50 時の魔女
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更新と並行して徐々に文書の改稿と言う名の段落統一、加筆などの訂正をおこなっています。人物や物などストーリー上は問題ありませんがので悪しからず。
ロンズデール家で素晴らしいおもてなしを受け、翌日の昼にソルティオと共に宿屋に戻ったクリスティーヌとマリエルは、魔獣探しよりげっそりとやつれていた。
未婚の女性が、理由が無く婚約者や恋仲でない男性の家へ泊まる事などあってはいけないこととされるこの世界。お礼の為とはいえ、クリスティーヌは未婚であり、婚約者もいなければ恋人もいない、絶賛フリーのお買い得少女なのである。
それをいい事に、ロンズデール家の者達は坊ちゃんの為に!と結束し、危うく泊まらせられる所だったのだ。あの手この手を使い断っても断ってもキリがなく、心折れかけた時クリスティーヌの元に早便の手紙が届いたのだ。
差出人は天使ではなく、時の魔女からだった。
「 クリスのお嬢ちゃん
ウェンディーネから私の元へ行けと言われただろうが、まだ来る時じゃない。
もっと力をつけ、自身の心も強くしてから来な。
小さな恋愛でどぎまぎしてるようじゃあ、まだまだ駄目だね。甘々の小娘だ。
期限は今からきっかり2年だよ。
それ以上は待てないからね。
それまでハミルの坊ちゃんは私が抑えといてあげるよ。感謝しな。
来る時は、スペンサーの特性ドリンクを頼むよ。 」
色々と突っ込み所満載の手紙を頂戴したクリスティーヌは、何とも言えないような顔をしソルティオとマリエルに手紙を差し出したのだ。
マリエルは、あの方らしいです、と言いながらクリスティーヌと同様の顔をし何処か遠い目をしたのである。何かを思いだしているのか、時折身体が震えたりしている。
ソルティオは、クリスティーヌと時の魔女の関係を知らないからか、どういう事なんだ?、と純粋に疑問をクリスティーヌに投げかけたのである。
「そうですわね。ソルティオ様には話をしなければなりませんわね。お茶でも飲みながらゆっくりとお話しましょうか」
クリスティーヌはそう言い、マリエルにお茶の用意を頼んだ。マリエルはテキパキと動き、あっという間にテーブルには紅茶とクッキーが並べられたのだった。紅茶の香りが鼻をくすぐりほっと一息をつく。
クリスティーヌは静かに話しを始めた。
クリスティーヌと時の魔女との出会いは、1年前に遡る。
当時8歳であったクリスティーヌはモルテリリー事件後、自身の将来についてよく考え始めたのだ。
18歳から自分の過去に戻り、やり直しをしているのだが自身にこれ程の魔力があるとは知らなかったのだ。いや知っててもきっと使いこなしていなかっただろう。
モルテリリー事件後は自身が強くなる為に、グラッサ家にお世話になりながら体術を学び魔法学を学び、魔獣と魔草の研究に役立てようとしていたのだ。
そして、今から丁度1年半前にアレクシスが亜種赤龍を使役したと便りを寄こしてきたのだ。負けず嫌いなクリスティーヌは、なら更に希少な黒龍を手に入れましょう、と心身共に鍛えドグラス火山へと行ったのだ。
クリスティーヌとマリエルは、ドグラス火山の麓で動けなくなっている老婆と出会ったのだ。
二人はすぐに治癒魔法をかけ、元気になるようにとスペンサー特製ドリンクを飲ませたのである。
老婆は元気になると、みるみる若返り美魔女と言うに相応しい姿になったのだ。レオパンサーをどこからか呼び寄せお礼にとヒヨ草をくれたのである。何故ヒヨ草なのかと疑問に思ったのだが、老婆が、私は時の魔女だよ、ソレは役立つから持ってな。あんたの首にぶら下がっている物はドラゴンにくれてやりな。後に数倍になって返ってくるだろう。まぁあんた達とはまた会うだろうねぇ、と笑いながらレオパンサーと意味深な言葉を残し、共に走り去ったというのだ。
勿論、その後はリヴェグブルを探し当てるまでは簡単だったのだが少々厄介な事が起きたのだ。
リヴェグブルの卵を狙った盗賊達が先にリヴェグブルの住処にきていたのだ。
リヴェグブルは希少な上、中々姿を現さない。それ故に住処が知られるとずっと狙われ続ける事となるのである。
クリスティーヌは先ず、盗賊一味の排除を行った。排除を行った後に、リヴェグブルと念話で話しをしたのだ。この念話は、以前フェンリルを使役した時にできると知ったのでありその後はフェンリルから教わったのである。習得は難しく、クリスティーヌはやっと片言ではあるが念話をできるようになったのだ。
念話で話しを聞くと番のリヴェグブルが盗賊のせいで怪我を負ってしまったらしく、ここから動けないらしいのだ。
クリスティーヌとマリエルは、全て治癒できるかわからないがやらせて欲しいと願い出たのだ。
リヴェグブルは少し渋ったのだが、クリスティーヌの必死な姿に観念し番のリヴェグブルを隠している場所へと連れて行ったのだ。
クリスティーヌとマリエルは急いで治癒魔法をかけた。元通りにはまだまだ時間がかかるのだが、止血をし消毒をし出来るだけの事をしたのだ。
そして、魔女から貰ったヒヨ草を思い出し使うのである。住処にしていた、火山の洞窟は一瞬にして消えたのだ。
ヒヨ草は幻覚草とも言われ、使うとその場にあった物がなくなったりない場所であるように見えたりと敵の混乱招ける便利な草である。
番と卵の無事は確認されたので、リヴェグブルと契約したのだ。
リヴェグブルは怒ると大変恐ろしいのだが、比較的穏やかな性分であるらしく、敵と認知しなければのんびりとしている。
万が一、何かあればすぐに駆けつけれるようにと魔石の結界などを張って予防もし、アレクシスから貰ったバイコーンのネックレスを番の角に巻きつけたのだ。
クリスティーヌはソルティオに話し終えると、以上ですわ。何かご質問はありまして?と聞く。
「時の魔女は麓で何をしていたんだ?」
「火山にしかない魔草を取りに行ってたそうよ
。その途中でぎっくり腰になっちゃって動けなくなったみたいなの」
ソルティオは、クリスティーヌの答えに脱力し笑ってはいけないと下を向き、必死に口を結び耐えるのであった。
時の魔女は何でもお見通しなのだ。ここで笑ってしまえば後が怖い。数代祟られるかもしれないのだ。
悪口は災いの元である。




