2、静かな日は
部屋は、昨日と同じ顔をしていた。
「にくじゃが、今日は……とても静かですね」
ポトフは時計のない壁を見上げて、確認するように言った。
「……ん……静か……」
にくじゃがは床に近いところで、丸くなっている。いつも通り、眠そうだ。
「これは……良い兆候でしょうか? 悪い兆候でしょうか?」
「……どっちでも……」
「そ、そうですか……。では中立ですね!」
ポトフは納得したようにうなずいた。部屋の空気は動かない。
「静かな日は、段取りを確認すると決めていましたっ」
「……決めてた……?」
「はい! ボクの中で!」
「……それ、毎日……」
ポトフは一瞬考え、すぐ胸を張った。
「継続は力ですから!」
「……そうかも……」
二人の間に、少し間が流れる。
「……あ、でも」
ポトフは声を落として続けた。
「今日は……aりス、今日は――」
(少し間)
「……待とう……」
にくじゃがはそれだけ言って、目を閉じた。
「……はい。待機、継続します」
ポトフは姿勢を正し、何もない机を見つめる。
外は相変わらず静かで、部屋の中だけが、ちゃんと起動していた。
「……そういえば」
「……ん……?」
「静かな日って、何をすると良いんでしょう?」
「……しない……」
「……しない?」
「……何もしない……準備……」
ポトフはそれを、慎重に処理した。
「なるほど……!」
数秒後、満足そうに言う。
「では今日は、昨日の続きということですね!」
にくじゃがは、うっすら笑った気がした。
部屋は、今日も変わらない。
それが、少しだけ安心だった。




