14.海へ
クルーザーは「F〇IRLINE T〇RGA 38」を参考にしています。
※どこまで明記していいのか分からないので、ある程度伏せさせていただきます。すみません。
幽霊船は早くもお役御免です。
光が収まり目を開けるが、見た感じ周囲に変化はない。ただ、明確に変わったところもあり――。
「…せまい。」
そう、部屋がかなり狭くなっているのだ。扉さえなくなっている。
修一は、メニューから【デッキプラン】を開く。
この部屋の変化の通り、きちんと成功したようだ。
表示された船図はイメージした通り、38フィート級クルーザーになっていた。
「おお、かっこいい…。」
船図によると、修一たちはコアルームという場所にいるらしく、位置にすると船尾、エンジンルームにあたる部分だ。魔法石のおかげでエンジン室にスペースができたので、コアルームにしたのだった。
「そういえば…。イヴいるか?」
「どうしたの?」
イヴの声がする。どうやら背後にいたようだ。
「いたいた。ふと気になったんだけど、イヴもここから出る?」
気にしていなかったが重要な点だ。ダンジョン探索のようにイヴを連れ出すことは心情的には構わないが、その時のコアの機能について確認をしていなかったのだ。
コアルームにいなければ機能が制限されるなどの問題で持ち運ぶことが厳しいのならば、せめてオーナー室とコアルームを接合しよう。いくら来訪者がいないとはいえ、ダンジョンの心臓部をデッキ上などあからさまな場所に置く訳にはいかないが、この暗い部屋にひとりは、流石に寂しいだろう。
「ふふふ。心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ。この船には私の魔力が流れているから。その気になれば船内の状況は逐一把握できるわ。」
「そうなんだ、それじゃ大丈夫か。…ん?じゃあダンジョン探索の時も持ち運ぶ必要はなかったんじゃないか?」
「えっ…とそれはぁ、ほらマスターの助けになると思って!」
「…本当は?」
「…面白そうだなぁって思って。」
「はぁ…。まぁいてくれたからこそ話も聞けて、助かったから良しとするか…。」
「ふふ…ありがとうマスター。」
そういうことで、修一は一人でこの部屋から出ることになった。イヴは船の状況を把握できると言ったが、その逆はない。つまり――。
(会話相手がいないのは寂しいから、たまには駄弁りにあの部屋に行こう。)
修一はそう心に決めただった。
ハッチゲートがゆっくりと開くにつれ、徐々に光が入り込んでくる。
久しぶりに浴びる太陽の光だ。アップデート時の光に負けないくらいまぶしいが、その陽気はどこか温もりを感じる優しいものだった。
*****
修一は船尾デッキに立つ。
目の前に広がるは、深い青。
優しい波音と潮の香りが、修一を包み込んだ。
それは穏やかな海だった。
太陽は天高く座し、爛々と注がれた光に水面が煌めく。
(―――とてもきれいだ。)
その美しさに言葉をなくす。
こんなきれいな海を、クルーザーで走るのはさぞ気持ちが良いだろう。
元幽霊船――もとい新生グロリアス=グロストン号を見上げると、まぶしい船体の白が美しく映えた。
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