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16 私の串肉ですよ

いつもありがとう御座いますm(_ _)m

ブックマークPV励みになっております。

がんばります。

 ん〜いい匂い…

 炭火で焼かれた香ばしい匂い…

 火に炙られる甘辛い匂い…


 大量に並べられた串肉…

 食べて下さいませ、と言わんばかりの湯気を立て嗅ぐ者の食欲を掻き立てる串肉…


 あぁ…

 私は、この串肉を食べれるのね…幸せだわ…

 …あれ?奥に誰かいるわ…


「やぁクリスティーヌ。先にいただいてるよ。この串肉とやら庶民の物だろ?こんな物、貴族の君には似合わない。さぁ、こちらを食べると良い」


 ()()()()は、串肉を全て薙ぎ払い大きな皿をドーンと乗せた。


 目の前でバラバラとゆっくりゆっーーくりとスローモーションで落ちる串肉達…


「これは僕と君にピッタリの食事さ。綺麗だろう?」


「わ…わたく…しの…串…肉……」


 クリスティーヌは俯き小刻みに震える。


「わたくしの串肉をきっーーさーまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!絶対殺る!!」


 カバっとクリスティーヌは起き上がり、魔法陣を展開しフェンリルを召喚する。


 周りを見渡し、ダニエルを探す…が居るはずもなく…。

 はっと我に返り辺りをキョロキョロ…そこは何時ものクリスティーヌの部屋だった。


「私の…串肉は…?」


 大袈裟な包帯を巻かれた手を動かし、窓のカーテンを開ける。


 もう日が落ちかけていた。


「ゆ…夢?…夢でもとても恐ろしかったですわ…私の夢まで侵入してくるなんて、どこまでダニエルは私を不愉快にさせるんでしょぉぉぉぉぉ!!!」


 ォウーーーーン!!


 クリスティーヌの雄叫びに反応してフェンリルも吠える。


 すると扉が勢いよく開き、音を立てて閉まると、クリスティーヌの侍女マリエルが額に青筋を立てながら大声で叫ぶ。


「お嬢様!!いきなり吠えないで下さい!!フェンリルも吠えない!!コラ!お座り!!無駄にデカイから隅による!!ほらほらっ!!」


 マリエルから寝起き1発目のお怒りを受けるクリスティーヌとフェンリル。

 マリエルは、テキパキとクリスティーヌの寝間着から普段着に着替えさせ、ショボーンとしたフェンリルの躾も怠らない。

 昨日の獰猛なフェンリルとは大違いである。

 クリスティーヌはフェンリルを静かに戻す。


「お嬢様、もう夜になりますよ?丸一日お眠りになってたんでお腹は空いていませんか?」


「串肉!!串肉!!!串肉を食べなきゃ落ち落ち寝やしれないわ!!!」


「お嬢様…大袈裟ですよ…。下に降りましょう。皆様がホールでお待ちですから。」


 ダニエルに串肉を駄目にされた事など露知らず、マリエルは不思議そうな顔で主人の頭を本気で心配する。


 ーーーーーーー


 色とりどりの食べ物がテーブルに並べられている。奥には、カラフルで可愛らしいスイーツや瑞々しい果物。手前には湯気が立つパスタやお肉、お魚まである。


 今日は立食形式のようだ。

 クリスティーヌはぐるりと見回し、目的の(ブツ)を必死に探す。勿論、婦女としてあるまじき行為ではあるが、そんな事クリスティーヌには関係ない。


 あぁ!!!

 串肉っっっ!!!


 クリスティーヌの目が輝いた。


「クリスティーヌ!目が覚めたのか!!全く無茶苦茶な事をしでかしたな!マリエルとキース殿から話は聞いてるぞ。」


 このクリスティーヌの串肉捕獲作戦を空気読まずしてぶち壊したのは、バリトンボイスの父ガウスだ。


「あのーお父様?私、お腹がペコペコなのでそこの串肉を食べてからお話しても宜しいですか?」


 ガウスは呆れ顔で頷いた。


「はぁ…なんておいひいんでひょう(美味しいんでしょう)…この絶妙な焼き加減。炭火の良い香り、なんと言っても甘辛いタレがたまらないですわ!!」


 恍惚とした顔で、串肉を語るクリスティーヌ。

 自分の世界に入り込み至福の時を堪能する。


「クリスティーヌ嬢、今晩は。今宜しいですか?」


 キースとアレクシスがやってきた。


はんでふゅーか?(なんでしょうか?)


「こら!クリスティーヌ!なんてはしたない!お客様の前では辞めないさい!申し訳ございませんわ。後でみっちり教育のし直しね。」


 いつの間にか背後に母ジュリエッタが居た。気品に満ちた熟年の色香を出す母だ。

 ジュリエッタの顔が鬼の形相になり、クリスティーヌは色んな意味で顔面蒼白になる。

(ビックリしすぎてお肉を詰まらせた事は内緒ですわよ。まぁ鬼特訓も嫌ですが…)


「別に構いませんよ。クリスティーヌ嬢、改めまして私アレクシスと申します。こちらはキースです。本当に昨日はありがとう。助かりました。」


 アレクシスとキースは綺麗な一礼をし、クリスティーヌに礼を言う。


「こんにちは。こんな姿で申し訳ございませんわ。もうご存知だと思いますが、私はクリスティーヌ・エレノーワです。あ構いませんよ。フェンリル手に入れれたんですから。フフフ」


 クリスティーヌがケロッと答える後ろで、ガウスはワインを吹き出しむせ返る。


「ゲホッ。ゲホッ…く…クリスティーヌ…それはどういう事なんだ?!フェンリルはお前の歳で使役するには難しいぞ。フェンリルは気高いから認めた者しか、使役ができないんだぞ!」


 血管破裂して死んでしまうんじゃないのかしら?と興奮し過ぎた父を見てクリスティーヌは飄々と答える。


「あ〜…詠唱した後に対話でフェンリルに言われましたわ。"こんな小娘なんぞに従わない、我は戻る"と。きちんとお話すると、奥様がいらっしゃるみたいですわ。なので奥様も必ず契約します。って言ったらすんなり契約してくれましたわ。それに居心地が良いみたいですの。波長が合うみたいですわ。」


「!!!!!!」


 クスクスと笑うクリスティーヌにガウスは驚愕した。

 フェンリルは使役が難しいと言われてる魔獣であり、少し気難しい所もある。それなのに娘はいとも簡単に使役してましった。

 それもまたフェンリルを使役する約束をして。


 アレクシスとキースも驚いた顔をして固まっている。


「レオパンサーも使役されていますよね?魔力を膨大に使うのでは?」


 キースが恐る恐るクリスティーヌに聞く。


「えぇ。魔力は使いますが、魔獣達(この子達)は必要な分しか魔力は使わないので大丈夫なんですわ。あ、そうでしたわ!フェンリルの縄張りだとわかったのはブレスレット(これ)のお陰なんですわ。シェルの実を加工した物ですの。」


 アレクシスとキースはフムフムと頷き、クリスティーヌは左手首に着けたブレスレットを見せる。


 んー…このお二方…どこかで…どこかで見たような顔…1人は聞いた事あるような名前だけれど…思い出せませんわ…。学園の生徒だったのかしら?まあいいでしょう。そのうち思い出しますわ!色々と前回と違う事が出来ていますし今が楽しいから良しですわ。


「で??お父様。私に何かございますわよね。

 すっごく面倒臭くて嫌な予感しかしませんが一応お伺い致しますわ。」


 クリスティーヌは凄く嫌そうな顔をし、串肉を頬張りながらガウスの言葉を待った。

串肉メインになりましたが、クリスティーヌの串肉愛が伝わったと思います。


フェンリルの奥様、どんな方なんでしょうね?


採取したモノはちゃんとターナさんに届けられていますよ。

出来る侍女マリエルです。


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