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ダグラス:海兵、ヴォイテク

■Side-ダグラス


 入り口で少々の面倒は有ったが、俺たちは無事に船内へ入ることができた。

 各自、客室で荷ほどきをして、船内のバーで集合する。


「ダグラス君、カッコよかったね?」


 レジーナがニヤリと笑って、肩をつついてくる。


「いいだろ、あれぐらい……」


 結局は引いてくれたし、あそこまで強い言葉を使う必要は無かったかもしれない。

 だけど、この帝国で暮らして、革命を主導した身として。

 つい、熱が籠ってしまった。


「それより、ペンギーは?」


 この場には、俺とレジーナ、サムの三人しかいない。


「甲板の方を見に行くって言ってたよ」


 自由か。

 いや……自由だったな。


「あの、軍神ダグラス様でありますか?」


 そんな話をしていると、後ろから声をかけられる。

 振り返ると、獣人の女性が立っていた。


 年齢はレジーナと同じぐらいか。

 茶髪のショートヘアに、熊の様な丸い耳。

 どことなく、活発な印象を受けた。

 服装は、スカートじゃないセーラー服に身を包んでいる。


「そうだが、貴方は?」


 入り口でちょっと揉めてしまったから、船内では顔がバレてしまった。

 今後、この調子で声をかけられると面倒だな。


 俺が答えると、彼女は即座に敬礼して続けた。


「失礼しました! 小官はフメリカ共和国、海兵隊、士官候補生のヴォイテク・クマ、一等兵であります!」


「……悪いが、俺は軍人じゃ無い。普通に喋ってくれないか」


「あっ……失礼しました。癖でして」


「敬語もいらない。俺はそんなに偉い人物じゃ無いよ。それで、何の用だ?」


「なんと、帝国に革命をもたらして尚、傲ること無いとは! 小官は……!」


「おい、俺の話を聞いていたか?」


 思わず、額に手を当てる。


「現在の帝国の状況と、軍神殿の年齢、時期を鑑みるに、サアド三国共通大学へ入学なさるのでは?」


 そういえば、士官候補生と言っていたか。

 フメリカは三国同盟の一角だったな。


「つまり、クマさんと俺は同級生になる訳か。よろしく」


 これから一年間、同じ学び舎で過ごす仲間だ。

 仲良くするに、やぶさかでは無い。

 そう思って、手を差し出す。


「光栄であります! それと、小官の事は気軽にヴォイテクとお呼びください。”クマ”の姓は大変、多いので」


 彼女はそう言うと、俺の差し出した手を両手で握った。


「よろしく、ヴォイテク。俺のことも、気軽にダグラスと呼んでくれ。軍神なんて呼ばれるのは、慣れないんだ」


「了解しました! ダグラス殿!」


 うーん。

 殿も、いらないんだが。

 軍神よりはずっとマシだし、諦めよう。


「この二人も、今年からサアド大学へ入学する仲間だ」


 俺は、レジーナとサムをヴォイテクへ紹介する。


「は、初めまして。レジーナです」


 緊張した様子で答えるレジーナ。


「よろしく、同じ獣人同士、仲良くしようじゃ無いか」


 船に乗ってからどうも口数の少ないサム。

 二人の挨拶を受けて、ヴォイテクがポツリとこぼした。


「……ダグラス殿は、本当に、獣人の味方なのですね」


「違う、俺は理不尽と不合理の敵で、自由の味方だ」


 俺の返し、に彼女はしばし考える仕草を見せた。

 やがて、再び口を開く。


「過剰な保護はいずれ逆の差別を産む、獣人の救済はあくまで結果論であり、真の目的は理不尽なき世、ということでありますね! ダグラス殿はすでに大陸全土と、その未来を見据えている!! 国や人種という概念に囚われていた小官は恥いる思いであります!!!」


 そう言って、彼女は再び俺の手を両手で掴んだ。

 そのまま、ブンブンと上下に振ってくる。


「いや、そうなんだが、そうじゃ無いと言うか」


「ところで、”(ソード・)妖精(フェアリー)”殿はどちらに?」


 そりゃ、俺の事を知っているなら、ペンギーの事も知っているよな。


「ペンギーなら、甲板を見に行っているよ」

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