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夢に向かって猪突猛進な『不遇』王女には事情がある!?〜孤児院出身の王女は愛されることには慣れていません〜  作者: はな
第二章

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23/69

22、王太子の誕生日パーティー



 準備ができたと同時にノックの音が響く。

 ナタリーが「レイモンド様では?」といいながら扉を開けに行くと、予想通りレイが顔を出した。




「ルーナ、準備はできたか?」

「ええ!できたわ!」

「……」


 そう返すと目を見開いたレイは口元に手を当ててふいっとそっぽをむいてしまった。


 


 何かしてしまっただろうかと記憶を探るも思い当たらない。

 強いて言えば先ほどの爆発に巻き込んだことくらいか。そういえば、謝っていない。

 いつものこととはいえ謝ったほうがいいだろうかと思ったところで、近くまで歩いてきたレイが口を開いた。



「ドレス、似合っている。き、きれい、だ…」

「本当!?ありがとう!!そう言ってもらえてよかったわ!レイも似合っているわ」

「……そ、そうか。では行くか」

「うん!」


 いつものエスコートも少しぎこちなく感じ、こそっと横顔を盗み見るも耳が赤い。

 少しおかしく思いつつ、いつもはしないのに褒めてくれたから照れているのだろうと、気にしないことにする。



 婚約者候補。もうこの年齢で候補というのも変な話だが、唯一の婚約者候補であるレイにエスコートされ、パーティ会場に入場する。


 今日のドレスはレイが贈ってくれたもので、青色のドレスに刺繍されている金の薔薇が映えていてとても綺麗で大人っぽい。



 私達が姿を見せた瞬間、近くにいた令嬢や令息達が途端に騒めくのを感じる。


 レイは女性たちからの人気も衰えることもなく、まだ婚約者ではなく候補というところでまだ婚約者がいない者たちからしたら有望株なのだ。さらに今ではドラゴンを一人で倒したという話も有名になり、男性人気も高まっている。


 そんな人気者にエスコートされているのはほんの少し居心地の悪さも感じるけれど、レイが頑張った成果だと思うと私も鼻が高かった。


 そう思っていつもの外交用の微笑みを浮かべて堂々と前を向く。




 会場の明かりにキラキラと反射してとふんわりと波打つ色の淡いピンクブランドの髪は少しウェーブがかっており、ハーフアップにされて複雑に編み込まれている。

 空色の中に金色の輪がある王家にしか受け継がれない瞳は神秘的な輝きを放っている。そう、ルーナリアは息をのむほどの美女である。注目が集まっているのはレイモンドのせいだと思っているルーナリアは、自分が注目されてるとは思っていなかった。




 

 主役であるお兄様が入場してくるまでの間、挨拶をしつつも会場の様子を見るために不自然にならない範囲で会場を見回したところである人物が目に留まった。

 


 その途端、その人物からから目が離せなくなる。

 

 レイモンドは固まったルーナリアを怪訝に思い顔を覗き込むと、いつもはどんなことがあっても公の場では微笑みを崩すことのないルーナリアが、目を見開いて驚愕の表情をしている。

 


「──テオ兄……?」

「は……?」

 


 漏れ出た声はとても小さく、しかしすぐ隣にいたレイモンドにはぎりぎり聞こえる範囲の声でつぶやかれた。


 ここは夜会の会場で、公の場で、しっかりと表情も作らなくてはいけないのに。頭ではわかっているのにどうしても視線を逸らすことができない。




「でも…そんな……なんで…?」



 動揺が治らず疑問しか浮かばない。思わず声が漏れてしまう。


 そのタイミングで彼とそっくりなその人と目があった。あちらもにこやかに談笑していた表情から一変し、目を見開いた。


 そのとき、エスコートしてくれていたレイがそっと手を握りしめてくれた。

 そのおかげではっと意識が戻ってくる。


 ふとレイをみると、私の視線から誰をみているかわかったのだろう。少し険しい顔をしてその青年を見据えている。


 その青年は隣にいる中年くらいの付き人らしき人物に、何か言ってからこちらに向かってくる。

 やがて目の前に来ると、嬉しそうな顔で話しかけてきた。



「初めてお目にかかります。隣国のネージュラパン王国の王太子、テオドール・ネージュラパンと申します」



 そう言って頭を軽く下げて挨拶してきたのは今は休戦中の隣国の王太子であった。



「あ…わ、私は、シュルーク王国の第一王女、ルーナリア・シュルーク、と申します」



 呆然としていたが、しどろもどろになりつつもやっとのことで挨拶を返す。

 するとテオバルト王太子殿下はそっと声量をさげて小声で問いかけてきた。おそらく、すぐ隣にいて耳がいいレイには聞こえているだろう。



「あの……違ったら申し訳ないのだが…。もしかして君は、リア?」



 その一言で再び驚愕に目を見開いた。







読んでいただきありがとうございます!

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