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一生一緒。  作者: ハスダ
7/7

7 中1×高3

8月になり、雅史の誕生日のお祝いをした。初めてのお祝いだから、壁に飾り付けをして雅史の写真を撮った。雅史はとても嬉しそうに笑っていてこちらまで癒された。写真はパパ、ママ、雅史の3人と、私、翔祐君、雅史の組み合わせで撮影した。なんだか本当の夫婦とその子供のようで嬉しかった。

「雅史、おめでとう。」

翔祐君は雅史のプレゼントに1才児用のおもちゃをプレゼントしてくれた。

「翔祐君と由紀奈のおかげで大変な時を乗り越えられたのよ。本当にありがとう。」

パパ、ママは翔祐君に本当に感謝していた。やはりママ1人だと大変だし、パパも仕事で土日くらいしか面倒は見れなかった。私達がフォローしていたのがかなり役にたったようだ。

「これくらいなんとも。僕が雅史君大好きだし。それに、由紀奈との将来の練習になってるからこっちも助けられてるんです。」

私達が何歳で結婚して何歳で子供を持つかはわからないけど、この経験がいつか活かせたらいいな。



そして8月といえば、今年もまた花火大会が開催される。去年は嫌な噂に惑わされて花火をゆっくりと堪能出来なかったけど、今年はもう大丈夫。だから素直に楽しもうねって翔祐君と話した。今年も浴衣で行く予定にしていたが、早希ちゃんに話すとちょっと大人っぽくしてみたら?と言われた。

「でも私、ヘアアレンジとか苦手だからどうしたらいいのかわからなくて。」

相変わらずロングヘアだが、不器用なのでいつも地味な髪型になっていた。

「それなら出かける前の準備を手伝うよ。由紀奈には助けてもらったからそのお礼にね。」

「いいの?」

早希ちゃんだって豊君と行くから準備したいはずなのに。

「浴衣も着ないし、いつもと同じような格好で行くから大丈夫だよ。」

たしかに早希ちゃんはいつもオシャレだから、わざわざこの日の為に気合を入れる必要はなさそう。私もこんな風に自分で出来たらいいのになぁ。



花火大会当日、早希ちゃんに家に来てもらった。浴衣はすでに着ていたので、あとは髪型だった。

「こんな風にしようと思うけど、どう?」

見本の画像は派手に見えたけど、浴衣と合わせるならこれくらいにしても違和感は無いと思った。

「なら早速始めるね。」

いつもと違う自分になったら…翔祐君はどう思うのだろう?楽しみではあるけど不安もあった。

早希ちゃんはとても上手にヘアアレンジをしてくれて、美容師がやったかのような仕上がりになった。

「翔祐さん、きっと惚れ直すね。せっかくだから口紅も塗ろうよ。」

最初に赤を塗ってみたけど似合わなかった。今度はピンクの口紅を塗ってもらった。これは似合っていて本当に素敵に見えるけど、いつもとかなり違う自分になってしまった。

「いつもと違っても大丈夫だよ、翔祐さんは由紀奈を愛してるんだから!」

愛してるなんて大袈裟だな…。

「うん、早希ちゃんありがとう!」

「あ!もうこんな時間!私はそろそろ行くね!」

早希ちゃんを見送り、両親に今の姿を見せるととても喜んでくれた。ママは、早希ちゃんはセンスがいいね、と羨ましがっていた。




そして翔祐君と出かける時刻になり、家から出た。

「ゆき…。」

翔祐君は私を見た途端に驚いていた。

「ど、どうした?そんな綺麗になるなんて。」

「早希ちゃんにやってもらったの。」

「へえ、さすが早希ちゃんだ。」

翔祐君は今年も甚兵衛を着ていてかっこよかった。

「翔祐君、惚れ直したんじゃない?」

パパ、ママが翔祐君の反応を楽しそうに見ていた。

「本当、惚れ直しましたよ。他の男に取られなきゃいいけどなぁ。」

そう言って照れる翔祐君。いい反応で本当に良かった。


花火大会はやはり去年と同じくらいの人混みだった。はぐれないように翔祐君と手を繋いでいた。

「そういえば、去年は由紀奈の身長が伸びた頃だったね。毎年この時期は由紀奈の成長を感じるようになるのかも。」

「そうだよね。もう1年前になるんだね。懐かしいなぁ。」

1年前、噂に惑わされて逃げ回ったことを思い出した。見た目は成長しても、精神的には幼かった。でもその後プロポーズを受けて津和野でも結婚式をやったからか今の私には何の不安もなかった。


予定通りに花火が打ちあがった。やっぱりこの花火は本当に綺麗だなぁ…。毎年こんなにお客さんがたくさん来る理由もわかる。そして今年は中学生になったから、最後まで見てから帰ってきていいよと両親に許可をもらった。初めて翔祐君と最後まで花火を見ることが出来て、本当に良かった。

「ねえ由紀奈…。」

プログラムがすべて終了したので帰ろうとしたが、翔祐君が何か言いたげだった。

「どうしたの?」

「去年由紀奈が逃げた場所があるじゃん。そこに行かない?」

私が逃げた場所という言い方が変な感じがしたが、人混みがすごくてすぐに帰れそうにはなかったので行ってみることにした。

やはり去年と同じで人気がなかった。というか何もない場所なので人が来るはずもなかった。

「この場所でキスしたね。ずっと一緒にいるって誓いながら。」

たぶん、あの時初めて自分からキスしたなぁ…。ぼんやりと当時のことを思い出していると、翔祐君にきつく抱きしめられた。

「翔祐君?」

「ごめん、我慢出来そうにない。」

翔祐君はそのまま私にキスした。でもそれはいつもと違った。あの日と同じ…初めて体を翔祐君に許した日と同じものだった。

「翔祐君?ここ外だよ?」

「どうせ誰も来ないから…ちょっとだけ。」

外だよ、と言いながらもやめてほしくなかった。浴衣の中に手が入ってきた。洋服と違って帯で締めてるだけだから、もし部屋の中だったら簡単に脱がされてる、なんて考えてしまった。

だけど、人の声が聞こえた…。さすがにこの人混みだと絶対に来ない保証は無い。翔祐君はハッと冷静になった。

「はぁ…俺何やってんだか。こんな場所でごめん。」

「大丈夫だよ。」

ちょっとだけ浴衣がはだけたけど、手で簡単に直せた。

「由紀奈が悪いんだよ、そんな綺麗になっちゃうから~…。もうオシャレしちゃ駄目。」

冗談っぽく言われた。こんなに喜ばれると思ってなかった。

「翔祐君、今日はとりあえず帰ろ?続きはまた明日にでも。」

「明日なら母さんいないから俺の家ね。」

まさかこんな約束しちゃうなんて。


その日は無事に帰れたけど、お風呂に入った後の顔を見てさっきの華やかさとは程遠いことに気づいた。明日になったら地味な私を見てやっぱりやめようってならないかな…?


「ゆーきな。待ってたよ。」

翌日、翔祐君の家で宿題をするからと言ってから出た。翔祐君は昨日の私の心配など吹っ飛ばすように抱き着いてきた。

「パパとママには宿題するって言って出てきたの。」

「ならちょっとでも宿題やらないとね…でも後でいいよね?」

「うん…。」

翔祐君は本当に昨日の続きみたいにキスしてきた。






「翔祐君、あのね…。」

「んー?どうした?」

事が終わってもしばらくベッドの中にいた。翔祐君は幸せそうな顔で私の頭を撫でた。今日はこのままゆっくりと話す時間がありそうだ。

「昨日帰った後にね、髪もメイクも落としていつもの自分の顔を見た時に、翔祐君が幻滅するかもって心配になったの。だから今日こうして続きが出来て嬉しかったの。」

「幻滅するわけないじゃん。俺、由紀奈のこと愛してるから。」

愛してる…。早希ちゃんが昨日言ったのは大袈裟だと思っていたけど、大袈裟なんかじゃなかった。

「それに、昨日のは通過点だよ。いつもに増して綺麗になってたから…。由紀奈、中学に上がってからますます魅力的になってるから他の男に取られないか本当に心配なんだよ。」

「他の人が来ても翔祐君がいるから、って言うもん。」

翔祐君、いつもその心配してるんだよね…。私が他の人のところに行くわけないのに。

「なら大丈夫だね。達也の時だって跳ね飛ばしたもんね。」

「いつの話してるのよ。」

達也君は同じ中学に通っているけど、クラスが離れてから喋ってない。でも私たちのことを応援してくれてるから大丈夫。





楽しかった夏休みが終わり、二学期に入ってから2週間が過ぎた頃。勉強と遊びと雅史の世話に忙しかったが、私はあることに気づいた。

生理が来ていない…。

どうしよう…前回から1ヶ月は絶対に経ってるのに。

誰に言う?ママに言う?それとも翔祐君に思い切って話してみる?ちゃんと避妊してたのに…。

私はテンパってしまい、インターネットで中絶の費用やもし産んだらいくらかかるのか等と検索していた。そもそもまだ妊娠と決まったわけじゃないのに何を調べてるんだか…。

「雅史…。」

もし産んだら雅史とそんなに変わらない。8月に雅史の誕生日会で一緒に写真を撮った写真を見た。夫婦とその子供みたいに見えてすごく幸せな気分になれた。もし妊娠してたら確実に翔祐君の子だし、子供の存在があればきっとずっと一緒にいてくれる。不安はあったけど…翔祐君との未来があるなら妊娠しててもいいと思えた。

「由紀奈?」

「わ!ママ!」

「何驚いてるのよ。」

心の準備が出来ていないので驚いてしまった。

「由紀奈、来週に由紀奈と翔祐君の誕生日パーティしようと思ってるんだけどいいかな?」

「うん、大丈夫だよ。毎年ありがとう。」

「去年はたしかお寿司とかケーキを食べたけど、今年はどうする?」

お寿司か。もし妊娠してたら…生ものは危ない。

「最近、お寿司は太るって噂があるから別のものがいいなぁ。オードブルのセットなんかどうかな?」

「そんな噂があるの?何食べても太る時は太るわよ。」

ママは笑っていたが、私は深刻に悩んでいた。ずっと一緒にいれるかもしれないけど、まだ働いてもいないし、翔祐君だって大学受験に向けて勉強してるし、産んでほしいなんて言うわけない…。


だけどその3日後には生理が来た。なんだ、遅れてただけか…。ホッとしたけど、ずっと一緒にいれる保証が出来たと思ったから、少し物足りない気もした。

「ママ、誕生日はお寿司がいいな。あと去年みたいにケーキも準備するから。」

ママは特に変に思わなかったみたいで、はーいと返事をしてくれた。今年も翔祐君にケーキを作らなきゃね。


そしてパーティー当日は去年みたいに翔祐君のお母さんも一緒に呼んだ。翔祐君は18歳、私は13歳だ。18歳といえば成人だ。少し距離ができたように感じた。

翔祐君のお母さんも明日はお休みだから、大人3人はお酒を飲んで上機嫌になっていた。

私は他の部屋にいる雅史が気になった為、部屋から抜けた。

「由紀奈?」

翔祐君も雅史の部屋に来た。

「雅史、スヤスヤ寝てるね。」

「うん。淋しくて泣いてるかもと思ったから良かった。」

私は、翔祐君に質問をぶつけてみた。

「ねえ翔祐君…。もし私が妊娠してたらどうする?」

「えっ…?」

「もしもの話だよ?」

「その時は…もちろんすぐにでも結婚するよ。法的には無理だから事実婚だけど。由紀奈との子供なら一緒に育てたいもん。」

翔祐君…即答してくれるなんて嬉しい。ちょっと不安に感じていたから涙が出た。

「どうしたんだよ?俺が逃げるとでも思った?」

「そうじゃなくて。実は…生理がちょっと遅れたから妊娠したかもって勘違いしたの。もし妊娠だったら産んでほしいって言わないと思ったから。」

「そんなことしないよ。それに、妊娠したと思ったんなら俺に言ってほしい。由紀奈1人で悩むなんて、そっちの方が嫌だよ。1人で子供はできないんだから。」

翔祐君はいつもみたいに頭を撫でてくれた。翔祐君は成人したけど、私たちに距離なんて全く出来ていなかった。








「相沢…。」

季節は寒くなって衣替えも済ませた頃、久々に男樹君と徹平君に話しかけられた。クラスが違ったので中学に上がってから接する機会がなかったのだ。

「あの…今でも翔祐と付き合ってるよね?」

「うん、そうだけど。何なの?また突付きに来たの?」

去年も散々、翔祐君との仲をからかわれたからあまりいい印象はなかった。

「いやいや、違うんだよ。ちょっと心配なことがあるんだよ。」

男樹君は笑っておらず、本当に心配事がある様子だ。

「達也のことを好きな女の子が相沢に嫉妬してるみたいだから気をつけてほしいんだよ。小学生の時、達也は相沢のことが好きだっただろ?誰かがそれを話したんだ。」

そんな過去の話をされても困る…。

続けて徹平君が言った。

「でも達也はもう相沢のことは諦めがついてるから心配することない。何か聞かれても翔祐のことを話せばいいだけだ。」

「達也君を好きな子って誰なの?その子に直接話しにいけばなんとかなるかも。」

「それが俺たちも誰なのかよくわかってなくて。達也はモテるから複数人はいるかもな。」

達也君とは特に何もないから正直に話せばいいと思うけど…私は何故2人がわざわざこんな話をしに来たのかが疑問だった。

「俺たちは相沢と翔祐のこと応援してるからさ、何か嫌なことされたら俺達に言えよ。文句言ってやるから。」

2人とも、いつの間にか大人になってたんだな…。

「ありがとう、何かあったら助けてね。」 

本気で愛し合ってたらみんな分かってくれるんだね。女友達だけではなく、男の子もいるなら安心だ。


その後は特に何かされることはなかったのだが…。ある時、話したこともない女の子たちに呼ばれた。

「ちょっと、なんで数人対1人なのよ!」

気づいた早希ちゃんが文句を言いに来たが、私は大丈夫だから、と言ってその子たちについていって空き教室に入った。


「相沢さん、小山君との関係を教えてほしいんだけど。」

気の強そうな子だった。小山君とは達也君の苗字だ。

「達也君は友達だよ。」

「実は相沢さんのことを好きだったって聞いたのよね。本当に今は何もないの?」

達也君が好きなら本人に話せばいいのに…。なぜ私にあれこれ聞きに来るんだろう?

「何もないよ。それに私には翔祐君って高校生の彼氏がいるの。」

「え!?彼氏いるの?」

そこは知らなかったようで驚いていた。男樹君たちから話を聞いた後に、こういう時の為にと小さいサイズで印刷した結婚式の写真をポケットに入れていたので見せた。

「何これ?結婚式ごっこ?こんなことに付き合わされて、年上の彼氏は可哀想ね。」

さすがに腹が立ち、私は言い返した。

「さっきから何が言いたいのよ!だいたい達也君が好きなら直接話しにいけばいいじゃない!それに、この結婚式は私達にとってごっこじゃないの!本気なの!」

急に大声を出してしまったので驚かれた。

「ば、バカじゃないの。こんな歳で結婚式なんて…。」

「なら達也君のことはどうなの?いつか別れる気で告白するの?」

「そんなこと言ってないじゃない…。」

「達也君はいつも本気で生きてるんだから、軽い気持ちで告白しにいかないでよね!」

私はそう言い放ち、空き教室から出た。

「ゆ、由紀奈…。」

「相沢…。」

教室から出ると、早希ちゃん、男樹君、徹平君がいた。聞き耳を立てていたみたい。

「あの後着いていったのよ。助ける必要は無かったけど。」

「俺達も相沢が連れて行かれるのを見て心配になったから着いてきたんだ。」

「ありがとう。心の準備が出来てたから何ともなかったよ。」

私にはこういう友達がいて本当に心強い。


そして翌日になって気付いたのだが…結婚式の写真を見せた時にあの子たちに渡したままになっていた。写真はデータ保存してあるからいくらでも印刷は出来るんだけど、私達の仲を馬鹿にする子が持ってるなんていい気はしない。それに名前もわからない…。早希ちゃんなら同じ小学校出身だから分かると思って相談した。早希ちゃんは慌てて、すぐに取り返しに行こうと言ってくれた。

「相沢さん。」

私達が行こうとすると、昨日の子が教室の前に来ていた。

「ちょっと有沙(アリサ)、由紀奈の写真返しなさいよ。」

有沙は写真を手に持っていたので元々返すつもりで来たのだろう。素直に渡してきた。

「私、小山君のこと本気だから。昨日はごめんなさい。最初から相沢さんじゃなくて本人に話しにいけばよかった。」

なんだ、素直に謝れる人なのか…。

「私も結婚式挙げてもらえるように頑張るね。」

そう言って自分のクラスに帰っていった。本気なら上手くいってほしい。




「由紀奈。」

久しぶりに達也君に話しかけられた。

「俺、彼女できたよ。有沙って子なんだけどさ。告白されたんだよ。」

「おめでとう!」

達也君は本当に嬉しそうにしていた。

「俺たちのこと応援してね。俺も由紀奈と翔祐のこと応援してるんだから。」

「うん、ありがとう。もちろん応援するよ!」

有沙ちゃんも望んでたし、結婚式を挙げてくれたらいいな。




「へえ、達也に彼女出来たんだ。」

「うん。だからもう気にしなくていいからね。」

帰ってから翔祐君に伝えた。

「そっか、よかった…。ようやく心配事が1つ消えた。」

翔祐君は本当に安心した表情になった。

「なんで心配してたの?私は翔祐君がいるから大丈夫って言ったじゃない。」

「達也はいい男だからだよ。由紀奈だからいい男が寄ってくるのかもしれないけど。」

翔祐君、素直に達也君のこと褒めてる。私にはこういう翔祐君が充分素敵に写るんだけどな。

「それに、もうすぐクリスマスの時期じゃん?それを出しにして由紀奈を連れ出したらどうしようかと思ってたんだよ。」

「誘われたって全力で断るよ。」

そういえばそろそろクリスマスのイルミネーションもあるな…勉強で忙しくて忘れていた。

「だから由紀奈、イルミネーション行かない?2年前はちょっと喧嘩したからさ、やり直したいんだ。それに俺はもう高校生最後だから、来年は行けるかどうかわからない。」

確かあの時、紗英が現れて私が不安になった頃だな…。あまり思い出したくなかったので去年は雅史のお世話を理由に行かなかった。

「うん、行きたい。連れてってほしい。」

「ありがとう、由紀奈。」

どんな格好していこうかな。今から楽しみだ。





クリスマスデートの当日は、お小遣いで買ったピンクの安い口紅を塗った。髪形はいつもと変えなかったが、口紅だけでも割と華やかになった。

「由紀奈、行こう。あ!また口紅してるじゃん。似合ってる。」

「ありがとう。」

翔祐君はちょっとした変化に気付いてくれるから嬉しい。


もちろん防寒はしていたが、それでも寒かったのでずっと手を繋いでいた。翔祐君と一緒にいると本当に暖かかった。ちょっと早めに出たのでイルミネーションは点灯はまだしていなかった。点灯するまで翔祐君と話していると、私はあることに気づいた。今立っている場所は…2年前に紗英とすれ違った所だ。別に何の危害も加えられてないし、翔祐君は私のことを愛してるとまで言ってたのに、何で私はこんなに不安になるの…?

翔祐君は私の不安に気づかず1人で喋り続けていた。目の前には色んな人が歩いている。そして今年も、あのワンレンロングがいた…紗英がいたのだ。間違いない、あれは紗英だ…。翔祐君も紗英もお互いに気付かなかったが、私だけが気づいた。通り過ぎるのを私は目で追ってしまった…。

すると、紗英も私を見た。翔祐君ではなく、間違いなく私を見ている。また私は嫉妬してしまうと感じて怖くなったけど…私を見て、紗英は笑ってくれた。『幸せになるのよ』って笑いかけているようだった。

「ねえ、由紀奈?聞いてる?」

ふと我に返ると、翔祐君が私を突いていた。

「ごめん、聞いてるよ。」

私は、翔祐君が何故達也君のことで不安になっていたのか気付いた。私だって紗英のことで不安になっていたんだ。翔祐君と紗英は学校は違うけど、私と達也君は毎日同じ学校に通ってるのだから、私よりも不安になるのは当然のことだ。気付いてあげられなくてごめんね…。

「由紀奈、そろそろ点灯するよ。」

2年前に来た時よりもイルミネーションは豪華になっていた。イルミネーションを背景にして2人で写真を撮った。

「ねえ翔祐君。」

「何?」

「愛してるよ。」

「え?急にどうした?俺だって愛してるよ。」

私からも翔祐君を安心させる言葉をかけないといけない。もう絶対に不安にさせない。

翔祐君は大学に行くけど、これからもずっと一緒にいたいな。

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