大人の恋心 33
33.
" Two Cups Of Coffee コーヒー "
「桂子さん、いろいろと複雑な気持ちを抱えて子供時代を
やり過ごしてきたんですね。それじゃぁさぞかし、しんどかった
でしょ」
「ええ、かなり。しんどかったです」
「だけど今はこんな素敵なお城に住んでて、仕事もあって
充実しているように見えます。話を聞いて、子供時代の淋しかった
桂子さんのところに行って慰めてあげたいって思いました」
「わぁ~、ほんとですか、ありがとうございます。ほんとにあの頃
慰めてくれる人がいたらどんなに良かったかって思います。
小野寺さんって優しい人なんですね」
「ははっ、否定はしません。取り柄はそれくらいしかないので」
そこまで話したところで、キッチンカウンターの向こう側でお茶の
用意をしていた彼女からコーヒーが入りました、と声が掛かった。
「すみません、コーヒーセット、テーブルまで運んでいただいても
いいでしょうか? 」
俺がキッチンカウンターまで取りに行きテーブルに乗せると
彼女もこちらに来てソファに腰掛けた。
「すみません、お客様をこき使ってしまって」
「これしき、大丈夫ですよ」
俺は二人分のコーヒーカップセットをお盆から取り出して
各々の前に置いた。




