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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
六月 梅雨だろうがどんどん迷走
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77/102

77 一人と一人で

「まいまいねじまきまいむめも!」

「言えてねぇ」

「まいまいねじまき、ま、み、む、め、も!」

「そこだけゆっくり言ってどうすんだよ」

 タラッド‐タドだ。

 今日は演劇部……っぽいモノのマネをしている女子集団の、スイだけしか居なかった。

 スイ、覚えてるか?

 オカルト部の悪魔召喚に惹かれてやって来た、料理人が夢の女子。物好き=酔狂、で酔狂のスイ。

 ちなみに、本名は水橋すいばし美湖みこって言うらしい。……始め、巫女さんかと思ってしまった。

 でもって、本当に『スイ』と呼べるところに驚いた。奇跡すげぇ。偶然すげぇ。

 そのスイは、一人しか居ないから発声練習をしてる。見ても暇だけど、見るだけ見てる。口出しもしてるけどな。

「もっかい言ってみ。初めから」

「え。ええと、うん。あめんぼあきゃいなあい……」

「そこ、噛むか?」

「あめんぼあかいなあいうえお!」

 怒るなよ。

「うきもにこえびもおよいでる」

 言えんじゃねぇか。

「かきのきくりのききゃききゅけこ」

「噛みっ噛みだなおい」

 きゃききゅけこって。逆に言いにくくね?

「きちゅつきこつこつかれけやき」

 無視か。

「さ、さ、げ、に、す、を、か、け、さ、し、す、せ、そ」

「急に遅くなったな」

「言いにくいんだもん! 言ってみて」

「ささげにすをかけさしすせそ」

 ……なるほど『さしすせそ』って言いにくい。

「ね?」

「……あーそうだな」

「ねぇ、タラッドくんって言うんだよね? 下の名前は?」

「タラッドがすでに下の名前なんだけど」

「そうなの? 上の名前は?」

「ねぇよ」

「無いの!?」

「ねぇもんなんだよ」

 姓が無いのは困るだろって、『タラッド』が名字みたいに扱われてるけど。

「名前言うときも『タラッドです』って言うの?」

「……その場合は『タラッド‐タド』って言うな」

「タド?」

「愛称。タラッドってのは君付けさん付けされてるようなモンだから」

 そんな事より、発声どうした?

「じゃあ、私が『タラッドくん』って呼んでるのは」

「タメ語だとタラッドくんくん、てな感じになるかもな。敬語だったらそうはならねぇけど」

 って、マーリさんとかベルとかに聞いた。

「じゃあ、タドくん?」

「別にどっちでもいいんだけど」

「タドくんって、何処から来たの?」

「埼玉」

「……ホントに?」

 怪しまれてる。そりゃ怪しむよな。

 ここに入った時、とっさに吐いた嘘なんだけど。

「何人間?」

「……と言うのは」

「鳥人間とか、半妖とか、何かあるでしょ?」

『○人間』は前者だけだけどな。

「鳥人間はかすかに入ってるなぁ。妖怪も混じってたと思う」

「何のハーフ?」

「ハーフとクォーターとが色々混ざった結果が俺等」

 何だと思う。

「俺、等?」

「俺の兄ちゃんと姉ちゃんと妹。あぁー、父さんもそれでいいのか」

「へぇー。お母さんは?」

「これ」

 って言って、よくあるお化けみたいに手を出してぶらーんと下げて見せる。

「いやぁ!」

「……お化けの幽霊のって、駄目な奴?」

 おいおい、あんまり強くうなずくな。首が取れるぞ?

 ……俺がこの場で霊体になったらどうなるかな。

 なってみた。

「きゃ――」

 …………………………やばい。気絶した。

「え、おーい。おーい? 悪かった悪かった」

 肩を叩いても何にも起こらない。

「おぉーい。俺が悪かったって」

 揺さ振っても以下同文。

 保健室連れてかなきゃなんねぇのかな。としたら俺、コイツ持ち上げて、この四階から一階まで下りなきゃなんねぇのかな。

 ……悪目立ちするな。ただでさえ目立ってんのに。

「起きないとシャーペン首に刺すぞ?」

 いや、駄目だろ。自分で言っといてだけど。

「取り敢えず、スカートだけでも直してくれねぇかなぁと思うんだけど」

 思いっきりまくれ上がってますよ。しっかりと体操服の青いズボンはいてるけど。

「……あ」

「あん? 起きたか?」

「あめんぼ、あかいな、あいうえおー……」

 ……練習熱心なのは認めてやるから、それより起きろ。

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