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ダグラス:進化

■Side-ダグラス


「やあ、待たせたね」


 しばらくして、サムが儀式の部屋から出てくる。

 僅かに青色を帯びた黒い上に、同色の猫耳。

 いつもの様に、優しい笑みを浮かべている。


「少し、身長が縮んだか?」


 俺より高かった身長が、同じぐらいになっている。

 彼女は俺の前までやってきて、身長をくらべ出した。


「ああ、確かに……ちょっと縮んだみたいだね?」


 ちょっと背伸びをしながら視点を確認する彼女は、なんだか普段より幼く見えた。


「もしかしたら、少し若返ったのかもね?」


 身長の印象のせいかもしれないが、容姿が幼くなった様にも思う。


「変な進化にならなくて、良かったな」


「……ああ、ありがとう」


 俺の言葉に、サムは僅かにはにかみながら答えた。








 次に儀式を行ったのは、ペンギーだ。

 彼女もサムと同じぐらいの時間で、部屋から出てくる。


「……」


 俺の前まで来て、無言で見上げた。

 薄暗い部屋でも光を放つ様な金糸の髪に、花の模様の様に赤い髪が混じっている。


 大きな黄色い目に、線の細い顔立ち。

 体は相変わらず華奢で、どこか儚さを漂わせている。


「か、可愛いぞ……」


 ちょっと噛みつつ、恐る恐る彼女の頭を撫でる。

 さらさらとした髪の毛の感触が指に伝わって来た。

 彼女は抵抗する事なくそれを受け入れ、一言、呟く。


「うん……」


「ごほんごほん!」


 咳払いが聞こえて、ハッとする。

 後ろでサムが不機嫌そうにこちらを見ていた。


「わ、悪い。次は俺の番だな」


 ペンギー達と別れ、俺も件の部屋に入った。







「久しぶりだね」


 暗い部屋に入ってしばらくすると、聞き覚えのある声が聞こえる。

 目を開けると、一台のモニターが空に浮いていた。

 画面には、なんとも言えない顔文字が表示されている。


「十三年ぶりになるのか」


 この声に、モニター。

 俺を転生させたブラック企業の女神だ。


「楽しんでくれてる?」


「まあ、それなりにはな」


 もちろん、楽しいことばかりではなかった。

 だけど、とても充実している気がする。


「それは良かった。それじゃあ、進化を始めようか」


「進化って、全員お前が担当しているのか?」


「いいや? せっかくだから会ってお礼を言っておこうと思っただけだよ」


「お礼?」


「君のおかげで、この世界はずいぶん掻き回されている」


 モニターの顔文字が笑顔に変化する。

 そのまま、ブラック企業の女神は続けた。


「特別に、進化先の種族を選択できるけど……どんなのが良いとか、希望はある?」


 その言葉に、少し考える。

 体については現状で何の不満もない。

 間違いなく、この世界では恵まれた体だ。


「今の体に不満は無いから、この力を失わずに進化できる種族が良いな」


「それなら、ウォーマンがお勧めかな?」


「ちなみに、見た目は変わるか?」


「ほぼ、変わらないね」


「分かった。それで頼む」


 進化が終わって、部屋を出る。

 二人が、俺の方を見つめてきた。


「どう……だ?」


「さらに男前になったね」


 サムが、優しく微笑む。


「うん、良いと思う」


 ペンギーがちょっと視線をそらしながら答えた。

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