表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤児院育ちの王女は、護衛騎士の重すぎる愛に気づかない  作者: はな
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/69

15、魔法と成長と、少しだけ近づいた距離


 あの狩猟大会から2年ほどたった。


 あのペンダント紛失事件は、大ごとにしたくなくてそのまま処理された。


 シャルロットには泣きながら感謝したら、あまりの勢いに驚いていた。


 それからも魔法の勉強を続けていたのだが、どうやら私の魔力量は歴代王族の中でもかなり多い部類らしい。


 あの氷の世界は2,3日はあのままだったそうだ。


 またここ2年で私は魔法の応用編を学びつつ、少しずつ何か役立つことが出来ないか試したりしていた。


 あるときは風が吹いた時に鬘が飛んで悲しい顔をしていた大臣のために、育毛剤ならぬ育毛魔法薬を開発しようとした。


「よし、これであとこの薬草を混ぜて魔力をこめれば……」

「……それじゃなくて、こっちじゃ」


 レイが言葉を発するのと、魔力を込めたのは同時だった。


 レイに薬がかかった瞬間、彼の髪が一気に爆発したように跳ねた。


 くるくるのチリチリになり、頭だけいつもの倍くらい膨らんでいる。


 何をしても戻らず、1週間ほどそのままだった。成功なのか失敗なのかわからない。


 またあるときは、大掃除ででたごみをまとめて処分しているところに出くわした。


 燃やすのであればと魔法を使うため、両手をごみの山へと向ける。

 そしてあまりの量に、思い切り魔法を発動した瞬間。


 ごみ山から、空高く火柱が上がった。


「──え」


 直後、王城中にけたたましい警報音が鳴り響いた。

 王城は何か不測の事態が起きると音がなるように魔法がかかっているらしいとこのときに知った。


 レイがすぐに動いて火を消そうとしてくれたが、その勢いは衰えることはなく、轟轟と燃え続けている。


 色々な意味で、汗が止まらない。


「……ルーナの魔力量だと、もっと人がいないと無理だ」

「わ、私が今消——」

「いや、これ以上は何もしないでくれ」


 私がしてしまったことなので、消火をしようとするもレイに止められた。


 早々に自身の魔法による消火作業を諦めたらしいレイは、これ以上広がらないように消火作業を続けてくれている。


 その余波で、レイの服にも火が移っていた。


 結局、駆けつけた魔法騎士団と魔法師団によってなんとか鎮火された。

 その後素直に事情を説明した結果、火魔法の扱いを反省文として提出することになった。


 なぜかレイも一緒に。

 完全なとばっちりである。


 各方面にも迷惑をかけてしまい、本当に本当に申し訳なかった。



 いつもレイには迷惑をかけて、散々困らせてしまっているだろうが、それでもレイはずっと私のそばにいてくれた。


 レイはとても優しい人だから、私を見放さないでいてくれるのかもしれない。


 普通なら愛想を尽かされてもおかしくない自覚はある。


 ……断じてわざとではないのだけれど。


 そして以前は遠慮もあったのか程よい距離感だったのだと思うのだが、その距離が近くなったと思う。


 本当に稀だが、あのレイが笑顔を見せてくれるようになったのはとても嬉しい。


 そんな主に私の被害にあっているレイは、とてつもない進化を遂げていた。


 あの小さく細い身体は今は面影もなく。

 日々鍛錬を怠らずに行なっていたため身長も伸び、細身に見えるが体中に筋肉がついて男らしくなった。


 辺境に出現した大型魔獣のドラゴン討伐の応援要請が来たときは、見習いなのに手をあげ出兵した。


 私は心配で引き留めたが、頑として譲らなかった。


 せめてお守りでも用意しようとしたら、前にあげた私の作った空色の石をピアスにしたようで、それをつけて欲しいと言われた。


 レイからのお願いは滅多にないため、私はすぐに頷いた。


 どきどきしながら指定された左耳につけ、目があったときのレイの上目遣いにはどきっとしてしまった。


 耳にピアスをつけたままの状態で固まった私の手を、レイは包むように握ると、そのまま唇を寄せた。


「……ルーナ」


 レイは平然としているのに、私だけがどきどきしている気がして悔しい。


 レイは私から目を逸らさなかった。


 でもその不意打ちの行為に顔が赤くなってしまった私はおかしくないと思う。


 そして「これでもう大丈夫だな」と笑ったのは心臓に悪かった。


 ……最近のレイは、たまにずるい


 そしてなんと、辺境騎士団が手こずっていたのにも関わらず、ほぼ一人で倒してしまったそうだ。


 今ではその武勇を国で知らないものはおらず、レイは時の人となっている。


 またそれを機に見習いから正規の騎士になった。

 レイの希望で近衛騎士に配属され、これから通う学園にむけて、私専属の護衛騎士になる予定だ。


 気づけばレイの周りにも人が多くいる。


 昔、レイのお兄様であるウィルフレッドと一緒になってレイを殴ってた人たちは、魔法騎士見習いの時返り討ちにあい、殴られることが痛いことだと身をもってわかったことで謝ってきたそうだ。

 それからはそこそこに仲良くしているという。


 この2年で、私たちを取り巻く世界は大きく変わっていた。


 そして──ついに、念願の学園入学の日を迎える。




読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ