追い詰められても
闘気で疑似的な左腕を作り出す。重心のズレとかは誤魔化せないし、相手の武器には義手と違って耐えられない。
けれど、ここからだ。天照との修行だって左腕を失ってからが本番だった!
「勝ち目ない。降参を勧める」
「馬鹿言うな……俺は絶対に天の岩戸に行かなきゃならないんだ」
フェルに会いたい。その為にも、コイツに屈することは出来ない。
「太陽光線!」
右手の人差し指から、速度優先の光線を撃ち出す。カグヤは当然それを刀で切り裂いていく。魔法を当然の様に斬りやがって……とにかく、逆にインファイトに持ち込んでやる。
義手と義足は絶対に壊せないはずなんだ。カグヤも義手では無くて、根元の肩から斬り落としたのだし。だったら、太陽の腕を温存しながらの接近戦、壊れない義足と左腕で追い詰めてやる……!
「この刀の斬れ味に接近戦……度胸あるね」
一気に接近すると、刀が左から真横に振るわれる。左膝で受け止め、背中の刀を右手で握り、一気に振り抜く。カグヤは後ろに飛び退いて、逆袈裟斬りを避ける。
当たり前だけど……素早い、けれどパワーがあるわけじゃない。攻撃も見切れない訳じゃないけど……
「フンっ!」
「そうくると思った、よっ!」
咄嗟にしゃがむと、頭上から風切り音がする。後ろを見ずに手を地面につき、後ろを蹴り上げるが感触は無い。地面を蹴る音、また飛び退いたか。
この瞬間移動が厄介すぎる……というか、シェーンの人間なのに。瞬間移動や転移を攻撃に使う発想がおかしい。この世界では転移は難しい技術で、こんなに簡単に使えるはずがない。
「あの人には敵わないけど、貴方もそこそこやるね。名前は?」
「レイジだ」
的確に顔を狙われたナイフを闘気の左腕を巨大化する事で、受け止める。すぐさま、掌を貫いて刀の切っ先が向かってくる。身を捩り、鎖骨の少し下の辺りで刀を受け止める。
受け止めるなんて言ったけど、ぶっちゃけ刺さってるわけで、滅茶苦茶痛い。けれど、これで……これで……!
「っ!? 抜けない!?わざと!?」
「悪いけどこのまま、大人しくしてもらうぞ!」
闘気で筋肉を無理矢理締め付けて、刀を固定する。戸惑っている隙に左腕を伸ばして、グルグルに縛って拘束した。
闘気も大分使ったし、刀刺さったし……左腕も失ったけど、カグヤが俺を殺す気では無かったのが助かった。
(レイジ! 大丈夫か!? 今、天照様の力を借りて、お前に念話している!)
「ショウ? 視ていたのか?」
「嘘……? ショウの知り合い!?」
この反応……やっぱり、ショウの言っていた奥さんか。道理で簡単に転移でポンポン攻撃してくれるわけだ。まぁ、良い経験にはなったと思うよ。リハーサルの割に怪我多いけど。
(カグヤ、その人がレイジ・スギヤだ。詳しい説明は省くけど、その人を天の岩戸の最奥まで案内してあげるんだ。頼むよ?)
「うん、任せて」
負った傷はデカいけど……強力な味方が出来たな。待ってろよ……今行くからな。
現在のレイジの状況
レイジ
レベル 1+20(太陽の腕の補正)
HP 426/1000
TP 512/1000 (太陽の腕の補正)
状態異常 四肢欠損(左腕)
出血
ステータス(普通の値が250)
攻撃 1+500+50 (腕と刀の補正)
防御 1+500+250 (腕とマントの補正)
素早さ 0+500 (太陽の腕補正)
対魔力 100+500 (太陽の腕補正)
幸運 49 (50が基本値)
装備
E:二刀 無銘
E:太陽の腕
E:フェルのコート
E:フェルの義足
技
太陽光弾 TP15
太陽烈弾 TP30
太陽爆発 TP100
太陽光線 TP50
弱体耐性 TP1/m
身体強化 TP5/m
闘気の腕 TP10
闘気の盾 TP20
持ち物
簡易食事
水
護身用小刀
レイジの左肩の一部
フェルの義手(左)
???
めっちゃゲームっぽい!←馬鹿




