕に掴まれれば、大木は勿論巨大な岩ですら粉々になる。
グラデビウスは牛と人のハイブリット種。
その角を手に入れて、店主の元へと運ぶのが最終試験です。
指定場所のグラデビウスは街に降りてくる危険性が高いので、殺して頭を刈り取って持ってきた生徒は特別に報酬を差し上げます。
頑張れ。
なんとも傲慢な人間の解釈だ。
グラデビウスーーーーー。
私の脳内で構築したあの生物と一致すれば温厚で優しい魔物だ。
思い当たる生物は数百体いるがこの少女が倒せる程度と考えればあの子しか居ない。
その角は難病に効く薬として重宝されるはず。
グラデビウスは木の実を食べて生活するが、木々を傷つけたり、刈ったりすると血が頭に上る性質があるのが欠点だ。
一言もどうせ人間は断りを入れずに開拓を始め森を削ってグラデビウスの痛い洗礼を受けたのだろう・・・。
さてーーーーー少し興味が湧いた。
この世界が私が構築した世界とどれだけ違うか見ものだな。
「なら・・・私が参加・・・しよう」
「で、でも!私僧侶なんです!」
「後ろで見てれば良い。戦うだけが先頭の基本では無いよ・・・。案内お願いして良いかな?」
「はいっ!」
「お嬢さんお名前は・・・?」
「エルベルタ・クルミです。良ければクルミとお呼びください・・・」
「私はクラーマ・マコットだ。マコとでも・・・呼んで・・・くれ」
「ふふっ変な名前・・・っ⁉︎ごめんなさいごめんなさい!」
「良いよ・・・良いよ。気にしないで・・・くれ」
誠は気長にその少女を宥めると、少女とそのグラデビウスと呼ばれる魔物が生息する場所へと案内を頼んだ。
少女の足取りは早く、その服装に似合わない速度を出していた。
服装は見習いではあるが一応僧侶であり、見習いであるからか木の杖をつきながら歩いていた。
なんとも可愛らしい僧侶さんであると思いながら少しばかりの遠足を誠は、辛い体に鞭を打って情報収集を開始したーーーーー。
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