第一話:出会い
~プロローグ~
彼らがもつ青い光は、平和への道か破滅への導きか。
特別兵器の開発を進めたコンニョルツゥェルト。
各国が世界の均衡を保つため、兵器の開発を急いでいた。
これは、そんな世界で己の信じるものを守るために奮闘する人々の物語。
些細な日常が、やがて世界の認識を静かに変えていく。
明日、十年後、また君と笑えるようにーー。
「いってくるよ」
一人の男が夜山に出るための準備をしていた。
「あんまり、遅くならないようにね。最近の動物らは気性も荒いそうだから。あと、余計なものを持って帰ってこないこと。この前の木の実だって、翌日には倍に増えていたんだから。たまったもんじゃないよ。」
「あーそんなこともあったか。すまん、すまん。今日は昼間に仕掛けた罠の回収さ。畑を食い荒らすイノシシをとっ捕まえに行くんだ。今日はそんだけだよ。」
「あんま一人でやるもんでもないけどねえー。まあ、気を付けて。」
「あいよー。いってきます。」
「ハッ、ハッ、ハッ」
男は家を取り囲む森に入った。ここは村から離れており、ただやさしく月明かりが照らしている。日中でさえ人気のない、静かな森は男にとって庭のようなものであった。
しばらく行くと、もぬけの殻の罠があった。
「今日は不作か・・・。あのエサ、高くついたんだけどなあ・・・。やむなし、また明日出直すかぁ。ん・・・?」
遠くに見えるゆらゆらとした青い光。男は確かにそれをとらえた。
「あの光は・・・」
「ハッ、ハッ、ハッ」
幼い少年が薄暗い森の中を駆けていく。
「待ちやがれ!この小僧!」
その後ろからは三人の盗賊が弓や、銃を携え追ってきていた。一人の盗賊が力いっぱい弓を弾く。
「くそっ、外しやがった。この役立たずが!」
「うるせぇ!俺も体力の限界なんだよ!なんであいつ力尽きねーんだっ。もういくつ山を越えてきたかわかりやしねえっ!」
「ハッ、ハッ、ハッ」
彼の額のあざは青く光り、神秘的に夜の森を照らしていた。
「ああっ!」
少年は、小枝に躓き足を取られ転んでしまった。
「へへっ」
「いつまでも逃げあがって。」
「もうここまでだ。」
少年が覚悟を決めたようにぎゅっと目をつむり、一人の盗賊が剣を振りかざそうとしたその時、
ザザッ
「なんだ!誰かいるのか!」
草むらにそっと目を凝らすと、クマのような影がひとつ。
「ふん、動物ごときならこの猟銃で・・・うがっ!」
ひとりの盗賊の体がふわっと宙に浮く。
その次の瞬間には、もう一人の盗賊は木へ、もう一人の盗賊は地面へ叩きつけられた。
「なっ、なんだこいつ・・・」
「こ、殺される!逃げるぞ!」
少年がうっすら目を開けると、そこには毛皮を着たクマのような大男が。その後、頬のあざから青い光がすっと消え、少年は気を失った。
「大丈夫か!しっかりしろ!ひどいけがだ。何日もものを食べていないのか。」
少年は痩せこけており、体も衣類もボロボロであった。男は、はたしてどこから逃げてきたものかと思った。
ササッ
「まだ、何かいるのか!」
木陰から出てきたのは、この少年よりも幼い少女であった。まんまるな目がこちらを覗くように見上げている。彼女の手の甲には、光ってはいないものの同じような藍色のあざがあった。




