85.依り代
遂にイヴ、顕現!?
「えっと…お待たせ、みんな。」
イヴの人化は、無事、成功したようで、修一らの目の前に、綺麗な銀髪をサイドテールに結んだ、紫眼の美女が佇んでいた。
最初に動いたのは、リリシアだった。
イヴの姿を確認した瞬間、弾けたように跳んでいき、彼女を抱きしめたのだ。
「あはははっ。リリシア…痛いわよ…。」
「痛みを感じるのは、生きてる証拠です!良かった!本っ当に、よかっだでずぅぅうう。」
リリシアは、涙で顔をグズグズにしながらも、きつく、きつくイヴを抱きしめた。
「イヴ、おめでとう。やっとお前に会えたよ。」
修一もそう言いながら、サーラを巻き込んで、二人に加わる。
「苦しいわよ…みんな。」
「ありがとう。みんな、本当にありがとう。」
「いえ。」
「はい゛い゛ぃぃぃ。」
腕を解いて見やれば、みな目に涙を湛えていた(若干一名溢れ出ているが)。
「ねぇ、マスター。人ってこんなにも温かいのね。今なら、マスターがリリシアに助けられた気持ちがわかるわ。」
「そっか。」
「ねぇ、マスター。世界ってこんなにキラキラしていたのね。色も風も、音や匂いも。そのすべてが愛おしいわ。」
「あぁ、そうだな。」
「ねぇ、マスター。何故だか涙が止まらないの。人の体って、案外不便ね。」
泣きじゃくった顔で、イヴは笑った。
*****
「…こうして、現実で飲むお茶は、こんな味がするのね。」
邂逅後、少し落ち着いてから、修一らはお茶を飲んでいた。
「そんなに違うものか?」
「ええ、こうして比較すると全然違うわ。向こうじゃこの熱さもデータでしかないし。」
「…もしかして、やけどした?」
「……少しだけ//」
「「「…ぷっ。」」」
「もう!笑わないでよ!」
「あははは!まぁ仕方ないよね。サーラ、治してあげて?」
「…っ……かしこまりました。『heal』。」
「…ありがとサーラ。…いつもより、応えるまでの間が長かった理由は聞かないであげるわ。」
「ありがとうございます。」
「いや、それ自業自得だから。」
「あ~!言ったわね!」
「ふふふ。」
「リリシアも笑ってないで何か言ってよ!」
「え?私ですか?…えへへへ。」
「…何よ、その顔は…。」
「嬉しいんです。こうして皆さんと一緒に居られて。私、今、すっごく幸せです。」
「全く、リリシアったら…もう。仕方がないわね。」
イヴはそう言いながら、リリシアの頭を撫でる。
「えへへへ。夢が一つ叶いました♪」
素直なリリシアの一人勝ち?だった。
「そうだ、修一さん、イヴさんの人化を祝ってパーティーしましょう?」
「そうだね。イヴは、食べたいものはあるか?」
「チョコレートとケーキ!」
「…ご飯では?」
「えーっと、お蕎麦は食べてみたいってずっと思っていたのだけれど、お茶ですらこうも違うとなると…とりあえず全部もう一回食べ直す必要があると思うの。」
「おい。」
「ふふ。まぁ追々ね♪今日は、マスターに任せるわ。」
「へいへい。…そういえば、その体は、本当のものではないんだよな?」
「ええ。扱い的には依り代になるみたい。でも姿形は私そのものよ。どう?綺麗でしょ?」
「あぁ、すごくな。流石、女神様だ。」
「え、そう?ふふ//素直に褒められると照れるわね。」
人化して表情が出来たからだろう、感情の起伏がとても分かりやすくなった。彼女の笑顔を見ているだけで、修一も多幸感に包まれるのだった。
「あ、それよりも、トランプしましょう!ふっふっふー、腕が出来た私に怖いものはないわ。さぁ、かかってらっしゃい!」
――多少ポンコツ度が増したイヴでも、今はどうしようもなく可愛く見えてしまうのだった。
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