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夢に向かって猪突猛進な『不遇』王女には事情がある!?〜孤児院出身の王女は愛されることには慣れていません〜  作者: はな
第一章

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13、初めての友達



「……そんなことだろうと思ったわ。こんなに早く戻ってくるなんて」

「でもルーナに怪我がなく終わってよかったわ」

「私は怪我とかしてないわ!何かする前に終わってしまったもの……」

「やらかしてはいるけどね」


 テントに戻りすぐにドレスに着替えさえられた。おそらくもう狩場に行かないように。


 仕方がないのでフェリシアのテントに行くと、予想通りシャルロットと2人でお茶をのんでいた。

 2人とも開始早々、開会式で来ていた乗馬服ではなくドレスに着替えてきた私に目を丸くしていたが、話をすると納得していた。

 目の前に広げられているおいしそうなお菓子を見つめていると、すぐに私の分も席を用意してくれた。



 あの10歳の時のお披露目会からディアマンテ公爵家のシャルロットと、コラソン公爵家のフェリシアとも仲良くなった。月1回くらいの頻度でお茶会をしているのと、ときおり手紙をやりとりしている。

 シャルロットはおっとりしていて、フェリシアははきはきとしている。けっこう反対の性格ではあるが、3人仲良くできていると思う。今では気の置けない友人と言えるだろう。



「うーん!!これ美味しい!!」

「今城下で1番人気がある焼き菓子みたいよ」

「ルーナは本当に甘いものが好きねぇ」



 2人は最近の流行りとかも教えてくれる。勉強ばかりで街に出ない私にお菓子とかも買ってきてくれる。2人ともとてもいい子だ。最初は頑張ってマナー通りに接していたけれど、それももうおざなりになってしまっている。



「エスパーダ公爵令息も一緒にいかがです?」



 シャルロットが護衛としてか婚約者としてか、私の後ろに立っていたレイモンドにもお茶を一緒にと気を配ってくれる。



「いえ、私は……」

「レイ、一緒に食べよう!ごめんね、気が利かなくて。ずっと立っているのも疲れるでしょ」

「いや、護衛が……」

「ここでは何も起きないわ。私のテントだもの」

「そうそう!ほら、座って!」

「……では、失礼します」



 いつの間にか用意されていた椅子にレイモンドも腰を下ろした。



「こうやってお話しするのは初めてね」

「……お気遣いありがとうございます、コラソン公爵令嬢」

「私のことはシャルロットと。……今後も長い付き合いになりそうですし」



 そう言ってシャルロットは私のほうをちらりと微笑みながら見つめた。私も笑い返したところで逆からも「私もフェリシアでいいわ」という声も聞こえる。


「わかりました。シャルロット嬢、フェリシア嬢。よろしければ私のこともレイモンドとお呼びください」


 いつも無表情なレイモンドは、終始聞き役ではあるが参加してくれたことが嬉しかった。





「あれ、そういえばいつものペンダントはしていないのね?」



 話が一区切りしたところで、ふとフェリシアが問いかけてくる。



「え?あ、そうなの。ドレスに着替えたときに着ければよかった。何かあってちぎれたり傷ついたりしたら嫌だったから、テントに置いてあるの」

「自分の部屋じゃなくてテントなのね」

「ふふっ大切なものはいつも持ち歩いているの、ルーナらしいわ」



 シェリシアに突っ込まれつつもシャルロットがフォローしてくれたが、はっとした顔で私をみた。



「そういえばルーナにあげるために刺繍したハンカチを渡そうと思ってたんだったわ。先ほどは時間がなかったのだけど……もう遅くなってしまったけれど、今取ってきてもいいかしら」

「そんな!気持ちだけでも嬉しいのに!ありがとう!」

「ふふっちょっと待っててね」



 わざわざ私のためにハンカチに刺繍をしてくれたなんて。本来であれば狩猟大会に婚約者や想い人が参加するときなどに渡す風習があると聞いている。


 もう私の狩猟大会は終わってしまったけれど、嬉しさから頬が緩んでしまう。。



 そしてシャルロットからハンカチをうけとり、刺繍の出来栄えがすばらしいことで絶賛していると、昼の合図である鐘がなった。昼食は各自のテントでとることになっているため、一度解散することになりテントに戻った。


 もうドレスに着替えて狩猟にも行けないから、ペンダントをつけておこうとしまっていたアクセサリーケースを見てみるも見つけることが出来ない。


 今までは入浴と寝る時意外はつけていたが、そのときはきちんとしまっていて、今日もこの携帯用のアクセサリーボックスにしまったはずだった。自分でしまった記憶もある。


 しかししまった記憶のある場所にはない。


 何かがぶつかったときに落としてしまったのか。


 周辺一帯を探してみる。

 ナタリーに聞こうにも、今は昼食をとりに行ってくれているためいない。


 焦燥感が込み上げ、ガサガサとテント内を物色する。それでも見つからない。


 あれはとても大切なものなのに。なくしてしまうなんて、そんなことあってはならない。

 そもそもそんな大切なものをこんなところにつけてくるな、と言うことかもしれないが、ずっと肌身離さず持っていたかった。


 顔から血の気がひいていく。心臓がドクンドクンと脈打つ。


 テントをひっくり返す勢いで探していると、レイモンドが物音で気づいたのかテントに入ってきた。


 探すことに夢中になっていた私は入ってきたことに気づかなかったが、人の気配がしたため勢いよく振り返った。私と目が合うと彼は驚きからか、普段はめったなことでは表情を変えないのに目を見開いた。




読んでいただきありがとうございます!

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