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49 外堀から埋めましょう

いつも閲覧ありがとうございますm(_ _)m


ブックマークにPV、評価励みになっております。毎日更新と並行して少しづつ改稿していきますので、暖かく見守っていただけると幸いです。

 クリスティーヌとソルティオは、ロンズデール家へ着くなりジェダを治療魔法師に引き渡したのだ。

 迅速に治療ができるように、屋敷の外で従者やメイドを待たせていたのだが裏目にでてしまったようだ。

 皆クリスティーヌの黒龍(リヴェグブル)に驚き、固まる者、腰を抜かす者と様々で後にソルティオは、これは失敗だった、と執事に漏らしていたのである。


 ソルティオはクリスティーヌとマリエルにお礼がしたいと屋敷に招待したのだ。


「ユリアヌ、こちらは私とジェダの命の恩人クリスティーヌ嬢と侍女のマリエル殿だ。おもてなしを頼む。クリスティーヌ嬢は僕の想い人だから失礼がないように気をつけてくれよ」


 ソルティオはユリアヌにという女性に指示を出し、クリスティーヌとマリエルにユリアヌを紹介したのだ。去り際に、ソルティオからのウインクをまともに受けたクリスティーヌは顔が真っ赤になり必死に掌を顔の側で仰ぎ火照りを冷ますのである。原因であるソルティオは終始笑顔でジェダの治療室に行ったという。


 紹介されたユリアヌは、ソルティオの乳母でありジェダの母である。何年も前からロンズデール家に仕えているベテランの侍女頭なのである。ユリアヌはクリスティーヌを見てニッコリと微笑み明るく嬉しそうに目尻を下げる。


「まぁぁぁ!坊ちゃんの想い人がこんなに可憐なお嬢様とは!坊ちゃんも隅に置けないわね。あらあら、顔を赤くしてとても可愛いらしいわ。さぁ、綺麗に湯浴みしてドレスアップしましょう。娘がいたらこんな感じかしら」


 スキップをしそうな勢いで喜ぶユリアヌに、若干気圧されたクリスティーヌは増々頬を赤らめる。恋愛事にはめっぽう弱いクリスティーヌなのである。

 ユリアヌはマリエルを呼び、ロンズデールの勝手を完結に且つ重要事項を忘れずに教えている。ちょっと圧が強いのか、個性が強いのかわからないが仕事は凄く出来る方らしく、マリエルがユリアヌに尊敬、いや崇拝の域での眼差しを向けていたのだ。何故そうなったのかは彼女達にしかわからないのである。


 クリスティーヌは部屋に通されると、あれよあれよと言う間に、服を脱がされ湯浴みをさせられ華美ではないが品の良い若草色のワンピースに着替えさせられ、髪型を結われていたのだ。どこから見ても貴族のお嬢様にしか見えない。実際に貴族のお嬢様なのだが、先程の泥や血で汚れたシャツの姿と比べると雲泥の差である。


 クリスティーヌは自身の仕度をしている間、ユリアヌからソルティオの話を沢山聞かされていた。何でも、ソルティオがこの屋敷に自ら女性を連れてきた事は初めてだそうで、何時も女性が勝手に来て散々屋敷を荒らし酷い目にあわされていたそうだ。聞くだけで耳を塞ぎたくなるような内容なだけに、ソルティオが女性に対し冷たくならざるを得ないのもよくわかってしまった。そんな事があり、クリスティーヌは屋敷中の者に受け入れられ屋敷全体が歓喜に満ちているのだ。


 そして、森に置いて来た騎士の遺体はソルティオの早便によりすぐに騎士の捜索隊が見つけ回収し、丁寧に遺族の手の元葬られるとの事だった。

 勿論、クリスティーヌとソルティオ、マリエルはすぐに聴取の予定だったのだが、ソルティオのお陰で少し配慮をしてもらい時間を置いてからの聴取となったのだ。ジェダについては回復次第に話を聞くらしい。


 ついこの間、自国で聴取を受け、他国でも聴取を受けるような事件に巻き込まれるなど思ってもみなかったクリスティーヌは、魔女の厄災だわ、と言いながら頭を抱えていたのだ。


 支度が終わり、広間に案内される。

 ソルティオは王都から来た騎士達と話をし、クリスティーヌに今から聴取を行う、と伝え侍女にリラックス出来る良い香りのするお茶を入れさせていた。


 クリスティーヌは自身が迷子になり、妖精達の案内の元ウェンディーネの聖なる樹木へと行き、ソルティオが襲われている所を助けた。

 そして泉にのまれ水の神殿へ行った事、ソルティオをウェンディーネが治療した事、黒い影の事、マリエルとジェダを見つけ応急処置をした事、一部を除いて包み隠さずに話をしたのだ。


 これはソルティオとマリエルとリヴェグブルに乗っていた時に話し合っていたのだ。


 ウェンディーネの神殿の場所と時の魔女の事は一切話さず、自分達の胸にしまうとしたのだ。

 勿論、時の魔女の元へは行くつもりなのだが、この状況下で敵も味方もわからず、何に悪用されるかわからない。その為の防衛線としてむやみやたらに話さない事に決めたのである。


 国の騎士達はゆっくりと聴取をし、こちらに質問などもしてくる。クリスティーヌは何故この国に来たのかを最初に聞かれ、素直にリヴァイを使役する為だと答えた。皆、疑い驚いていたがまたソルティオの説明で助けられたのだ。


 クリスティーヌは少しずつソルティオを意識している自分がいる事に気付くのだった。

 それが恋になるのか親友になるのかは今はまだ誰にもわからない。


 聴取が終わる頃には、日もどっぷりと落ちており空には輝く月と星が見えていた。

 クリスティーヌとマリエルはお世話になりっぱなしでは悪いと、宿に戻ろうとしたのだが屋敷の者達に引きとめられ断るに断れなくなってしまった。


 仕方なしに泊まる事に決めたクリスティーヌは、早便の手紙をルアに出したのである。


「お、お嬢様…私は気になっているのですが……この状況はまさしく外堀から埋められています」

「言わないで。私もそう思いたくはないのだけれど言ってしまったら現実になりそうで怖いの。頭と心が追いつかないわ」


 クリスティーヌはマリエルの言葉に被せ、現実逃避をしているのである。恋愛偏差値0のクリスティーヌには少々難題だったのだ。

 かたやマリエルは、お嬢様は押しに弱い、と脳内に書き込んだのである。勿論、クリスティーヌの事は逐一エルノーワ家へ早便を送り状況を抜かりなく知らせていたのだ。

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