150 フレディとジーク
何時もありがとうございますm(_ _)m
先程気付きましが、昨日制作中の物が途中で上がってしまい、申し訳ございません……。
加筆修正を行っておりますので、更新は2、3日に一度となります。
ご了承下さいませ。
「白い仮面の者め‼ ことごとく、ベリア様の邪魔をしおって‼ 」
銀髪の男が叫ぶ。
前髪が長く、右目を被っているせいで表情が半分しか見えないが、遠目からも端正な顔だとわかる。
"クリス。やはりここは俺にやらせてくれ。ロッド、いいだろ? "
"ふん。好きにしろ"
フレディはロッドの許可を貰うと、宙に浮くクリスティーヌの横へと並んだ。
クリスティーヌは、え〜ずるい……、と呟きながらも、雑魚は任せて、とウィンクをし、フレディに伝えたのだ。
フレディは静かに頷き、左腕を抑えながら黒いフードの者達を睨みつけた。
「雑魚がいくら増えようが、変わらん‼ 」
「ジーク。俺がわからないのか? 」
「ん? はははははは。何だ。ただの腰抜けフレディか」
ジークは高らかに笑い、黒いフードを纏いながら、蔑んだ目でこちらを見ている。
「じゃあ、フレディ。私はあそこらへんの奴等を……」
クリスティーヌが何時も通りに、作業に取り掛かろうとすると、 魔蟲蝶の大群が邪魔をし始めた。
「雑魚が何を言ってるのか失笑する。お前から先に殺してくれる」
ジークは魔蟲蝶を巧みに操りクリスティーヌを一気に包み込んだ。
「ははははは。もう死ぬしかないぞ」
高らかに笑うジークと、黒いフードの者達はクリスティーヌの性質を知らなかったのだ。
他の白い仮面の者達も、手を額に当てたりと、やってしまったな、と呟く者もいた。
クリスティーヌ・ビス・エルノーワ。
彼女は、歳を重ねても、売られた喧嘩は必ず買うのである。
ルファーラに包み込まれたクリスティーヌは、一気に燃え上がった。
ルファーラの燃えかすがパラパラと宙に舞い、地面へとゆっくり落ちる。
クリスティーヌは、仮面を取り外し、銀髪男ジークへと怒りを現す。
クリスティーヌの身体から、魔力が溢れ出しているのが目にみてわかるが、ジークは自身の身の危険など微塵にも考えておらず、クリスティーヌを煽る。
「鱗粉を吸ってる時点でお前は終わりだ‼ さっさと魔力が枯渇して倒れるがいい。ゆっくりと俺がいたぶってやる」
クリスティーヌは額に筋を立て、ながら手に魔力を、込め始める。
魔力が強過ぎるのか、手に巻かれた包帯は魔力により消えて無くなっていく。
魔力によって消された包帯の下から出てきた腕には、黒い紋様が絡まるようについている。
「黙って聞いていれば……」
「ま……待て!! クリスティーヌ!! 」
フレディは慌てて声を荒げ、クリスティーヌを止めようとする。
だが、フレディの言葉も虚しく後の祭りだ。
クリスティーヌは、素早く宙に紋様を幾つも描き、一つの魔法陣から、魔獣を召喚させる。
現れたのは、仔犬程の大きさの魔獣九尾狐の子狐だった。
ヴェルメは澄ました顔をしたかと思うと、牙を剥き出し魔力を体内に込め、咆哮を上げた。
ジークの周りに魔法陣が幾つも出現する。
「な……なんだ?! 」
「ヴェルメ、存分に遊んで差し上げなさい。私に向けた言葉を後悔するといいわ」
クリスティーヌは不敵な笑みを浮かべながら、ヴェルメに命じると、ヴェルメは九つの尻尾を振りかざし、風の刃を編み出し、ジークを八方から切り裂いていく。
風の刃は次第に大きくなり、周りを囲まれたジークは防御魔法を自身にかけるが既に遅し。
素早く繰り出される風の刃は幾つも、ジークの身体へと刻まれ、その度に血が舞い散る。
八つ裂きにされているのだ。
周りの黒いフードの者達は、ジークがやられている姿を見て、分が悪いと察したのか、後退りを始める。
だが、クリスティーヌは彼らを見逃す気などサラサラないのだ。
素早く宙に紋様を描くと、黒いフードの者達の足元に魔法陣を展開させ、一気に発動させた。
ぽっかりと開いた黒い穴が現れ、一気に黒いフードの者達は落下し、暗闇に消えてしまったのだ。
「捕獲成功ですわね」
嬉しそうに話すクリスティーヌに、もはや誰も声を掛けることはなかった。
今の状態だ止めても無駄な事は皆しっているからだ。寧ろ、今止めて不発し後に爆発される事の方が大迷惑なのである。
五年経ってもクリスティーヌはクリスティーヌのままだったのだ。側では、マリエルがおて上げ状態で、仮面の者達へと合図する。
昔のクリスティーヌと何が違うかと言えば、魔力が更に上がり、使える魔法も幾つも増えた、と言うところだろうか……
いつの間にかジークは気を失い、その場へと倒れていた。
主が倒れると、辺りに舞っていた蝶は消えていくかと思われたのだが、そんな気配はない。
「あら、これは消えないですわね」
クリスティーヌはあたりを見渡すが特段変わった様子はなかったのだ。