大人の恋心 18
18.
" Fishing 釣り"
「釣りって・・あの釣りですか? 」
そう言って小野寺さんは釣り竿を投げ放つゼスチャーをしながら
聞いてきた。
「ええ、その釣りです」
「へぇ~、女の人が釣りって珍しくないですか? 」
「ふふ、祖父が釣り好きな人で幼少の頃からよく一緒に連れられて
行ってました。
実は明日も行こうかと思ってます」
「それってどの辺りに行かれるんですか?
いつも朝は何時頃出発ですか? 」
釣りが好きだなんて話したら、引かれるだろうと思ってたのに
小野寺さんがえらい喰いついてきて笑っちゃった。
私は大抵いつも利用している穴場を彼に教えた。
「お天気が悪くても行きますか? 」
「はい、台風でもない限り小雨ぐらいでしたらカッパ着て
行きますよ」
「へぇ~、ほんとに好きなんですね。どなたかと一緒に? 」
「女友達は残念ながら、釣り好きはいないのでいつも行くのは
ひとりなんですよ。
ただ同じようにひとりで来てる人で何度か一緒になったりして
話する現地での知り合いが3人ほどいます」
暑い中だったけど潮風に当たりながら海を目の前に、この辺で
ぼちぼちお開きにしたほうがいいかな、と思っていたら、以心伝心
したかのようなタイミングで小野寺さんが『暑いですしそろそろ
帰りましょうか?』と、言ってきた。