84 牧童達
「あ」
『あ』
「ダグラスだ~!」
テーブルに着いて、牧童さんやらやんちゃな双子やらを待ちつつ、シャロンと話をしてた。
それを連れてトニーが戻って来た。で、その牧童さんの中に酒場で会ったダグラスを発見。
タラッド‐タドだ。
偶然って意外とよくあるよな。
「なんでここに?」
「なんでも何も、初めからここに来るつもりだったんだけど」
「…………シャロン達に何をする気だ!」
あぁ、ダグラスん中じゃ、俺等=悪者なんだな。分からんでもない。
酒場であんだけ暴れりゃな。でもって、荒くれどもに尊敬の眼差し向けられてりゃな。
「ダグ、アンタどうかしたの?」
ダグの後ろからカウガールが顔を出した。……何と言うか、カウガールの服装が似合う人だ。褒め言葉だからな? けなしてるわけじゃねぇぞ。
「コイツ等、酒場で会ったんだ」
「へぇ、あんなに小さいのに酒場デビュー? 大人ね。睨まれたでしょ」
「……むしろ逆だ。荒くれ者を全部倒して、手なずけてた」
「ほんと!? ヘクターが喜ぶわ、どうもありがとう」
「違うだろ……ドーン、お前は能天気すぎる」
「いいじゃない、くよくよしないって事よ」
ほんとに能天気だ。
「ヘクターって誰?」
「やぁ、美人さん! ヘクターって言うのはね、シャロンの旦那さんだよ。ちなみにそこの街のシェリフ」
あ、なんだかすごく軽そうなのが居る。シルに滅茶苦茶近づいて、ガッツリ引かれてる。
シルは最終的に席を立って、ジンを盾にする始末。
「こら、ニール!」
ニールって呼ばれた軽い人は、笑って別の席に座った。ダグラスの説教もまるで堪えてねぇな。すげぇ。迫力あったのに。
……叱られるのに慣れてるんだな。そうに違いない。
「ね~、シェリフって何~?」
「保安官の事だ」
へぇ。ありがとうヒル、聞いてくれて。
「はい、どうぞ」
「どうもー」
シャロンがケーキを配り終わって、周りは手を組んで祈り始める。
……教会があったもんな。こういう宗教なんだな。
「いただきましょ」
いただきます、と。
「美味しっ。すごいね、シャロン」
「うふ、ありがとう、シヴィル」
「何が入ってるの~?」
「かべちょろ、よ」
かべちょろ? 壁ちょろっつたら、ヤモリ……?
「え、ヤモリ?」
「そうよ」
ドーンが口を押えた。よかった、吹き出さなくて。あの人俺の真ん前に座ってるんだ。
「……流石、何が入ってるんだか分からない」
少し年の行った牧童が苦笑しながら呟いた。
ぜんっぜん分かんなかったよ……。まさかヤモリが入ってるとか。魔女の料理じゃあるまいし。
「味にも体にも問題はねぇんだ、気にするな」
『分かったー』
それであっさり食べ続ける。
ま、味にも体に問題ねぇんだからな。むしろ美味いし。
「成程、強いねこの子達」
「ドーン、そういう意味じゃない」
ダグ、どういう意味か俺にも教えてくれ。
ニール、いい加減シルから目ぇ離せ。ケーキの欠片落ちてるぞ。




