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16.祝杯

 船の改築が完了した。


 無事船の改築が完了したので、その日の夜は記念日として、パーティーを行うことにした。


 メニューの【マーケット】を開き、1杯3000(DP)の牛丼と缶チューハイを購入する。痛い出費だが、そろそろおいしいご飯が食べたい。それに向こうの(現実)世界でもどこかのホテルが5000円の牛丼を本当に販売しているらしいし許容範囲だといえるだろう。めでたい日なのでケチるのはやめだ。

 味噌汁をつけるか非常に迷ったが、その分お酒につぎ込もうと、今回は我慢することにした。


 ぽわっと光った後に、牛丼とチューハイが現れる。

 待ってました!


 まずは乾杯から、早速缶チューハイを手に取り、プルタブをひねる。

 プシュッ。

 心地よい音が響く。


 「新たなる船に、乾杯!」

 「ふふ、乾杯。」


 「ゴクゴクッゴク…プハァア!…うまぁあぃ…。」

 シュワッっとした炭酸がのどで弾け、柑橘の爽やかな香りがスッキリと鼻に抜ける。久しぶりのアルコールが五臓六腑、ひいては身体全体に染みわたるのを感じた。


 (お次は、牛丼!)

 ついてきた七味唐辛子と紅ショウガもきちんとふりかけ、手を合わせる。


 ……美味い。只々美味い。

 牛肉のジューシーさと甘しょっぱいタレ、そしてお米の相性は言うまでもなく絶妙で箸が止まらなくなる。

 牛脂の旨味を紅ショウガがさっぱりと口をさわやかにし、七味のおかげで引きしまったことでタレの甘みが強調される。そしてそれらを、チューハイで流し込む——ぁああ幸せだぁ…。

 …爆発的な旨さのエネルギーを、修一はブラックホールの如く食べつくした。


 「美味かったなぁ…。」

 食後、波のせせらぎを聞きながら、黄昏る。満天の星の下で飲むお酒は格別だった。


 「しかし、久しぶりのきちんとしたご飯は最高においしかった。やっぱり日本人は米だね、米。」

 そんな風に独り言ちていると、

 「ね、ねぇ、そんなに美味しいものなの…?」

 イヴが話しかけてきた。


 「うん、まぁね。故郷の味っていうのもあるだろうけどね。」

 「ふぅん…。ね、マスター、私にも食べさせて?」

 「え?食べたいの?ていうか食べられるの?」

 「ええ。正しく言うと吸収するのだけれどね。でも味覚情報を引き出せば疑似的に味わえるはずなの。ね、お願いっ。」


 イヴにせがまれ、追加の酎ハイと牛丼を買うことになった。イヴは本来、食事は必要ないため完全な娯楽でしかないが、お世話になっているしお願いされれば買うしかなかった。それに日本の味を自慢したいという気持ちも少しだけあった。


 買った酎ハイと牛丼をテーブルに置く。するとシュワシュワっと泡になって溶けダンジョンに吸収されていった。

 その光景はなかなかにシュールだったが、

 「わぁ!なにこれ!!美味しい!!あ、このお酒もぉいし!」

 と、いつもよりワントーン高い声ではしゃぐイヴの様子を見て何にもいえなかった。


 因みに今回の吸収は、コアによる直接吸収なるもので、ダンジョンの寄生機能によるものではないらしく、普段の吸収はコアと感覚が離別しているらしい。ゴミとか吸収してもらっているしよかった。

 コアの機能については一度まとめておいた方がいいかもしれない。


 【DP】

 缶酎ハイ×3=3000DP

 牛丼×2=6000DP

 ―――――――――――

 残高 27万1000DP


ご閲読ありがとうございます。


誤字・脱字および誤用等ございましたら、ご指摘ください。

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