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第十九項 解き明かされた謎。パンドラの罠。

大いなる挫折を味わうものの、ツインテールの起源を小公女の物語にある可能性を突き止めた筆者。かなり作為的な臭いが漂うものの、筆者の快進撃はさらに続く。ここからさらに考察を深め、その起源からいかなる進化がなされたのか。そのミッシングリンクの解明に果敢に挑む!

 ツインテールが勝気で活発な女子を示す記号の謎は概ね解けた。恐らくこの線で間違いはあるまい。そうとなれば次の疑問だ。

 小公女説を採るならば、ツインテールはヒロインのライバル、もしくはラスボス足りうる要素なのである。これに萌えるというのはどういうことなのであろうか?

 ギャルゲーを解体すればこれは説明がつきそうである。早い話がラスボスも攻略対象なのである。ヒロインをひたすら追い詰めるライバル、もしくはラスボスルートも攻略後のオマケ要素として盛り込めば、そのラスボスを屈服させるカタルシスをユーザーに提供する事ができる。筆者的にはあまりありがたくないオマケだが、それが堪らないニッチユーザーもいることはいるのだろう。それがパターン化していき、やがてツインテールお嬢様も五番手の攻略対象として、ヒロインの一人に昇格。という寸法だ

 その説明はつくとしても、ではなぜそのラスボスが今度は主役を張るまでに出世したのだろうか? それはいつ頃から? という疑問もある。しかもそうなるとツインテールはもうお嬢様でもなんでもない、ただの活発女子になってしまう。

 小公女説になぞらえればラスボスになるはずのタカビーで鼻持ちならない女が主役に昇格する事になる。そんな主役、誰も応援したがらないだろう。

 筆者は読んだ事がないが、小公女は最初金持ちで、いきなり貧乏のどん底に落ち、再び金持ちに返り咲くというような、貧乏人の筆者から見れば財力こそ正義的なストーリーだったと思う。いや、読んでないんだから分からないけど。なので、果たしてそこにライバルのツインテールお嬢様がいたかどうかは知らないが、いたとすれば小公女に陰湿なイヤガラセをするような小悪党なのであろう。その小悪党が主役に抜擢されるというのは、いわば一人二役のようなものだ。小公女も最初は金持ちなのだから鼻持ちならない女だったのかもしれない。いわばツインテールキャラだ。それが突然貧乏、つまりメインヒロイン級の少女に格上げされるのである。この時点ではもう召使はいないのでツインテールにできない。ボロは着てても心は錦とばかりに自分でツインテールにはするかもしれない。

 そう、この貧乏時代の小公女のセルフツインテールこそがツインテール主人公の原型ではないのか? しかしこの推測にも不安要素がないではない。

 お嬢様がツインテールにする分にはいい。召使にやらせりゃいいのだから。しかし主役を張るツインテールはお嬢様ではあるまい。筆者は詳しくないが、セーラー戦士もいいとこのお嬢ではなかったと思う。

 それも当然である。主人公は落ちぶれた小公女像なのだから。だがそれが自らツインテールにするというのは少々考えものである。落ちぶれても金持ちだった頃の髪型、つまりツインテールにするというのはいかがなものか。心は錦といえば聞こえはいいが、要は金持ちだった頃の未練を引き摺っているわけである。貧乏人がツインテールなど分不相応な髪形をしていたら、毅然としている! なんて思うどころか、現実を見ろ、と、筆者などは言いたくなってしまう。いや、あくまでツインテールが金持ちのステータスであるという設定の下に、の、話である。

 例えるなら黒塗りの高級車が2LDK独身寮の月極め駐車場に停めてあるようなものだ。一千万オーバークラスの高級車なんてものは自動シャッター付き駐車場や専属の運転手とかをコミコミで所有するからステータスになりうるのである。それを自分で運転して、しかも安アパートの屋根なし駐車場に停めてしまっては痛々しいだけである。車好きなら高級車を運転したいとは思わないだろうし、移動のアイテムとしても便利なことはひとつもない。成金にすらなれない貧乏人の、金持ちへの憧れしか見えてこないのである。ちなみにこれも例えの話であり、筆者が実際にアパートの駐車場で高級車を見て悲しい気持ちになった、などという事実は決してない。

 早い話が落ちぶれた元お嬢様がツインテールなんかにするのはもう薄っぺらな金への執着しか感じられないのである。小公女的ストーリーならそれもいいだろう。いつまでも金持ちだった頃を懐かしんでツインテールにしている間は不当な仕打ちをされる。やがて主人公は覚悟を決め、私は貧乏のままでもいいわ! と、ツインテールを捨てる。するとその途端に未来が開けて金持ちに返り咲く、といった美しい物語になる。

 だが小公女的ストーリーでもなんでもない作品のヒロインがツインテールにしていてはただの上昇志向が強いだけの女になりはしないか? なるほど、だからアノ作品の主人公はおしおきよ! とばかりに上から目線で敵に容赦ない制裁を加えられるのだろう。……なんかもう色々と怖いのでこれ以上あの作品を槍玉に上げるのはよそう。

 確か小公女もアニメになってた気がする。金持ちに返り咲いた小公女にライバルらしき女の子が、「あなたがダイヤモンドプリンセスになる頃には、私はダイヤモンドクイーンになってるかもしれなくってよ」とかなんとか言ってるシーンを懐かしのアニメ特番で見たことがあるようなないような。筆者には到底理解できないが、あっちのライバルの女の子の方に萌えてた少年たちが少数ながらもいたのだろうか? そしてその少年たちがアニメ作家とかゲーム業界とかで権力を握るようになり、少年時代の理想像だったライバル的ツインテール女子を主役に抜擢したのではあるまいか。少々強引な説ではあるが可能性としてはなくはない。さすがにいきなり主役に昇格は厳しいので、十八禁ゲームなどでツインテールを五、六番手のヒロインで世間に耐性を付けさせておいて、機が熟した頃を見計らって一気にメジャー化を仕掛ける……といった周到な戦略が練られていたと仮定すれば、ツインテールがサブカル世界で徐々に台頭してきた時期と一致するようにも思えるのである。残念ながら筆者はそれを裏付けられる知識も資料も持ち合わせていないので、これはその道のプロでなければ証明は難しいだろう。


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