助けられる才能
俺の魔力探知の最大範囲は約15メートル程度。音がしない戦闘人形への警戒に常に展開していなければならないし、体を動かす闘気も考えれば……紅炎集束砲なんて撃てる訳がない。使えるのは良くて太陽光弾なら3発、太陽閃光なら大型1発。侵入に使ったような小型なら5発。他はあまり撃たない方が良さそうだ……それに、
「殺ス! 殺シテヤルカラ、出テコイ!」
遠くから聞こえる声に体がビクッとなってしまう。適当な部屋に飛び込んでやり過ごす。まだ魔力探知の範囲に引っかかってないけど、あの怒りに満ちた声には油断できない。
やっぱり、顔にトラバサミを投げつけたのはやりすぎだったかな。痛みが無い戦闘人形にはそこまで効果が得られなかった……いや、怒らせた位か。怒るのか……機械が。
「ココダナ!」
魔力感知にもの凄い何かが引っかかり、俺が居た部屋の扉が轟音と共に吹き飛ばされる。煙が巻き起こっている間に近くの机の下に潜り込む。しかし、直ぐに目の前にナンバー01が現れ、俺の首を掴んで引きずり出した。
脈が圧迫されてる……苦しい……けれど、即座に殺されるような力の入れ方じゃない。
「ヘヘヘ……ヤーット見ツケタゼ。ワザワザ、熱感知装置ヲ導入シタンダカラナ」
「ク……ソッ!」
「オット、サセルカ!」
「うぐっ!」
どうにか右手をナンバー01の前に持ち上げるが、狙いを勘づかれ頭突きで止められる。機械だからか……金槌で殴られたみたいに頭がグラグラする。
レイレイに太陽閃光を見せたから……ここまでか。
「コノママ、姉貴ノ所ニ突キ出シテモ良インダケドヨ! ドウセナラ、遊ンデヤルヨ」
壁に投げつけられ、背中を激しく打ち付けられる。カチっと音が鳴り、壁から機械の拘束具が生えてきて俺の体を大の字に固定する。ナンバー01が俺の胸に手を当てる。
何をするかは想像がつくけど…………怖い、フェル……助けてくれ!
「アハハハハハ! 泣クナヨ、ダッセェナ!」
瞳から零れた涙をナンバー01が舌で舐めとる。
悔しい! 悔しい! 結局俺は、1人じゃ無様に…………
(独りで戦い、己の弱さを理解し、悔しみ、涙を流す者の何を恰好悪いと言うのか?)
「ア? ナンダ、コノ声? 耳ノマイク通サズニ声ガ頭ノ中ニ響イテクルヨウナ……?」
この声は……この頭の中で響く声は……!?
(さあレイジよ。貴様の覚悟を我に見せよ。1人で出来ない事を恥と思う必要は無い。人1人の限界などあって当然よ。貴様はその限界が近いだけ、何も悔やむ事は無い)
「オイオイ、何処ノ誰ダカ知ラネエケド、コノ泣キ虫ニソンナ度胸ガアル訳……」
「別に手からじゃなきゃ出ないわけじゃない……手からの方がイメージしやすかっただけなんだ」
「ア? 聞コエネー……ンナ!?」
「腕封じただけで良い気になってんじゃねーよ! 目・太陽光線!」
俺の目から放たれた光線が、ナンバー01の額を貫く。ナンバー01は白目を剥いて、その場へと崩れ落ちる。腕と足の感覚が消えていく……
当然だ、体内の闘気を使い果たしたんだから。でも……
「助けてくれるよな? 天照!」
(然り! 我は天照! 貴様と酒を酌み交わした仲だ。故に貴様に力を貸そう!)
天照が俺の目の前に現れ、俺の拘束を燃やす。熱くなくて、服は燃やさない美しき太陽の炎。その炎は俺の右腕を包み込み、太陽の腕に取り込まれる。
この体が軽くなる感覚……模倣品ではない。本物の太陽の腕だ。
(カガミの魔力と我の神力を合わせた闘気だ。ここはまだヤパンの中。充分に力を貸せる場所だ)
俺は神の加護は受けれない。けれど、このヤパンで天照から溢れる力を一時的に借りる事なら可能だ。だから……だから!
右腕から波紋を浮かべながら剣の柄が出てくる。
(剣を取れ、レイジ! その剣は我がフェルに授けた物。加護自体はフェルが受け取っている。そのフェルから借り受けたならば、加護など関係なく、扱えるだろう!)
太陽の剣が勝手に動き、俺の右手に収まる。頭に流れ込むイメージのままに、左肩のあった場所に突き刺す。太陽の剣は形を変え、橙色に煌めく炎の模様が描かれた太陽の左腕となった。
(背に乗れ、行くぞレイジ。貴様は1人で戦う事はない。常に誰かに助けられる。それが貴様の才能だ。誇るが良い。その才能だけは地球の頃からの貴様の唯一無二の才能よ!)
「常に誰かに助けられる才能……それが俺の才能」
そういや、ミハエルも言っていた。1人で何か出来ないなら、2人で何かをすればいい! 俺と天照でフェルを助ける!
試験的に文字数を増やしてみました。
後、友人に表紙を描いていただきました!
第5部の挿絵として、掲載しております!!
可愛いフェルとレイジの表紙絵、是非ともご覧ください!
亜美奈優様、ありがとうございました!!




