76 猫娘中学生
「んにゃぁ」
「……あん?」
「んなぁ~ん」
「…………叶子ちゃん、どした?」
今日は猫の日でもネコ科の日でもねぇぞ。
タラッド‐タドだ。
学校に来たら、同じ班の四人はすでに来てた。
……で、何がどうしてどうなったのか、叶子ちゃんが猫になってた。
「すごいね、タラッドくん! なんで叶子って分かったの!?」
今更なんだけど、『タラッドくん』ってのは『タラッドくんくん』って意味なんだよなー。別にいいんだけど。
じゃなくて、なんで叶子ちゃんか分かったか?
「叶子ちゃんにそっくりじゃん」
『どういう意味で!?』
え? えー……。
「雰囲気とか?」
「猫の雰囲気ってなんだよ」
「ほんわか?」
「ほんわかって?」
「アホっぽい」
「何気に叶子の事馬鹿にしてるよね」
「すいませんでした」
つい本音が。玲也くん、怒るな。怒るか。
「で、なんでこうなった?」
叶黒猫を抱き上げてみた。うわ、ふわふわ。あったけー。この季節だから暑い。冬なら大歓迎なんだけど。
「……タラッドー。それ今、抱っこしてんの叶子だからな。後で後悔しても知らねーぜ」
「叶子ちゃんだろうがなんだろうが今は猫だろ」
それと『後で後悔』じゃなくて後悔な。『後で後になって悔やむこと』ほら、訳分かんねぇだろ。
「で、なんでこうなった?」
あ、撫でたら喉鳴らし始めた。お前完全に猫だろ。
「叶子はね、満月の日と新月の日と、月食の日に猫になるんだって」
玲也くん、今何だって?
狼男猫バージョン? いや、狼男は満月だけだったっけか? あれ、コレは映画で広まっただけだったっけ。
「ほら、金環日食の日も。新月だったでしょ?」
「なってたか?」
たしか、ちょうど俺がタドの状態で初めて学校に来た日だ。斜め前の席に座ってる奴が猫のになってたら普通に気付くぞ。
「……叶子、休んでたんだった」
……あぁ、席空っぽだったな。
「前の満月も、そのまた前の満月も、前の前の新月も、ちょうど土曜か日曜だったからなぁ。同じ小学校の人以外誰も知らないんだ」
よくそんだけ休み続いたな。
「今日は満月で月食だから猫になったんだ」
ふぅん。部分月食ってニュースで言ってたっけ。
「で、なんで猫になるんだ? 猫娘か」
「ご名答! おめでとうございます、購買のパン一年分です!」
いらねぇよ。腐る。かびる。そう簡単にはならねぇか? どちらにせよ別の物にしてくれ。
「叶子はね、猫娘と人間のハーフなんだって」
「……猫娘って、妖怪か何かか? 霊体じゃない?」
「霊体? 全然。普通に人間でも通じるような美人さんだよ、お母さん」
お化けではないんだな。今度ジンに聞いてみよう。
「何十年か前にこの世界に来たんだって。これって異世界がある事の証明だよね!」
そりゃあるだろ。無きゃ俺はここに居ねぇんだから。
「叶子ちゃん、お母さんにも伝えとけよ。死神と死神様には気を付けろって」
「んなぁ~」
……わかってんのかなぁ?




