ダグラス:二人
■Side-ダグラス
「……!」
直後、ペンギーが駆け出し、その場を去ってしまう。
「ペンギー!」
俺も彼女を追って、その場を後にする。
「こないでよ!」
やがて、噴水の前でペンギーは立ち止まる。
振り返ってそう言う彼女の瞳がゆらりと光った。
「……泣いているのか?」
「違う!」
その場で俯く彼女に、ゆっくりと近づく。
「……俺な、ずっとペンギーに勝ちたかったんだ。ずっと負けたままだと、いつか愛想を尽かされるんじゃないかって」
ペンギーが俺の顔を見上げる。
彼女の瞳からは、ポロポロと涙が溢れ出していた。
安心させようとゆっくり抱きしめる。
ペンギーは抵抗せず、そのまま受け入れた。
全身で、彼女の存在を感じる。
少し力を入れれば折れてしまいそうな程、華奢な体。
必要ないと分かっていても、守りたいと……思ってしまう。
「私も、ずっと怖かった。いつかダグに、見捨てられるんじゃないかって」
「そんな訳、無いだろ!!」
思わず、語気を強めてしまう。
腕の中で、彼女がビクリと動いたのを感じた。
「だって、ダグは頭も良いし、成長も早いから……一度でも追いつかれたら、もう、私じゃ追いつけない」
俺がペンギーの強さに危機感を覚えていた様に。
彼女も俺に同様の危機感を覚えていたのか。
「約束しただろ、俺たちは一緒にこの世界を冒険するって」
「でも……私はダグのお荷物になりたくない」
「俺には、ペンギーが必要だ。それは、ペンギーが強いじゃない。ペンギーじゃないと、ダメなんだ」
「そ、それって……」
ペンギーが顔を赤くしながら、見上げてきた。
心臓が脈打つのを感じる。
「……好きだ」
前世で恋愛経験の無かった俺には、洒落た言葉を言う能力なんて無い。
だから、真っ直ぐに、今の気持ちを伝える事にした。
「……」
ペンギーから、返事は無い。
緊張で、手が汗ばんでいくのを感じる。
喉が乾いて、唾を飲み込む。
「うん、私も」
消え入りそうな小さな声で、だけど確かに。
彼女はそう答えた。
「ありがとう」
中間試験が終わるとちょっとした催しが用意されている。
なんでも、各国の交流を深める為のダンスパーティだ。
俺も一応、アンガスから話を聞いて衣装を用意し、最低限度のダンスマナーを練習してきた。
何気に、面倒見が良いんだよな。
「ダグ」
パーティが始まると、ペンギーが俺の前に立つ。
黒を基調としたワンピース型のドレス姿だ。
普段は気づかないが、彼女はとても女性らしい体型をしている。
「可愛いな」
「本当に?」
「ああ、もちろんだ」
音楽に合わせて、二人で踊る。
どうやら、彼女は俺以上に心得がある様だ。
「……ダグも、かっこいいよ」
10万PV達成!
いつもありがとうございます!





