43 寝れるわけがない
………………スー。
………………スー。
………………スー。
「なんっだよ、お前はぁ……」
「へ? 高山俊じゃん。忘れた?」
「名前聞いてんじゃねぇよ。何やってんだって聞いてんだ!」
人が寝てる時に、指で頭に文字書くんじゃねぇ!
「『たかやま』って、岳の頭に書いてた。以上!」
「『以上!』じゃねぇよ。なんで俺の頭に書くんだ。紙に書け」
机でも可。消すんならな。
「正直に言うよ」
正直に? どうぞ。
「暇だったんだ!」
「お休み」
「なんでだよっ!」
……岳だ。
俊は俺を寝かせてくれる気は無いらしい。
眠いのになぁ……。夜更かししたり滅茶苦茶早く起きたりしたわけでもねぇのに。
「羊がいっぴーき、羊がにひーき」
「羊数えてまで寝なくてもいいじゃねーか!」
「眠いのに寝れねぇんだよ。分かるかこの苦しみ」
「分かんねー」
分かれや。誰だって一回は味わった事あるはずだぜ、こういうの。
「俺はいっつも、食う寝る遊ぶをしっかりしてるからな!」
「本当かぁ?」
「…………食う寝る部活。これで満足かこのヤロー!」
いや、別に不満だって言ったわけじゃねぇんだけど。
「……俊くん、勉強してないの?」
俊が理絵から目ぇ逸らした。やってねぇんだな。
俺もやってねぇ。突っ伏したまま気持ち逸らしとこ。
「二人ともー……」
「ぶっちゃけ、なぁ? やんなくても出来るよなぁ?」
そーだそーだー。
「頭いいんだねー」
「言ってるだけかもしれないわよ」
「んだと?」
……捺希、なんで口を挟むんだよ。
また俊と捺希とで喧嘩になって喧しくなって寝れねぇじゃねぇか!
ま、五分休みなんかで寝るれるわけがねぇんだけど。
「そーいうお前はどうなんだよ!」
「頭いいの悪いのなんて自分で言えるわけ無いでしょ!」
……悪いっていうのだったら言えるくね? 謙遜として。まぁ、この状況じゃ言えねぇか。
「悪いのか」
「そんな事言ってないでしょ!」
「いいのか?」
「自分で言ったらただの嫌な奴じゃない!」
「十分やな奴だろ」
「何よ!」
「あぁ? 何だよ」
うーるーさーいー。
「岳……大丈夫?」
「ん? 俺何か心配されるような事したっけ?」
頷かれた。俺、何した?
「耳抑える手にすごく力が入ってるから……」
「るっせぇし。耳ふさいでもうるせぇ」
「耳いいもんねー」
耳ふさいで、さらに左右に喧嘩してる奴が居てても会話ができるくらいにはな。
その代り目は悪いけどな。常にかけてるわけでは無いけど、眼鏡持ってるし。
「……あそこだけカオスだねー」
「ほのぼのしてるのと喧嘩してるのが同じ場所に……」
トの字型に、喧嘩、ほのぼの、喧嘩、だもんな……。
そこで会話してる二人の女子になっとくしちまう。
で、この前後に居る奴等はどうしたら静かになるんだ?




