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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
六月 梅雨だろうがどんどん迷走
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80/102

80 異世界へ

「ここ何処~?」

 向こうには馬に乗ったカウボーイ(仮)こっちには馬車に乗った金持ち(仮)が居る。ずっと向こうの方には教会(仮)もあった。

「どれにしようかな、天の神様のー……で決めた、異世界。旅行したいとか言ってたろ?」

 なんつーアバウトな決め方。

「じゃあ次、私やりた~い!」

『どちらにしようかな』ってバリエーション色々あるよな。アブラムシとか、柿の種とか、鉄砲撃って――とか。

 まぁそれはともかく。

「ここ、何処だよ?」

「聞いてもわかんねぇんだから聞くな」

「名前くらいいいじゃん」

 シルが助け船を出してくれた。

「マググラ共和国、ウェスラ州」

 ……わかんねぇ。

 タラッド‐タドだ。

 昨日帰って来たジンに連れられて、異世界へ。

 今いっしょに居るのはジンとシル、ヒル。ミリアンとラディルは別コースだとか。

 ジン曰く、『沢山いるのは鬱陶しい』と。……鬱陶しいっつったよ、コイツ。

「どんな所~?」

「治安はあんまりよくない所。という訳で」

 ヒアに聞かれたジンが渡してきたのは、銃とガンベルト。

「……えぇと? 何コレ」

「はじきとか」

「なんで隠語!?」「チャカとか」

『はじき』を知ってるシルもどうかと思うけど。

「万が一のため。遊び半分で打つなよ?」

『撃たねぇよ』

「貰い物だから、少し、けっこう、危ない」

 言い直すなよ。

『んじゃ持たせんな』

「こんなのは、持っとくだけで威嚇になるんだよ」

「私のは~?」

「生憎三丁しか無い」

 そもそも、ヒアに持たせたら危ねぇだろ。直感的にそんな気がする。

「もし撃つことがあったとしても、片手では撃つな。それやって、肩脱臼した奴いるからな」

 マジか……。片手で撃ってる奴の方がよく見るけどな。……漫画ばっかりだけど。

「取り敢えず、まずは泊めてくれそうなトコを当たってみるか」

 ん。ちょっと陽も傾いて来てるしな。

「出来るだけ安くて、質も悪くない所」

 ……贅沢だな。

「どれくらいあるの? そんなとこ」

「二つ三つ。一番近くて、99%泊めてくれそうなのがあそこ」

 後の1%は。突っ込むべきとこじゃねぇか。

 ジンが指したのは、離れたところにある教会(仮)

「立場上、止めない方が白い目で見られるだろうしな」

「ジンらしー」

 シルの棒読み。全然褒めてねぇな。むしろけなしてるな。

「ちゃんとそれ、付けとけよ」

 それ? あぁ、ガンベルト……。ちょっと待て。銃は使い方すら聞いてねぇぞ。弾もねぇし。

「ジン、使い方は?」

「構える」

「……はぁ」

「相手と睨み合ってる時に、地面を蹴って懐に飛び込む」

「は?」

「殴り倒せ」

「拳銃意味ねぇ!」

「馬鹿。向こうの動きを少しでも止めただろうが」

 ……本来の使い方とは大きく外れてるけどな。

 そう言っているうちに、教会(仮)の前に。

 玄関前にぶら下がってる紐を、ジンが引いた。面白がってヒアも引いた。

「ベルは一度で結構です」

「すみません。妹がふざけたもので」

 中からの女の人の声に、ジンがヒアを軽く一睨み。これ位じゃ怯まない。

「どちら様ですか?」

「ジャイズン・ラオマネット。貴女はグレースですか?」

 ラオマネットって誰だ? ……あぁ、そう名乗れってか。視線で行ってきた。

「…………ジャイズン!?」

 おぉ、びっくりした。

 急に大きな音立てて教会(仮)の扉が開くんだから……。出てきたグレースとかいう女の人はシスターさんって奴かな? それがこんなことしていいのか。

「まぁ……。この角、本当にジャイズンなのね」

「角だけで判断するのはどうかと」

「角生えた人間なんて、貴方と貴方のご家族くらいでしょう」

 人間じゃねぇけどな。

「こんな小さかった子が……」

 グレースさんが手で示した高さは、ジンの膝あたり。流石にもうちょっとあるんじゃね?

「あの、この子達は、もしかして」

「妹のシヴィルにヒルデガート。それと弟のタラッド」

「まぁ! 素敵。立ち話もなんだから、どうぞ中へ」

 グレースさんが奥に引っ込んで、ジンは遠慮なくその中に入る。当然俺達も続く。

「ご両親は?」

「二人で別のところに」

「そう」

「ところで、グレース。今日、ここに泊めてもらう事は無理ですか?」

「大丈夫よ。どうぞ、何日でも止まってちょうだい」

 ……そんな簡単でいいのか?

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