第二十一項 ツインテールの目覚めが意味するものは
ツインテールのルーツは解明したものの、作品に登場させる手順はなかなか面倒である事実を知った筆者。作品世界の構築のみならず、ツインテール少女の設定までしなくてはならなくなるとは、ぶっちゃけ、想像してなかった。プロの作り手は本当にこんな面倒な作業をした上で作品にツインテールを登場させているのか、かなり疑わしくなってきた筆者なのであった。
と、なると、当然ツインテールヒロインに覚醒イベントをこなしてもらう事になるのだが……こっちのほうがもっと問題だ。登場時にツインテールにしているということは、その時点では過去を引き摺る女な訳である。で、覚醒イベントをクリア。今までの自分と決別し、その象徴であったツインテールもやめなければならなくなってしまう。端役ならそんな事しなくてもよいだろうが、主要人物ではそうはいかない。それをしなければじゃあ、あの覚醒イベントはなんだったの? って話になる。だからといってツインテールという記号をバッサリ切り捨てられるかというと製作側としては難しい判断である。今まで培ってきたキャラのイメージもあるだろうし、作画チームともミーティングせねばなるまい。造型師からの反発も予想されるし、なにより、主要キャラの髪形が大きく変わるというのは今までついてきたファンが離れる危険性のある大博打でもある。大人気バスケマンガならそれも可能だろうが、知名度の低い作品を取り巻く世知辛い昨今のサブカル事情を考慮すると、弱小メーカーに渡れるルビコンではない。
結論からいうと、ツインテール女子が覚醒してヒロイン級に格上げされたとしても、作品内でツインテールをやめることはしない、というのが妥当かつ大人な判断といえるだろう。これがセカンド以下の、五番手ヒロインだったとしてもまた然り。その程度のキャラならますますストーリーの途中でビジュアル変更なんてややこしい真似はできない。そんな大胆な改変やってたらメインやセカンドヒロインの影が薄くなる。それ以上の変身を求められたりしたらそれこそ収拾がつかなくなる。少年マンガのパワーインフレよりもタチが悪い。つまり、悲しいかなツインテールは何も考えなければ登場させるのは可能だが、そこに理由や必然性を求めてしまうと、ツインテールはありえない、というのが筆者の導き出した答えだ。




