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15 運命の出会いですよ②

前回の続きです。

いつもありがとうございます。

ブックマークにPV励みになっています。

 結界から飛び出したクリスティーヌは、全速力で地面を蹴る。一か八か!と、走りながらレオパンサーを召喚する。

 レオパンサーが出てきたと同時に、小さくガッツポーズをし、レオパンサーに飛び乗る。


 そんなクリスティーヌの事情などお構いなしに、背後から猛スピードで追いかけてくるフェンリル。もう黒い大きな塊にしか見えない。


 だめ!

 このままだと足止めされてしまうわ。


 手に魔力を込める。


「フレイム!!」


 無数の火炎がフェンリル目掛けて放たれる。


 轟音が響きわたり、辺りは土埃が舞い上がり黒い燃えかすが散らばり焦げる臭いが漂う。


 フェンリルはこんな攻撃で倒せない。

 子供騙しのような物だわ。

 どうしましょ。

 私の魔力もとっておきたいし…


 クリスティーヌは必死に考え、過ぎて行く景色を見る。


 あ!!

 あれは!!!!

 よし。これなら少し時間を稼げるわ。


 クリスティーヌはレオパンサーに赤いキノコが沢山生えている場所へ進むように指示をする。


「レオパンサー、飛び越えて!!」


 レオパンサーは軽々と赤キノコの上を飛び越える。


 すぐ後に破裂音が何度も何度も森に響き渡る。


 フェンリルは音にビックリし、一瞬戸惑ったように赤いキノコの絨毯の上で立ち往生する。


 そう、この赤いキノコは爆竹(バクチク)ノコといい踏むとパンパンと鳴る。投げるのも良しの陽動作戦向きのキノコなのだ。当たるとちょっと痛い。


 音だけだとわかったフェンリルは、すぐにクリスティーヌの背中を追って行くのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 マリエル、アレクシス、キースの3人は無事リルリル草原へ着いた。


 マリエルはクリスティーヌに頼まれた、例の()()の準備をする。


 杭を地面に差し込み、杭にムスビツルを巻きつけ魔力を注ぐ。

 するとムスビツルがウネウネと動き地面に蜘蛛の巣のような形に根をはる。


「これは…まさか!罠なのか?!」


 アレクシスは初めて見る光景に目を見開きマリエルの顔を見る。


 マリエルは静かに頷いた。


「そうです。これはお嬢様が考えた、対魔獣用捕獲罠です。この領内はマヌマヌの森が近いので他の領より魔獣の出現が多いのです。少し前まではボウガンで捕獲していましたが、狙うのが中々難しく女性でも魔力も少ない人でも出来るようにと考案なさったんです。」


 アレクシスは改めて、クリスティーヌの凄さを感じた。


「彼女は大丈夫なのか?君は心配ではないのか?」


 アレクシスの問いにマリエルは静かに答えた。


「凄く心配です。ですが、お嬢様が大丈夫だ、と言う時は何か勝算あっての事。お嬢様の考える事はたまに無茶苦茶なのですが、理にかなっているのです。だから私はお嬢様を信じてお嬢様の考えに従いここで待ちます。必ずお嬢様は来ます。」


「そうか…彼女はこんなに慕われているのだな。私にもそういう信頼出来る臣下がもっと増えれば良いのだが。」


 アレクシスは寂しそうな顔をし、消え入りそうな声で呟いた。


 キースはそんなアレクシスに声を掛けようとした。


 その時。


 罠から少し離れた東の方から、木が何本も薙ぎ倒される音が響き渡り土埃が舞っていた。


「お嬢様が来られます!キース様はアレン様をお守りになって下さい。()()()の時を考えお二方共、逃げる準備をなさって下さい!」


 マリエルが緊迫したように叫び、ポケットから魔石を取り出し地面に打ち付ける。

 打ち付けられた魔石から黄色の煙が天に向けて立ち昇る。


 木と葉が擦れ、砂を踏む音が聞こえた。


 レオパンサーに乗ったクリスティーヌが森から勢いよく出てきた。

 狼煙に気付き、こちらに駆けてくる。


「お嬢様!!!ここに罠があります!!!」


 マリエルが身振り手振りを加え、必死に叫ぶ。


「マリエル!!ありがとう!!!そこを退いて頂戴!!!来るわよ!!!」


 罠を軽々と飛び越え、魔獣に乗った少女。グレージュの髪がキラキラと輝き、アレクシスは一瞬にしてクリスティーヌに目を奪われた。


 森から黒い塊…フェンリルが出てきた。

 クリスティーヌ達を見つけるなり、こちらに猛進してくる。


「マリエル!!頼むわよ!!」


 クリスティーヌはレオパンサーから降り、手に魔力を込め()()()が来るのを待つ。


 フェンリルが罠に足を踏み入れると、魔力の篭もったツルは生きているかのようにシュルシュルとフェンリルの身体を這い縛り上げる。

 身動きが取れず、唸り暴れようとするフェンリル。


 マリエルはすかさずツルに魔力を注ぐ。

 フェンリルの身体にツルが食い込みフェンリルは動けなくなった。


「ありがとう!もう大丈夫!!()()の2人!!もう少し離れて!!」


 アレクシスとキースはクリスティーヌの背後に走る。


 クリスティーヌはフェンリルに向けて両掌を向け、魔力を放出する。

 すると、フェンリルの周りに青白い魔法陣が現れた。


「「こ、これは魔獣契約の陣!!」」


 アレクシスとキースが同時に叫ぶ。


 クリスティーヌが2人を見てニヤリと口の端を上げ、契約の(ことば)を詠唱する。


「我はクリスティーヌ・ビス・エルノーワ。汝フェンリルダイムと魂の結びを理とせん。我の刃となり我に従え。汝の身体は我の元へ来たり。」


 魔法陣が赤色に光り、クリスティーヌとフェンリルが光に包まれキラキラと輝き出す。

 輝きが消えると魔法陣とフェンリルが消えた。


 辺りが静寂に戻る。



「串肉…食べたい…」


 クリスティーヌはそうつぶやき豪快に顔から地面に倒れた。

 マリエルが慌てて側に寄り介抱したのは言うまでもない。


 アレクシスとキースは、改めて目の前の少女に驚愕をしたのだった。



 そして、アレクシスはクリスティーヌの美しさと勇敢さにいつの間にか心を奪われたのだった。そう彼にとっての運命の出会い。当の本人が恋だと気付くのはまだ先のお話。









フェンリルダイムは正式名称です。

学術的な物と考えて頂けたらと。


アレクシスくんはクリスティーヌに恋しちゃいましたね。

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