表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

零&ユラ編 8

どうも皆さんこんにちは。モチベーションが上がらずに、ガンダムとFateに逃げていた栗餡です。

そのせいで、不定期投稿になってしまったことについて、僕は謝りませんごめんなさい。

今後は、Twitterにて予定投稿日などをつぶやいて行く予定でいますので、よろしくお願いします。

それでは、僕の作品に最後までお付き合い下さい。

1ヶ月と少しの安静生活を送り、無事に退院できた零は、早速一人で曜日クエストに来ていた。

…………はずだったのだが、今現在、零がいるのは黒の壁に、ハチミツのように桃色の塗料のようなものが張り付いている部屋。そこの壁際に、両腕を鎖で拘束され、意識を失っている。

「う……っくぅ……あれ、ココは……?」

「お目覚めですか? 先輩♡」

目が覚めると、なんか病衣びょういの上半身はビリビリに破かれ、両腕には鎖の固く、冷たい感触。そして、ネットりと耳から入り込む声に聞き覚えを感じ、恐る恐る声の方向を見ると、黒と藤色のドレスを着た少女が微笑みながらベッドに腰掛けていた。

「蜂村…………?」

「そうですよぉ。先輩に会いたくて、ここまで来ちゃいましたぁ……♡あ、あと今の私は蜂村ではありません。“アイナ”、そう呼んでください♡」

「ふ、ふーん……なるほどね」

(めんどくさ……まさか来るとは思わなかったなぁ……)

“アイナ”こと、蜂村はちむら 愛夏あいなは、現実リアルだと零とカムル達の高校の後輩である。零が知る限り、暗い性格でよくいじめられていたらしい。

ある日、蜂村が男子達に襲われそうになった時、“たまたま”通りかかった零こと、朝峰 祐希が男子達を叩きのめした。それ以降、彼女は祐希を行き過ぎと思われるほどの尊敬の念を持ち、祐希に接するようになってしまったのである。

「てか、蜂む……アイナ、このゲーム始めたんだね。ゲームは苦手って、言ってたのに」

「はゥん! 先輩の声カッコよくて好きですぅぅ!」

(あ、ダメだこりゃ。)

零の声を聞いただけなのに、顔を赤らめ悶えるアイナを見て、零は助からないと察した。

(ん? なら、いろんな情報も聞き出せるんじゃないか?)

「アイナ、ココはどこ? 場所も伝えないで勝手に先輩連れてきちゃダメでしょ?」

「ごめんなさい! そうですよね、ちゃんとここがどこか言わなきゃですよね……」

(かかったwwwチョロいwww)

内心嘲笑いながら、それを悟られぬように顔を少しだけ硬くしながら、零は返答を待った。

「ここは、《ヴェステンス》の中にある、私の部屋です。いつか先輩と、こんな部屋で一緒になりたいなぁって思ってたんです!」

(《ヴェステンス》……確か、犯罪者だけで構成されたギルドだったな……前に運営から消されたって書いてあったけど、残党がいたのか)

「ふ、ふーん……そうなんだ」

「はぁぁぁ……今私、先輩とふたりっきり……あぁ! 嬉しさで気が狂いそうですッッ!!!!!!!」

「そうなんだ……あ、いい事教えてあげる」

零の言葉に、アイナは顔をきらめかせながら零の前に座る。

「なんですか? 先輩♡♡」

「この鎖外してくれたら…………どうしようかなぁ、アイナの言うこと、一つ聞いてあげようかなぁ~~?」

自分が脱出できるような質問をして、かかったら逃げようと思った零の予想をはるかに上回る行動を、アイナは起こした。

「はい! それなら外してあげます!」

そう言って、アイナは鎖の鍵を取り出し、零の左手首を握ったまま鎖を外す。

(ちくしょ、さすがにあの考えはないか……でも、みぞおちに1発入れれば……)

そう思い、力を入れようとした瞬間、肩に冷たいものが刺さる感触。その次に、体全体を焼けるような激しい痛みが襲う。

「ぐあああああああッッ! ! ! ! …………ア、アイナ……何を…………」

「痛いですか? 先輩……あぁ、メガネが落ちちゃってますよぉ……」

いつの間にかアイナの右手には、柄の部分に蛇の模様が彫られた短刀が握られている。その刃は紫色の液体が表面にコーティングされているようで、薄い紫色に光る。

「……私、能力を使えるんです。‘時限毒カウントダウン・ヒュドラ’って言ってですねぇ……相手に傷をつけるとその傷口から毒が入って……私が任意解除するか、誰かに殺されるまで、相手の体内に毒がまわり続けて、死んでも殺し続けるんですって。ちなみに、先輩に入れたのは神経毒……体の自由を奪わせてもらいます。少し乱暴ですが、許してくださいね? 先輩♡♡」

「ぐっ…………」

抵抗する零の手足は、命令を無視して動かない。動けない。アイナは、地面に横たわった零を抱きかかえ、ベッドに横にさせる。

「さぁて、鎖を外してくれたら、私の言うこと、一つ聞いてあげるんでしたよねぇ……」

「あ……ちょっと待って、お腹痛い……」

苦しい言い訳はスルーされ、アイナの舌が零の体を這い回る。

「はぁぁ…………先輩……」

「うっ、くっ…………」

珍しい物を手に入れた人のように、アイナの指先が零の至る所を撫で回す。

首からお腹へ、お腹から、腰へとジワジワアイナの指先が少しづつ下がっていく。

「ちょっと! アイナ、そこは……ダメ…………」

腰から下へと下がっていくのを、なんとか止めようとするが、アイナは聞き入れず、下半身の病衣をまくりあげ、太ももに接吻する。

「はぁぁぁ…………先輩の肌、ひんやりして気持ちいいですぅ♡」

「待って……アイ、ナ…………ダメだって…………」

さすがに焦ってきた零は、なんとか腕を動かそうと力を入れる。

刹那、天井が崩れ落ち、アイナはビックリして飛び退き、零から離れてしまう。同じくビックリした零の体に、誰かに担がれる感触が伝わってくる。

「先輩! 先輩!」

「…………黙っていろ、死にたいか」

「! ! …………あなたは、誰ですか?」

巻き上がる粉塵から現れたのは、零を担ぎ、怒りの炎を両目に宿したユラであった。

「……来てくれると思ってたよ、ユラ」

「零、後で貴様にはたっぷり聞きたいことがある。覚えておけよ」

「あ……はい」

二人が喋っている間に、ワナワナとナイフを握った手を震わせ、アイナは二人を睨みつける。

まさか、自分が大好きな先輩に、恋人がいたとは。それも、自分に知らせず。知らせてくれたら、その人を、殺してあげたのに。自分はいくら汚れてもいい。いくら罵倒されてもいい。とにかく、先輩と一緒にいれれば、それで良かった。それだけで、毎日が、幸せだった。

「……のに……」

「なんだ、言いたいことでもあるのか?」

「黙れ! 黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れッッ!!!!!!!」

ナイフを構えたと同時に瞬発的に地面を蹴り、先輩を担いでいる女に向かう。

「ユラ、彼女の能力は毒を扱う代物だから、掠っても死ぬと思って」

「了解した。すぐにケリをつけてやる。それと、ほい、解毒剤だ」

「ありがと、効くか分からないけど、飲んどく」

それを聞いたユラは頷くと同時に走り出し、昔からの愛用武器、{レイン・スワッシュ}を握り、最初の一撃を防ぐ。そして、勢いのまま振り下ろし、すぐに飛び退く。

「ハァッ!」

「フッ……デヤァッ!」

二人が戦っている間、なんとか蓋を開け、能力‘生物クリート’で引き出したヒトの両腕で解毒剤を飲む。甘い味が口に広がり、メニューに表示されていた毒のマークが消えたのが確認できた。

(あ、解毒剤効くんだ……よし、あとは僕が始末つけるかな)

「コレでッ、終わりです!」

「くっ…………何!」

投げナイフに気を取られたユラの首筋に、急接近したアイナの毒ナイフが光る。

「アイナ、待って」

「!!!!!!!」

愛する先輩の声が聞こえ、振り向くと、零が優しく抱きしめてくれる。服を通して伝わる温もり、優しく包み込んでくれる、力強い腕。ナイフが、自然と手から離れ、床に乾いた音を立てて落ちる。そのまま、両腕を回し、顔を埋める。

「先輩……」

「アイナ、僕は…………お前のことは好きになれそうにない……でも、決して忘れない。決して、思い出さない」

「いいんです……思い出さなくても、忘れなければ…………先輩の心にいられるだけで、私は幸せなんです……さようなら、先輩…………」

「うん……」

そう言って、ニコリと笑ったアイナの額に拳銃を当て、引き金を引いた。


「…………」

「あれで良かったのか?」

「……………………」

《ヴェステンス》は、ユラが一人で叩き潰したそうで、周りには誰もいなかった。

月明かりが照らす道を歩きながら、いつもの袴に着替えた零は、無言のままユラの隣を歩いた。

「零……彼女は、誰だったのだ。それだけ答えてくれ」

「…………偶然出会ったヤンデレ後輩。あっちの一方的な求愛だったけどね…………」

「そうか……」

彼女に対しての怒りは、もうとっくに冷めてしまった。零に対しても、若干の怒りはあったが、話を聞いて、どうでもよくなった。

「……病院は?」

「なんとか私が話をつけた、安心しろ」

「そっか…………ありがと。」

そのまま、零は黙って歩き続けた。その姿を、ユラは横について歩きながら黙って見守った。


「…………なぁ、零」

「…………ん? 何、ユラ」

とりあえず(ウッキ)に宿を取り、一段落ついたところで、ベッドに倒れ込む零の近くに座る。

「私たちは、いつになったらココから抜け出せると思う?」

「…………分かんない。もしかしたら、一生このままって可能性も、無きにしも非ずだからね」

「そうか……」

そう言って、小柄な零の体を後ろから抱きしめ、一緒にベッドに横になる。

「……ユラ?」

「このままで、いさせてくれ…………スマン…………」

「うん……分かった……」

零も察してくれたようで、それ以上は何も言わず、お互い無言のまま、眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ