22 いろいろ居るらしい
……ちょいちょいと知ってる奴。四分の三くらいは知らねぇ奴。
岳だ。
昨日は入学式で周りがよく見れてなかったから、ニ日目の今日になってやっと回りに座ってるやつを見てみる。
前の奴は同じ名字の俊くんとやらだろ、後ろは確か……津川さんだっけか。左隣は全く知らん男子で、右隣は同じ小学校出身の木本理絵だ。
ちなみに、今は朝休み。あちこちに話してる奴が居る。俊くんのトコにも誰かが居るし。
「理絵、なんかさー、このクラス水小少なくね?」
「そう、かな?」
首を傾げてからくるっと見回して、
「そうかも」
うなずいてくれた。……たとえるならリスか、プレーリードッグか。見てて和むなコイツ。
「だよなー、三分の一くらい居てもいいのになぁ」
「どうやって分けてるのかな」
こないだの新入生テストとか? いや、それだったら俺と修也、翔と奈那子さんが同じクラスになるだろ? 多分。
二人して首をかしげる。理絵は考えてるけど、俺はめんどくさくなって考える事放棄。だって考えた所で本当のことは分かんねぇし。
……入学ニ日目つったら、まだ友達とか作る期間だよなぁ。今まで俺、どうやって友達作ってたっけ? 思い出せ、思い出せ。参考になるのがあるはずだ!
幼稚園の頃。覚えてるかンなモン。
小学校の頃。周りが同じ幼稚園の奴、近所の奴が多かった。新たに作るのは……時間の流れで皆友達。
転校した頃。なんかやたら喋りかけてくれる奴が居た。今疎遠になってるけど。理絵も『転校生だから』ってそれなりに話しかけてくれたから、さっきこんな風に話しかけるのもできた。
翔はどうやって友達になったっけ? 昼休みに本読んでるトコ邪魔されたのが最初だった気がする。
修也と奈那子さんは? 奈那子さんが修也に告ろうとしてたのをからかったのがきっかけ。からかってる内にいつの間にか。
……自分から友達になった事、無くね?
あ、俊くんと話してた奴がどっか行った……。話しかけるとしたらチャンス? でもなぁー。特別友達が欲しいわけでも……いや、そりゃ居た方が楽しいだろうけど。
「理絵、友達ってできたか。水小以外の」
「……あは。私、人見知りだから……」
知ってる。
「岳ならすぐできそうだね。『勉強教えてー』って来るかも」
それ、いつごろの話だよ。少なくともテスト終わってからじゃねぇとなんねぇだろ。
「ねっ、名前なんていうの?」
「……あ、俺? 高山」
誰だこの子。髪の毛をポニーテールにした、結構小さい女子。多少横には大き……口には出してねぇからな。
「下の名前は?」
「岳。お前は?」
「あやめ! よろしく!」
「あぁ。よろしく」
絶対表には出さねぇけど押され気味。ぐいぐい来るな、このあやめって子。
……よし、流れに任せる事にしよう。チャイムも鳴ったし。
「はーい、座ってー!」
担任も来たし。
マイケル先生。国語の先生らしい。
…………外国人じゃねぇぞ? 黒髪だし、目は茶色だし。
毎華流真衣駆先生っていう、れっきとした日本人だからな。
……趣味は海外旅行らしいけど。




