表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神愛転生  作者: クレーン
第三章
78/210

072話:新しいゲームと世界神の神託

「わらわも行きたいのじゃ!」


 先日の塩カツ丼の噂を何故か聞きつけたライラが、それを頬張りながらそんなことを言い出した。

 今日はシルフィーとメイリン女史をお供に引き連れているので、二人にも塩カツ丼を振舞う。


「行きたいってどこに?」

「決まっておろうに! 我が国を一周する旅のことじゃ! わらわも行きたいのじゃ~!」

「だ~め。今回のは遊びじゃないの! それにただ移動するだけの旅だから正直面白いことは何もないぞ?」

「それはそうなのじゃが……」

「あと、マークにオレ、キャストにソルム、ガドラにはダイルがそれぞれ乗っかるから空いてる席はもうない。だから諦めろ」

「マークならまだ余裕で乗れるであろうに……」

「確かにそうだけど、今回は短期間で移動を繰り返すだけの、思ってる以上に過酷な旅だ。正直マークたちにこれ以上の負担を背負わせたくない」

「ぐぬぬ……そう言われると何も言い返せぬのじゃ……。マークたちを苦しめるのはわらわも本意ではない……。しかしじゃのう――」


 まぁ正直なところ、ライラ一人増えたところで全く負担にはならないだろうが、王女であるライラが同行するとなると、特にメイドであるソルムが精神的にストレスを感じるのは間違いない。

 上司と四六時中一緒の社員旅行なんて死んでも御免だ。

 できればソルムにも少しは楽しむ余裕をもって欲しいので、今回のライラの我儘は頑として拒否すべきだ。


 とはいえ、こいつもオレに負けず劣らずの我儘娘だ。

 ただ「駄目」の一辺倒では簡単に引き下がらないだろう。


 ……あ、そうだ! 代わりにアレを提供してやろう。







「んっふふふふ~ん♪ では明朝見送りに行くので、それまで出発するでないぞ!」

「ハイハイ、了解~」

「ではシルフィーとメイリンよ! 城に戻るのじゃ!」

「はい姫様。ソーマ殿、塩カツ丼御馳走様でした!」

「ソーマ様、ここのメイドが着ている服のことで、後日御相談お願いします。ではこれにて……」

「りょ、了解……」


 御満悦な表情のライラに、頬に米粒を付けたシルフィー、そして屋敷のメイドたちが着ているメイド服を見て、今も目をギラつかせているメイリン女史が屋敷を後にする。


「あの、旦那様。一つ質問しても宜しいでしょうか?」

「何? ハルガス」

「あのライラ殿下があんなにも簡単に引き下がるなんて…… 一体どのような魔法をお使いになられたので?」

「ふふ……ないしょ♪」


 今回ライラを引き下がらせる代わりに、オレは眷属機能を使わせてもらった。

 ビデオゲーム機能なんだが、オレの眷属になら一部機能を譲渡することが可能なのだ。

 ということで、ライラには一五日間ビデオゲームを遊ぶ権利と、ゲームを三本貸し与えてやった。


 無人島では、あのハマりようだ。

 この交換条件を突きつけたら、あっさりと簡単に引き下がってくれたよ。

 貸したゲームのタイトルは「労働ランナー」「爆弾男」「ソロ門のキー」の三本だ。

 オレが少年時代に熱中したアクションパズルの傑作群を、思う存分楽しむがいい。


 ちなみに画面や音声、コントローラーなどは、眷属であるライラとシルフィーしか見聞きできないように設定してある。

 あと、歩きながらのプレイは絶対しないように強制(ギアス)をかけた。

 歩きゲームダメ絶対!




 とまぁ、そんなこんなで朝からひと騒動あったものの、そのあとは平和そのもの。

 旅の準備も順調に整えて夕方頃には無事完了。

 今は軽い運動がてらに、フラメン姉さんこと舞踏神様と二人っきりでダンスに興じながら近況報告をした。


「ハハハ♪ ライラちゃんにも困ったものなのだよ♪」

「まぁなんとかなりましたけどね……」

「でも、キミも少しは乙女心を理解してあげないといけないのだよ。多分ライラちゃんは、少しの間でもキミと離ればなれになるのを嫌がっているのじゃないのかな?」

「そんなものなんですかね?」

「やれやれ…… でも、それでこそのキミと言うべきか……」


 二人で踊りながらそんな会話をしているわけだが、フラメン姉さんは凄く生暖かい目でオレを見つめる。

 言わんとしていることは何となく解りますけどね……。

 でもオレはライラをそういう対象では見ませんよ。

 あいつやシルフィーは気の合う大事な友人とか仲間ってだけで十分です。


「まぁその辺りはキミたちの問題だし、私もこれ以上は口を挟まないのだよ。キミはキミの描く新しい人生を歩めば良いのだよ」

「な~んか凄く含みを感じる気がするんですが……まぁ遠慮なくそうさせてもらいますよ……。ところで今月に入ってから何か動きはありました?」

「やはり気になるかい?」

「そりゃ、まぁ……」


 オレが気にしているのは、「雷の月」に入ってから、新しい上神様がこのフォーランドに降臨したかどうかの確認だ。

 オレに加護を与えてくれた上神様以外の上神様が、毎月一柱づつ降臨する話は否が応にも気になるってなもんですよ。


「昨夜、世界神様から降臨している上神宛てに神託が下りたのだよ。新しい上神をフォーランドに降臨させたってね」

「やっぱり……。でも思ってたより遅かったですよね? 以前の姉さんの話からして、月が変われば直ぐにでも来そうな勢いでしたのに?」

「いや~……それがだねぇ……」


 フラメン姉さんの話では、世界神様の神託には続きがあった。

 なんでも今回の降臨権争奪抽選会に参加した上神様は、なんと八万柱にも及んだそうだ。

 一気に四倍かよ⁈ どんだけ神様たち暇してるんですか?


 まぁそんな訳で、これには流石の籤神様も大変だったらしく、予想外に時間がかかってしまったらしい。


 で、とりあえず今年一杯は参加希望神が増えても今の体裁を貫くらしいが、また来年から色々と変更を加える可能性があるとのことらしい……。

 いやもうホント……ペースを上げるなんてことだけは、マジで勘弁して下さいよ。


 ……いやホントにマジで!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ