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ハチロクと少女  作者: 咲舞佳
17/20

17話 駐車とヒールアンドトゥ

誤記修正しました。

ヒールアンドトゥについて加筆し、2話の冒頭シーン回収しました。



登場人物


水島 仁美ひとみ : 主人公 

小島 はるか  : 幼馴染

高橋 たかし  : 幼馴染

中田 里美さとみ : 高校の後輩

水島 和仁かずひと: 主人公の父親

水島 佳澄かすみ : 主人公の母親

福山 あつし  : 同級生 自動車部



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ハチロクで大学通学を始めて数日、今仁美は大学の駐車場にいる。

工学部とは違う学部の駐車場だ。


何の用かというと、遥の帰りを待つ間駐車の練習をしていた。

しかしここは遥の通う教育学部の駐車場でもない。


バックをするとき止まったままステアリングを切るとパワステのついていないハチロクはとても重い。


なのでステアリングを先に切って駐車するということが、女性である仁美にはとても難しいのだ。


やり方としてはバックしながらステアリングを切ることが必要となる。

駐車場の1台分空いてるところへ向かい、目的の駐車スペース側へ車を寄せる。


両側に車が止まっているので、目的のスペースをこえ隣の車に届いたあたりでステアリングを切る。


駐車場幅いっぱいつかってぎりぎりで止める。

ここで止まる前にステアリングをセンターまで戻す。


この時点で真っすぐバックすれば隣の車にリヤの角部をぶつけないで済む位置につけておく。


そしてバックしながら駐車スペースに角部が入ったところでステアリングを切る。

リヤの角部が駐車スペースに入ってしまえばステアリングを切っても車体側面をぶつけることはない。


しかし、角度が浅ければ逆側のリヤ角を反対側の車にぶつけてしまうので注意が必要だ。

駐車スペースにリヤから進入しつつステアリングを戻していく。


このときサイドミラーをみて駐車場の白線を確認し、車体が真っすぐ入っているかどうか確認する。


しかし、サイドミラーだと後ろのほうの白線しか見えないので早めに確認しておく。

車によってはバックに入れると同時にサイドミラーが下を向くものもある。


アフターパーツで白線を見れるようドアミラーの下にサブミラーを付けることもできる。

車が真っすぐにさえなっていれば、あとは後ろを見ながら後方にとまっている車などにぶつけないよう距離を測ってとめる。


この車両後端が目視で見てもバックミラーで見ても距離がわかるようにならないといけない。

目視の場合は目印としてこのハチロクにはリヤトランクにスポイラーがついているので、そのスポイラーの横線と後ろにとまっている車両の高さの位置で距離を判断したりする。


最近の車だとアラウンドビューモニターがついており、モニターに車両と周辺画像および車の曲がる方向を画像表示した上、障害物との距離をセンサーで感知しアラームで警告してくれる非常に優れた機能がある。


しかし、この機能に慣れていない人が多くモニターを見ながら駐車しようとして隣の車などにぶつけてしまうというケースが多くあるそうだ。


実際にモニターで見るとまだ余裕があるように見えてあと20cmもない、なんてことになっているのだ。


もし初めてモニターを使って駐車しようとしている人がいるなら、目視とモニターとの距離感の差をしっかり確認したうえで駐車することをお勧めする。


ハチロクを駐車スペースに収めてサイドブレーキを引いた。

エンジンはかけたままだ。


駐車場は広く、建屋まで距離があるのでそれほど迷惑にならない。

仁美はひとり呟く。


「ちょっと左よりだし、ななめになっちゃった。まだまだ練習しなくちゃ」


そして、駐車したがすぐに出発する。

同じ駐車場でぐるぐる回っていると周囲の人に不審な目で見られてしまうため、別の駐車場に向かう。


仁美の通う大学は駐車場がそれこそ二桁数はあるため、仁美は駐車の練習に駐車場巡りしていたのだ。


こんなことができるのは日本でも数えるほどだろう。

そのまま、遥から連絡が入るまで駐車場を回り続けたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ある日の大学の授業の後、休憩時間に仁美に話しかけてくる人物がいた。


「水島さん、今日もハチロク乗ってきたの?」


同級生である福山だ。

自動車部で180SXに乗っている。


「あ、福山君。そうだよ。今日も乗ってきてるよ」


「うーん!ハチロクいいよねー!」


「確かにいい車なんだけど、いろいろ大変で・・・」


テンション高く話す福山に仁美はその苦労をにじませて返答する。

周囲の男たちも、なんで福山が水島さんと話してるんだ?とチラチラと見ながら聞き耳を立てている。


100人近い人数がいる工学部電気電子工学科で女子は10人に満たず、その女子の中でも一番の美人との呼び声が高い仁美であった。


その聞き耳を立てている中でも一人、目を見開いて二人を見ている男がいた。

仁美の幼馴染である隆だ。


「なんで福山が水島と!?」


隆は福山とは話をする程度の仲ではあり、今まで仁美との接点がなかった福山が仁美と話しているのを驚きの表情で見ていた。


「あー、あれだけ古い車だといろいろ大変だよね」


「そーなんだよねー」


仁美と福山の会話が続く。


「じゃあ、自動車部に入らない?」


「自動車部?」


「うん。俺自動車部に入ってるからぜひ水島さんもどうかな?大変なら自動車部のみんなが助けてくれるし、場所も工具もあるよ!」


福山の勧誘に熱がこもる。


「うーん、自動車部かー。まだ私ヒールアンドトゥもできないし、自動車部は敷居が高いかなー」


仁美は乗り気でない。


「大丈夫だよ!俺だってまだできないし、自動車部で走行会とかもやってるから一緒に練習しようよ!」


福山はぐいぐい来る。

隆は福山に視線が突き刺されとばかりに凝視している。


そうか、水島はハチロクで通学を始めたから自動車部である福山に声かけられてるのか、と納得するも全く落ち着くことができない隆だった。


「ちょっと考えてみるね」


すぐには引いてくれそうにないと察した仁美はとりあえず保留とすることにした。


「分かった!絶対水島さんのためになるから!よろしくね!」


最後まで押してくる福山に愛想笑いを返す仁美。

立ち去る福山を見ながら考える。


(自動車部かー。車に関する工具は全部パパのがあるし、家に作業スペースもある。特に必要を感じないのよねー)


さらに仁美は父和仁の車を他人にいじくられるのは嫌だと感じていた。

可能なら全部自分で何とかしたいと思っていたのだ。


しかし、車の作業を女性一人でやろうとすることがどれだけ大変であるか、この時の仁美はよく分かっていなかった。


その仁美を教室の片隅から見ていた隆も一人考えを巡らすのであった。


授業も終わりいつものように遥と一緒にハチロクにて帰宅する途中、仁美はヒールアンドトゥについて考えていた。


ヒールアンドトゥとは文字の通り踵とつま先を使ってブレーキとアクセルを同時に踏むことである。

つま先でブレーキを踏みながら踵でアクセルを踏んで回転数をあげてやるのだ。


走行中にギヤを変更すると、タイヤの回転数に対してギヤの大きさ、歯数が変わるわけなので回転数も変わる。


その回転数差を半クラッチで吸収するのがMT車の普通の運転であるのだが、それでは変速ショックが生まれ乗り心地が悪いしサーキットで速く走ろうと思えばタイムロスになってしまう。


さらにいうなら、コーナーリング中にもギヤチェンジを行うことがあるわけで、タイヤのグリップ力ぎりぎりのところを使いながらそんなことをしようものなら、車は挙動を乱してスピンなり、それこそ速度がのっている場所だと予期しない方向へすっ飛んでしまう。


逆にその変速ショックを使ったミッションロックというドリフト方法もあるのだが、それはまた別の話だ。


確か、パパはヒールアンドトゥの練習の仕方について話してくれたことあったよね、と

仁美は思い返す。


「ヒールアンドトゥを練習するなら、まずはアクセルで回転数を合わすところから始めるといいよ。これだったら街乗りで安全にできるからね。いきなりヒールアンドトゥをやろうとすると急ブレーキになっちゃったりして危ないから」


「アクセル踏むだけといっても、ブレーキで先に減速してなきゃだめなのよね」


父の言葉の回想に対し、思わず口に出して考える仁美。


「え?いきなりどうしたの?」


遥がいきなり前振りもなく話し出した仁美に問いかける。


「あ、ごめん。ヒールアンドトゥについて考えてたの」


「あー、あれねー」


遥も名前ぐらいは知っている。

実は、仁美のハチロクのことを知るために某漫画を全巻読破していたのだ。


仁美の前ですこしでもハチロクの話についていくためと思って読み始めたのだが、意外に面白く最後まで夢中で読んでしまった遥だった。


「ちょっと、練習しようと思って」


「え?いきなりやって大丈夫なの?」


「うん。いきなりだとさすがに危ないから、最初はアクセルだけ回転数をあわせれるように練習しようと思ってるの。そのために後ろの車がいないときや前方の車との車間をしっかりとってやるつもりだから」


心配する遥にしっかりと考えを伝える仁美。


「そっか。じゃあ、いつも通り周囲には気を配っておくから」


「いつもありがとー、遥」


「なによ、水臭い。私と仁美の仲じゃないの」


「えへへ」


大学や他人の前だと大学生らしく落ち着いた態度をとるが、身内の前では子供っぽい姿も見せる仁美だった。


うふふ、こんな仁美を見れるのも私ぐらいなんだから、遥は内心でほくそ笑んでいた。

遥なりの独占欲だ。

だからこそ、後輩の里美が来ると二人して仁美を取り合ったりするのだが。


仁美は遠くの信号が赤になったのを見て後ろを確認する。

車は来ておらず、早めにブレーキを踏んで前の車両との車間もしっかりとる。


「ここでクラッチを踏んでからアクセルを踏んで回転数を上げる!」


仁美は声に出して操作する。

すると、アクセルを踏みすぎブォーン!と大きなエンジン音を上げるハチロク。


「くっ!踏みすぎた!」


女騎士みたいな苦い顔をした仁美がつぶやいた。

それでもシフトレバーは4速から3速へ落とすため、3速ギヤに押し当てている。


回転数が落ちてくるとシフトレバーがすこっと入った。


「入った!」


喜びつつもすぐにクラッチを繋ぐ仁美。

回転数を合わせていれば半クラッチは必要ない。


一喜一憂する仁美をいつまで見てても飽きないなー、と一人ほくほくしている遥だった。

もちろん表情には出さない。


ハチロクを初運転した時からそうだったが、このハチロクは3速のシンクロが他のものよりもへたっていて入りづらい。


しかしそれでも、冷間時と比べてある程度走行して暖まった後だと幾分かは入りやすくなる。

さらに、今度は回転数を合わせて入れてやるのだからいつも以上に入りやすくなっていた。


そして、3速から2速へも同じようにクラッチを踏んでアクセルを煽りシフトレバーを2速

に押し当てておく。


すると、回転数が落ちてくきてあるタイミングでスコッと入る。


「入る入る!」


今まである程度無理やりシフトレバーを押し込んでいたので、スコッという感触が嬉しくてたまらない仁美だった。

ただ、シフトが入るのはいいがアクセルで回転数はまだまだ全然合わせ切れていない。


このハチロクは普通の車よりレスポンスがいいので回転数が上がりすぎてしまうのだ。

しっかり前の車と車間距離を取っていたのでそのままエンジンブレーキをかけたままブレーキを踏んで止まる。


「なんか良さそうだね」


喜んでいる仁美を見て遥が声をかける。


「うん!今まで入りにくかったシフトが入るよ!」


嬉しそうな仁美を見て遥もうれしくなる。

青信号を待ってから今度は発進だ。


初運転時と違い、1速に入れるのも苦労はしない。

暖まっていれば入りやすいし、入らなくても半クラを使用して入れる。


半クラでなくとも先に2速に入れてから1速に入れても入りやすくなる。

1速に入れて発進する。


半クラも問題なくずいぶんと慣れたものだ。

そして2速にいれるのだが、回転数を合わせるのに減速時と違って加速時はそれほど難しくない。


1速で加速して2速に入れるためNニュートラルにし、シフトを2速に押し当てる。

回転数が落ちてくるとスコっとシフトが入る。


「~~~~~!」


今までの苦労と比べると雲泥の差で入れやすいシフトに声もない仁美。

そんな仁美を見る遥も頬が緩んでしまう。


3速、4速もにシフトを入れておく。


「こんなことならもっと早くやっておくべきだったよー!」


仁美が一人でテンション高く声を上げていると、遥がなだめる。


「まあまあ。今までいろいろ練習してきたから今上手くいってるんでじゃない。仁美が頑張ってきたからだよ」


「ありがとー!遥ー!」


仁美の感謝の言葉に満面の笑顔で返す遥。


「じゃあ、次はブレーキ踏みながらだね!危ないから車が後ろにいない時にするね」


「りょーかい」


遥は微笑みながら返事する。

その様はまるで子供を見守るお母さんだ。


(手間のかかる子よねー、でもこんなかわいい子供ならウェルカムオッケーよ!)


心の中で親指を立てる遥。

表面には出していない分ギャップがすごい。


後ろに車がいなくなったことを確認して、次の信号で止まるため今度をブレーキをつま先で踏みながらクラッチを踏みながらアクセルをかかとで踏もうとする。


「!?」


エンジンがブォーンと音を立て、車がガクン!と前のめりになる。

ブレーキもアクセルも踏みすぎてしまったのだ。


慌ててブレーキを緩める。

仁美はびっくりしてしまい、そのままNニュートラルでブレーキを踏み続け信号前で停止した。


「うーん、難しい」


仁美は唸ってしまう。

実は、ヒールアンドトゥはサーキットで行うよりも街中で行うほうが難しい。


サーキットではほとんどの場合フルブレーキで思いっきりブレーキを踏みつけながらアクセルを踏むのに対し、街乗りではそれこそちょんブレ(ちょんとブレーキを踏む)でアクセルを煽らなければならないのだ。


つま先の力加減がとても難しい。

しかし、街乗りでヒールアンドトゥができてしまえばサーキットでは問題なくできるということだ。


そういえば、パパが街乗りのヒールアンドトゥのほうが難しいっていってたなー、と仁美は思い返す。


「仁美、大丈夫?」


考え込んでいる仁美に心配そうに遥が伺う。


「え?うん、全然大丈夫!これからも練習付き合ってね!」


「うん、まかせてよ」


仁美のやる気に遥は答えながらも、内心でつぶやく。


(これからもまだまだ仁美と一緒にハチロクに乗ってられるわね。でも、この乗り心地だけはちょっと、ね)


仁美に見えないように口を押える遥だった。




Appendix



さあ、やっとヒールアンドトゥの話ができました。


作中に書いてある通り回転数を合わせてシフトを変えるだけならそれほど難しくはないんですよ。


シフトダウンするときにアクセルを煽ってぴったりと回転数を合わせるのに練習が必要なくらいです。


あと、シフトレバーの押し付ける力の加減ですかね。

新しい車ならちょっと押し当てるくらいで簡単に入ると思いますよ。


さらに!こちらをご覧いただいている読者様だけに、そっとノークラッチシフトチェンジのやり方お教えしましょう!


あえてテンション高めで行きます。

引かずについてきてください。


よろしくお願い致します。

ではいきます。


超必殺技伝授!


初めて龍虎●舞や覇王翔●拳が使えたときは嬉しかったですねー。

それどころか 初めて波●拳とか昇●拳とかコマンド入力できたときもですよねー。


そもそもゲームセンターで初めて●トリートファイターを見たときはボタン六つもある!って驚いたものです。


波●拳出るまでそれはもうがちゃがちゃしたものですよ!


スー●ーファミコンでザンギエ●のスクリュードライ●ーやろうとしたときはそれこそ指が裂けるんじゃないかってくらい十字キーを廻しましたよ!


ちなみに餓狼伝●のギースハワー●のレイジン●ストームなんて、十字キーでのコマンド入力なんて頭おかしんじゃないの!ってくらいシビアな入力タイミングでした!


何の話だって?


あ、はい、すいません。

本題に入ります。


ノークラ(ノークラッチ)運転もこの回転数が合わせられれば難しくないんですよ。

ヒールアンドトゥができる人ならちょっとコツをつかめばすぐにできるほどです。


やり方は簡単です。

シフトを上げるときはアクセルを離した瞬間にふっとトルクがぬけますので、その瞬間にNニュートラルに入れます。


それと同時にシフトを素早く一つ下のシフトに押し当て回転数が落ちてくるのをまつ。


すると回転数があったところでズコっと入ります。

まあ、クラッチを切った時よりも力をちょっと入れて入れる感じですかね。


ちなみにバイクも可能です。

それどころかバイクはチェーンのたるみを利用するので車よりもやりやすいです。


シフトを下げるときのほうが難しいです。

Nニュートラルに入れた瞬間にアクセル踏んで回転数をぴったりと合わせてシフトを入れなければならないので。


完全に回転数を合わせられるようになればそう難しくはないという話です。

まあ、その回転数をあわせられれば、ですが。


私もハチロクでしかやったことありません。

試したことないだけですけどね。


十何年も乗ってればたぶんだれでもできるようになると思いますよ。

その前も何台か乗ってましたがそこまで至る前に乗り換えちゃいましたね。


ハチロクに乗る前シルビアにのってたのですが、ハチロクに乗り換える原因になったお話も作中に書けるればと思います。


それはもう、大きな理由がありました。

いつ書けるかわかりませんがぜひ楽しみにお待ちください。


それでは次回も当作品をよろしくお願い致します。


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