51 新学期
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あっという間に、デジュの樹の葉が緑から黄色や赤へと色づく季節に移ってきたニズカザン帝国。
クリスティーヌは時の魔女からの手紙を受け取り、暫くはトワライ王国で過ごしたのだ。
ソルティオから、ニズカザンにはいない魔獣や魔草の事を教えてもらったりクリスティーヌの苦手な魔術式の簡潔方法を教わったりしていたのである。
勿論、ソルティオは騎士の仕事もあるので毎日は一緒に行く事は出来なかった。その間は、宿の主人の伝手で魔草栽培をしている人を紹介してもらい、育て方など手伝いを通して勉強していたのだ。
ソルティオと一緒に過ごせる時は、デートの誘いと周りから称されていたのである。
ニズカザンへ帰る時、ソルティオから可愛いアンクレットを貰ったのだ。なんでも、ロンズデール家の者達が作ってくれた力作だというのである。
トワライ王国のフェイディーネの泉で採れる水の宝石と呼ばれる石を屋敷の者達が自ら加工し、幸運のまじないを一生懸命かけてくれたものだという。
大切にする事を約束し、お礼をしてソルティオとわかれたのだ。
ソルティオとは、定期的に文の交換をしている。文と一緒に季節の花や珍しい魔術の本なども届けてくれるのだ。
この夏休暇中に、ひと悶着もあったのだ。
入学時に一方的にダニエルから婚約破棄を言い渡され、一時保留となりすぐに状況確認をし手続きを行ったエルノーワ家。ひと月も経たずに国王から正式にクリスティーヌとダニエルの婚約破棄が受諾されたのだ。
だが、一度婚約解消となったバードン家が今更ゴネ出しダニエルの間違いだった、考え直してくれ等しつこく、エルノーワ家のガウスの元へ手紙をよこしたり面会を求めたりしたのである。
相変わらず、ダニエルはマーガレット嬢といちゃいちゃとしているのは周知の事実なのにだ。夏休暇に入り耳にする事は止まったのだが、休暇前は人気のない草むらでマーガレットとダニエルがお互いの肌を貪りあっていた、など飢えてる2人の情事を面白おかしく話す令嬢達が沢山いたのだ。
勿論、聞こえるように話すのはクリスティーヌに対しての嫌がらせの一貫であるのだが、クリスティーヌは全く気にもしていなかった。寧ろ、ダニエルを引取って頂いてありがとう、という気持ちの方が強いのだった。
今日は夏休暇が終わり、新学期が始まるのだ。勿論クリスティーヌは瓶底メガネを着用し、立派に野暮ったさを醸し出しているのである。
前方に見覚えのある令嬢達が歩いている。
アレクシス大好きなジェシカだ。アレクシスとクリスティーヌが仲が良い事に腹を立てあの手この手で嫌がらせをしてくる侯爵令嬢なのだ。
「あら、何か前に野暮ったいご令嬢さまがいらっしゃるわ」
ジェシカが薄ら笑いをしながら聞こえるように口にすると、周りの取り巻き令嬢達はその言葉に反応する。
「あら、ごめんなさい」
「邪魔ですわ。不細工」
「瓶底は隅を歩きなさい。野暮ったさがうつるわ」
クリスティーヌにわざとぶつかったり、転けた所をわざと蹴ったり、鞄や持ち物を踏んだりし、悪意ある笑いを伴いながら前を通り過ぎる。
そろそろクリスティーヌも黙ってやられるのもつまらないと思っていたところだ。
入学式の時に忠告したのにも関わらず、懲りないという事はクリスティーヌに喧嘩を売ったという事になる。
さて、どうしてくれようか……
クリスティーヌは少し考えて、閃いたのだ。このまま何かをやり返せば、どれだけクリスティーヌが悪くなくても多勢に無勢。爵位がモノを言う世界にしろ、忠告やお叱り、謹慎だけで彼女達には無意味でありきっと何度も繰り返されるだろう。
クリスティーヌは、その場は我慢し足早にC組へと向かったのである。
これから恐ろしい事が起きるとはまだ知らないジェシカや取り巻き達は、クリスティーヌをやり込めたと思い喜びの声をあげるのであった。
クリスティーヌはC組に入るなり、クラス対抗戦での精鋭リーダーと言われる人物達に声をかけ集めるのである。
精鋭リーダーとは、メリッサ、カミラ、エスイア、ジュイナ、そして総リーダーのルーダ。この5人なのだ。
5人は一度にクリスティーヌから呼ばれ、クラス中は珍しいので何事かと注目する。扉に近い者は、静かにドアを締め魔導具が得意な者は魔導具を発動させ防音にし、外は探知できるように準備をするのだ。
一応、魔法は禁止だから魔法は使わない。魔導具は別物としているのである。チームワークがすこぶる良いC組に関心していまうのである。
「今度の魔法大会、C組代表として私が絶対出ますわ」
「おいおい、どうしたんだよ。クリスちゃん」
「クリスさん、急にどうしたのですか?」
「まずは落ち着いて……わけを話してください」
「クリスティーヌは出れるだろ?今更か?」
「え、え、え??」
それぞれ、口々に一斉に話しをしだすので収集がつかなくなっている。
クリスティーヌが会話を止め、事の発端を話しをしだしたのだ。C組は静かにクリスティーヌの話しを聞き、次第に怒りのオーラを身に纏い出す。
そして、全員一致でB組ジェシカ共々ぶっ潰すと息巻き作戦を練るのである。
王立学園の名物と言われる魔法大会は、毎年観覧者が多いと言われている。学年は全て関係無し、クラス代表の6人1チームで時間内に全て相手を倒せば勝ち。時間が過ぎれば、戦える人数で勝敗が決まる。上級生ともハンデ無しでの本気の戦いなのである。
毒などの禁止行為の細かい規定も勿論あるのだ。毎年学生とは思えない戦いが繰り広げられていると街ではこの時期になると持ち上がりっぱなしの話題なのだ。




