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夢に向かって猪突猛進な『不遇』王女には事情がある!?〜孤児院出身の王女は愛されることには慣れていません〜  作者: はな
最終章

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51、真夜中の訪問者

ブクマなどありがとうございます!

とても嬉しく励みになります!



 次の瞬間には扉が大きく音を立てて、眩しくて見えなくても勢いよく開けられたのが分かった。

 そして薄暗い部屋にいた私には目が眩むほどの光が見えたと思ったとき──



「そんなに勢いよく開けたら……!!」

「「ルーナ!!!」」



 何か咎めるような声とともに私を呼ぶ声が聞こえた。

 勢いよく開いた扉の方に向けて魔法を打ち込もうとしたものの、侵入者かのしれないと思った人影をみて驚く。



「……お父様?お兄様?」



 どうしてこんなに廊下が明るいのか。何故2人がここにいるのか。疑問ばかりが浮かぶ。

 いや、いるのはおかしくはない。ここは王族の居住区なのだから。

 しかし私が呆気にとられてしまったのは、その姿だった。


 2人とも、こんな夜中に鎧を着ている。兜は取っているが普段見慣れていないせいか。

 それにしても鎧ってこんなに埃っぽく、汚れているモノだろうか。

 城にいたはずなのに、その姿はどこかに戦いに行って帰ってきたとでもいうような姿だった。

 そして2人ともとてもいい笑顔をしている。

 2人の後ろの廊下が明るいことも相まって、まるで後光でもさしているかのようだ。


 この状況と2人の状態が呑み込めずに困惑していたところで、2人がすごい勢いで近づいてきて私をぎゅうぎゅうに抱きしめてきた。



「お前にあんな決断をさせてしまった、不甲斐ない父親を許してくれ……!!」

「よかった……!間に合った!」

「??????」


 

 お父様とお兄様が何か言っているが、私の頭には入ってこない。

 私に呆れていたのではなかったか。それは私がそうなのだろうな、と思っていただけだけれど。この状況が呑み込めない。そして鎧越しのせいか痛い。



「安心するといい。お前はもう、ネージュラパンに嫁がなくていい」

「──え?」

「そうだよ!あんなクソ…いやあんな奴のところにいかなくていいんだよ!」



 あのお兄様が、クソと言った。それも驚きだけれど、それよりも。


(嫁がなくて、いい……?)


「陛下!セオドア殿下も!ルーナリア王女殿下が困惑しております。それにそのままの格好で抱き着くなんて……」



 その声がするほうに視線を向ける。騎士団長が私の部屋に入ることもできずに、扉のところでおろおろしている。

 お父様とお兄様を止めるべきと思ってはいるようだが、王女の私室を見てもいいものか、入ってはいけないと思っているのか。

 しかしその声でお父様もお兄様も我に返ったのか、ハッとしたようにガバっと体を離して私の姿を確認した。


 もはや混乱しすぎて考えることを放棄して落ち着き始めていた私は、さすが親子だからなのか動きが同じだわ、なんてどこか他人事のように考えていた。



「「すまない!ルーナ!」」

「……え?」

「この時間だし、寝ていたんだろう?それを起こした上に、汚してしまって……」

「いえ、起きてはいたから、それは大丈夫だけど……」

「ルーナがいることを確認するだけのはずが……」



 お父様は心底申し訳なさそうにいう。私の生存確認をしたかったのか。それはそうと自分の姿をみてみると、たしかにネグリジェは汚れてしまっていた。

 どうしたものか。そう思っていると、ごほんっと咳払いした騎士団長が呆れた様子を隠すこともなく言った。



「……お三方。夜中ではありますが、気になることも話したいことも多いかと思いますので……ひとまずは綺麗になってから、お話しされてはどうですか?」

「……そうしよう」



 その言葉にお父様が同意したことで一度解散になり、準備ができた人からお父様の執務室に集まることになった。


 私は着替えるだけでいいかと思っていたが、就寝の挨拶をして寝ていたはずのナタリーが、どこから聞きつけたのか。私までお風呂に入ることになった。



「……ナタリーは、何か知っているの?」

「……私なんかに聞かないで、陛下がたに聞いてください」



 手早く準備をしてくれるものの、取り付く島もないとはこのことか。ツーンっとした態度を崩そうとしないナタリーに、どうすればいいのかわからなくなる。いままでこんなことはなかったから。


 お父様とお兄様に何が起きたのか、いろいろと考えてみるも、まったく予想がつかない。でもおそらくあの様子をみるに私にとって悪いことではないのだろう。嫁がなくていいとも言っていたことだし。


 そんなことがありつつ、準備をして執務室に向かったが、2人はもうすでに待っていた。



「……お待たせしました」

「いや、もとはと言えば私たちが何も考えずに抱き着いたのが悪いのだから、謝らなくていい」

「僕も今来たばかりだよ。それより、こっちにきて座って。……ナタリー、こんな時間に申し訳ないけど、お茶をお願いしてもいいかな?」



 長くなるかもしれないから、とお兄様が申し訳なさそうにナタリーにお願いすると、ナタリーはかしこまりました、と言ってすぐに部屋を出て行った。


 本当はお茶の準備ができるまで待つべきなのかもしれないけれど。

 何もかもが分からずに、気になっていた私はその時間も惜しくて、待つことができなかった。



「……あの、早速、何があったのか、聞いても……?」

「うむ、そうだな。ルーナはわけがわからないだろう。まず、今の状況だが……………」



 お父様はそう言いながら話してくれたことは、私の予想を大きく上回るものだった。




読んでいただきありがとうございます!

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