ダグラス:人手不足
■Side-ダグラス
学園はもう直ぐ、短い夏休みに入る。
期間は凡そ二週間だ。
その二週間をどうするか話し合う為、俺たちは冒険者の酒場に集まっていた。
「人手が、足りない」
全員が集まると、レジーナが真っ先に口を開いた。
彼女はこのパーティの要であり、俺たちの中で最も受講数が多い。
「そうなの?」
ペンギーが不思議そうに小首を傾げる。
「だってほら……皆、すごいでしょ? 私だと置いて行かれない様にするのに相当の労力がかかると言うか」
冒険に必要な調査や準備……と言うか、戦闘以外に必要な事全てをレジーナが担当している。
断言するが、このパーティは彼女がいないと機能しない。
「今でもレジーナは十分、パーティに貢献してくれていると思うんだが」
俺の言葉に、ペンギーとサムも頷く。
「……もしかして、なんだけど」
俺たちの反応にレジーナはそう言って、言葉を続ける。
「三人とも、自分が普通だと思ってる?」
「そこそこ、強い方のパーティだとは思っているよ?」
サムの言葉に、俺も続く。
「それなりに、上の方ではあるだろうな」
最後に、ペンギー。
「年齢の割には、良い方だと思う」
「がー!」
俺たちの回答に、レジーナが吠える。
「天才!」
そう言って、レジーナが俺の方を指差す。
「怪物!」
次に、ペンギーを指差す。
「化け物!」
最後に、サムを指差した。
「このメンバーで私が足手まといか、ただの雑用係にならない為にどれだけ苦労しているか分かる???」
「お、落ち着くんだ」
「がるるるる!」
やばい、レジーナが凶暴化している。
「そうそう。何事も冷静に、なのだ」
下の方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
すごいナチュラルにノダが会話に混ざっていた。
この店の店長で、ドラゴノイド? らしい。
「ノダちゃん?」
「ってノダ、いつの間に!」
「ノダはてんちょーだから、どこにでもいるのだよ」
説明がまるで理解できない。
これが小説なら作者の誤字か精神が疑われるレベルだ。
「で、何の用事で来たんだ?」
このドラゴン風幼女、話している事は割と意味不明だが。
用が無いのに現れる事はない。
レジーナを含め、四人で彼女の話を待つ。
「人手が足りないなら、ちょうど良いイベントがあるよなのだ」
「イベント……?」
「新人歓迎会なのだ」
「いや、このパーティに新人がこられても困るんだが……」
「そもそも、クランなのにパーティが1個しかないのはレギュレーション違反だし、ダグラスお兄ちゃん達にはもう一個別のパーティを作っておいて欲しいのだ」
「話は分かったが、それって新人側にはどんなメリットがあるんだ?」
「同じクランなら色々アドバイスがもらえるかもしれないし、そもそもクランに入らないことにはここではお仕事受けられないのだ」
「代わりに、雑用とかは引き受けてくれるって訳か」
「あんまり押し付けるとかあいそーだよのだ」
「ああ、分かった」
ノダから概ね話を聞き終わり、全員に視線を向ける。
「レジーナの負担が減るのなら、俺はやった方が良いと思う」
「僕は良いと思うよ?」
軽く答えるサム。
「私も、異論はない」
それに続くペンギー。
「私は、大賛成!」
まあ、レジーナはそうだよな。





