大人の恋心 29
29.
" Her House 彼女の家 "
俺は自分が集合住宅に住んでいるし、仲良くしてもらっている緒方さんの
ところも同じく集合住宅、マンション住まいなので、自然と桂子さんも
マンションかハイツのような集合住宅をイメージしていて、車をどうするかな? などと考えていたけれど、心配する必要はなかった。
充分に置ける車2台分の敷地があり、彼女に誘導されたところに
俺は車を駐車した。
庭から続く玄関口までの小道には白や紫、緑の草花が両側から
元気よく咲き乱れていて、所々にうさぎのオブジェもお目見えしていて
ちょっとしたおとぎ話の世界観をイメージさせられ、可愛くて素敵な
空間になっていた。
敷地の全体に芝生のように短い草がそこかしこに咲いていて
全てが庭と言える造りになっている。
そして家はそんな庭にぴったりの平屋建てだ。
可愛らしい外観ではあるが、築年数はそれなりに経っていそうだ。
おじゃますると、すぐにLiving Roomに案内され、俺は
3人掛けのアイボリー色のソファに腰かけた。
「うちは、ダイニングテーブルと椅子のセットがないんですよ。
ソファとテーブルで兼用しちゃってるんです。両方置けるほど
広くないですし1人なので、いつでも寛げる空間にしておきたくて
ダイニングセットじゃなくてソファにしてるんです。テーブルの
高さを調節して高めにしてるので、食事するのも全然問題なしです」