代償で、その脳みそを……!
レイジ君、最弱脱却!?
白い部屋、シンプルな白い机とパイプ椅子。ヘンジと2人きりで、絵を描かされていた。真っ白なスケッチブックに、羽ペンに黒のインクでそれっぽい形を描いていく。
絵とかそこまで得意じゃないから、俺の絵と説明だけで伝わってくれれば良いんだけど……?
「名前はどんなのがあるんだい?」
「俺が使うのは、さっきの5体に牽制で撃った太陽光弾。それの威力とサイズを強化した太陽烈弾。他には近付けば近づくほどヒット数と威力が上がる太陽爆発もあるな」
うーん……銃とか詳しく知らないのに聞いたことある名前とか、地球でのゲームのイメージだけでよく技として成立させてるよな……
とりあえずハンドガンを書いてみてるけど……外見だけだもんな。内部機構は欠片も分からないけど……
「他にもあるだろう?」
「後は……太陽光線か。基本薙ぎ払ったり、相手の魔法とまともに撃ちあう時とかに使う。それと、太陽光線を細く、遠くまで届くようにした不意打ち特化の太陽紫外線」
「スナイパーライフル! 覚えてるよ!」
「そんなに強い技じゃないからな……? 後は太陽閃光、目と耳を混乱させる技と……必殺技とも呼べる紅炎集束砲だな。最後に関してはイメージだけなら超弩級の太陽光線って感じだけどな」
ちょっと知ってる要素でも書き込むか。文章はまだ難しいけど、単語なら少し書けるようになったしな。ええと……引き金、弾、火薬……くらいで大丈夫かな?
良し。とりあえず、ラフだけど……ヘンジに見せてみる。
「ハンドガンはこんな感じかな……?」
「へー……フンフン……引き金……本来は弾丸か…………火薬入りなら……後は多分リロードだよね。レイジ、ちょっと他の技の元イメージも描いててくれる?」
「それは構わねえけど……あっ……行っちまった……マグナムは弾丸の種類が違うだけ……なら、先にショットガンのイラストか」
ヘンジ出て行ったけど……まさか、銃を開発とかしないよな……? この近接武器と魔法しかない時代に遠距離物理武器とか……チートも良いところだからな?
◆
ショットガンの絵を描き終え、特徴を書き込んでいく。確かポンプ式とかいうカッコいいリロード方法があって、弾が特別で……おっと、ドアが開いてヘンジが飛び込んできた。その右手には、予想通りにハンドガンが握られている。
ああ、やっぱり作ると思ったよ……まさか、20分程度で完成させるなんて……
「ハンドガンの試作品だよ! レイジの捕捉のおかげで撃てるし弾の形が分かったから、面白い弾を開発できたよ!」
そう言ってヘンジが見せてきたの普通の金色、デフォルメされた杖が描かれた銀色、デフォルメされたヘンジの顔が描かれた黒色、三色のハンドガンの弾だった。
うん……金色の以外嫌な予感がするけど、ヘンジの顔が描かれているのは絶対に怪しいと断言できる。
「まず金色が従来の弾丸だよ」
そう言って、ハンドガンに金色の弾をリロードし屋上へと向ける。耳を塞ぐ間もなく、発砲音が耳を貫き、天井を黒く焦がしていた。
「べ、別に撃たなくても疑ってないよ……銀と黒はどんな弾丸か口頭で教えてくれ」
「えー……まあ、いいや。まず銀色の弾、なんだけど……絵からなんとなく創造つく?」
杖の絵……まさか撃ったら弾丸から杖が出てくるみたいな……? 流石に科学だけでは無理だよな。となると…………
「魔法を弾に籠めれる……とか?」
「その通り! この弾丸に魔力を籠めると……あら不思議、属性を持った弾丸が撃てるよ! 魔法を使えないレイジにも属性攻撃できるね! 超便利!」
属性攻撃できるねって……銃くれるのかな……?
「そしてこの弾丸は………………というものさ!」
「ハァ!?」
「君用に調整したからね。是非使ってくれたまえ! 弾丸は黒以外ならフェルさんが複製できるからね!」
ハンドガンにこの黒の弾丸作って20分……こいつ、やっぱ天才か!?
今回の省かれシーン
レ:流石に量産しないでくれよ……?
ヘ:これ量産しても、私が作った時点で何故か誰も買ってくれないんだ……赤字だよ、トホホ……
レ:(そりゃ技術レベルが500年くらい先だもの!頭が未来すぎるもの!!)