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ただいま迷走中!?  作者: 呪理阿
四月 入学したらさあ迷走
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29/102

29 しょーかん

「これから、三年五組のA教室で、オカルト部による悪魔召喚術を行います。興味のある方、一年生でも二、三年生でも大歓迎です。ぜひ来てください」

 誠先輩、もっと盛り上げて言うモンじゃねぇのか、宣伝そういうのは。

 岳だ。

 悪魔召喚術とやらをするために、えっちゃん先輩がチョークで魔法陣を置き、辰吾先輩がその中心の文字の上にロウソクを置いて……と準備をしてる。

 俺は椅子に座ってそれを見ながら、英語の教科書をパラパラ……。ぜんっぜん分かんね。最初の方しか習ってねぇし。

 あー、いいな、その辺でうろうろしてる奴。A教室の前にも女子一人うろついてる。俺も好きなとこ見学、体験行きてぇよ。吹奏楽の体験楽しそうじゃん。楽器の音聞こえてきた。

 さて、と。どこまで出来てんのか、教科書を片づけて床を見てみた。

 …………11×11の121マス。『61』のマスのど真ん中にロウソク。えっちゃん先輩は、斜めに並んだまだ空欄のマスをどんどん埋めていく。

 魔方陣て、こっちけ?

 円に細かい文字がずらーりと並んでたり、複雑な模様が描かれてるんじゃねぇのかよ!?

「驚いてるようだな」

 誠先輩、背後に立つな。なんか不気味だ。

「いや、だってコレ……」

「魔方陣だが?」

「や、そうですけど、…………魔法発動しなさそうな魔方陣ですね」

「俺も始めはそう思った」

「はーい、俺は今でも思ってまーす」

 辰吾先輩、正直だな。まあ、そらそうだよなぁ。

「えっ!? これ以外の魔方陣ってあるんですか!?」

『えっちゃんせんぱぁーい!』

 それ以外知らねぇのかよ!?

 つーか、これ以外の魔方陣はオカルト部内で書かれたことねぇのかよ!?

「……あのー」

 あれ、コイツ……さっきからずっと教室の外うろついてた奴。

「はーい、おっ! まさか……」

「悪魔召喚術、やってるんですか?」

「キター!」

 まさかの一年来た!? 制服ぶかぶかの女子。物好きな奴も居たもんだなー。物好きイコール酔狂……よし、コイツのあだ名は酔狂のスイだ。

「ええ! じきに魔方陣できますから。すぐに始めます。座っててくださいね」

「えと……」

「座っとけよ。遠慮しても損だぜ。ここでは」

 椅子引いてやったら、素直に座った。おい、なんで目ぇ合わせねぇんだ。礼くらい言えよ、礼儀だぜー。

「岳、一年生に妙な事を吹き込むな」

「事実を教えてるだけですが?」

 一瞬睨まれた気がする。兄ちゃんや姉ちゃんのに比べりゃ全く怖くねぇな。

「あの、もしかして高山岳くん……?」

「あん? そうだけど」

 何で知ってるんだー……ってのはあれか、翔が言ってた噂か?

「こういうの、興味あるの?」

「いや。全然ねぇよ。オカルトオタクに連行されて来ただけ」

「人聞きが悪い! オカルト部に連れてきてもらったー、だろ!」

「……よく言えましたね」

 マジで。

「んだとぉ?」

「喧嘩をするな」

 違うな。辰吾先輩が勝手に突っかかって来ただけだ。

「あの、取り敢えず……、始めますよ」

「ああ。えっちゃん、頼むぞ」

「私ですか!?」

 誠先輩が頷いたら、ちょっと困った顔をしてからロウソクの前に立つ、マッチを出して火を点ける。ちょっと待て。

「そのロウソクはどっから?」

「理科室。マッチもそうだ」

 理科室にロウソクあんのか!?

「始まるぞ。静かに」

 はいはい……分かりました。

「我が名はエナ。齢十四、水ヶ丘中学校三年一組在籍」

 ……後半必要なのか。

今日こんにちの夕餉はハンバーグの予定。少しばかり焦げるかも」

 は?

昨日さくじつの夕餉はミートパイ、味が濃かった。一昨日いっさくじつの夕餉はビーフシチュー。美味しかった」

 意味あんのかコレ!? なんで今日と昨日と一昨日の晩飯、感想付きで言わなきゃなんねぇんだよ!?

 最後にバッと腕を広げて、

「現れよ!」

 無理だろ!

「我が名はニスロク」

 えぇえええ。何か出た!?

「枝奈です。ニスロク様」

「この、愚か者ぉおおお!」

「キャッ!」

 えっちゃん先輩がぶたれた!?

「もっと健康的な食事をせんか!」

 えぇえええ。コイツほんとに悪魔か?

「なんだ、毎日毎日肉ばかり! 魚も食べろ! 味が濃いと言うのもいただけん。副菜は? ん? 副菜は何だ?」

「え、えっと……昨日はキャベツの千切りとレタスのサラダです……」

「ふむ」

「あのー、ちょっと、ニスロクさん? なんでそんな事……」

 勇気あるな辰吾先輩。ぎろっと睨むと、ニスロクは怒鳴った。

「我は地獄の料理長だ! 栄養士も兼任」

 ……………そっすか。

「わぁっ! 私、料理人が夢なんです! 何が得意なんですか!?」

 スイー! 戻って来い! そいつ悪魔……っつか、堕天使だったような気が。とにかく人外だぜ!

「禁断の実を使った料理だな」

「わぁ~っ」

 スイー! 戻ってぉーい!

「あっ、あっ、ニスロクさんて、やっぱ、戦ったら強いんスか?」

 辰吾先輩は何を期待してんだ!?

「あ、いや、その……それはちょっと……あの……」

 急に弱気になったな!

「帰る」

「あぁっ! ちょっと、待ってくださ……あぁー」

 ドロン。きっと効果音を付けるならこれだな。消えちまった。

 スイはスイで膝と手、床に付いてるし……大丈夫かー。

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