133 マーガレット・レクガン
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土埃が消え、辺りの視界が良くなり、マーガレットは、ジュイナの姿を確認しようと近づく。だが、そこにはジュイナの姿はなく、穴が空いた地面が現れたのだ。
「なっ?! 」
マーガレットは驚き、直ぐに顔を歪めながら辺りを見回し、ジュイナを探す。
穴が空いた地面から少し離れた場所に、防御結界がはられており、中に怪我を負っているジュイナと白い衣を来た者達がいたのだ。
マーガレットはその光景を目にするとわなわなと手を震わせ、掌を握りしめ防御結界がある場所へと、黒い魔力のこもった魔法を一気に放ったのだ。
「そこの馬鹿達も死ぬがいいわ。邪魔者は全て排除する」
マーガレットの目は血走り、黒いモヤが身体を覆い尽くすように現れ、徐々に魔力を強くしていく。
白い衣の者達は、マーガレットの存在を無視するかのようにジュイナの手当てを進めていく。
一通り処置を終えたのだろうか、一人の白い衣を纏った者がマーガレットの攻撃を受けているにも関わらず、防御結界の外へと出たのである。
他の者達は外へ出た者を見る事なく、ジュイナの手当てを黙々と進めているのだ。
防御結界にはマーガレットからの赤黒い炎の攻撃が続いており、辺りは飛び散った炎が草木に燃え移り、赤々としている。
白い衣の者は、赤黒い炎の中から傷一つない状態でマーガレットの前に姿を現したのだった。
「何なの?! この薄気味悪い悪い仮面の奴等は‼ 」
マーガレットはその姿を見て驚いたが、握りしめた黒い石を使い、魔力を更に込め炎の威力を上げ攻撃を続けるのである。
白い衣の仮面の者が包帯で巻かれている右手を出し、赤黒い炎に触れる。すると一瞬にして炎が消えて無くなってしまったのだ。
マーガレットは金魚のように口をパクパクと開けたり閉めたりを繰り返し驚いている。
白い衣の仮面の者は、手の上に小さな魔法陣を展開し魔法を発動させ、マーガレットへ魔法陣ごと投げ飛ばしたのだ。
投げ飛ばされた小さな魔法陣は猛スピードでブーメランのように回転し、マーガレットへ向かい一直線に飛んでいく。
マーガレットは防御結界を使ったが、投げ飛ばされた小さな魔法陣により一瞬にして破壊され、マーガレットの頬を掠めたのである。
マーガレットの頬には赤い線ができ、血がゆっくりと滲み出していた。
「私の顔に傷をつけるなど‼ 死で償え‼ 」
マーガレットは自身の身体を傷付けられた事に酷く憤慨し、両掌に魔力を込めると白い衣の仮面の者へと次々と攻撃を開始したのだ。
黒い石の力を使っているのか、先程より強力な赤黒い炎を撒き散らし、一瞬にして辺り一面が炎の海へと変わるのである。
撒き散らした炎は勢いよく炎が高く舞い上がり、白い衣の者の姿は炎にのまれてしまったのか見えなくなったのだ。
その様子を見た、マーガレットは満足そうに口角を上げる。
マーガレットが安心し始めた時、赤黒い炎の中から青白い閃光と共に竜巻のような風が起こったのだ。
「なっ何⁉ 」
風は炎の中心から勢い良く巻き上がり、次第に大きくなっていく。
竜巻のような風は、周りの炎や草木を容赦なく飲み込み、そのままマーガレットへ向かっていくのだった。
マーガレットは風の強さに髪を振り乱しながらも、炎攻撃の手を緩めない。
マーガレットが放つ炎は全て風に吸い込まれていく。
「ちっ。本当に小賢しい」
マーガレットは、白い衣の者の足元に魔法陣を展開させ、魔法陣を発動させる。
だが、一瞬にして魔法陣を無効かされ、気付いた時には目の前に白い仮面の者が居たのである。
「なっ……」
マーガレットが口を開くと同時に腹に強烈な痛みを感じ顔を歪めたのだ。
マーガレットは一瞬の出来事に理解出来ず、ゆっくりと自身の腹を見る。
腹がえぐれ、血が噴き出ていたのだ。
手で治癒魔法をしようと動かすが、肘から手が失われていたのだ。
マーガレットは目を開き口から吐血すると、そのまま地面へと倒れたのである。
マーガレットから流れ出した血は、地面に吸い込まれている。
白い衣の者は、更に息絶えているかわからないマーガレットの下に魔法陣を展開させ、一気に業火を使い、マーガレットを灰にしたのである。
「終わったか? 」
「終わった」
「仲間が来る前に撤退する」
白い衣の仮面の者達は、魔法陣を展開させ各々が中へ入ると一瞬にして姿を消したのである。
白い衣の者達が去ってからしばらくすると、エスイア達が、ジュイナの元へとやってきたのだ。
辺りは燃え尽きているが、激しい戦闘の形跡が見られる。
エスイアはジュイナの姿を確認すると猛スピードで駆け寄り、ジュイナの生存を確認する。
ジュイナは意識を失っているが、命に別状はないようだ。ジュイナに施された治癒魔法のお陰だろう。
一体誰が、このような高等治癒魔法を使ったのか、エスイアは考え始めたのだ。
ジュイナは直ぐに治癒師のもとへと運ばれ、更に治療が行われた。
応急処置が早かった為、治癒師達の魔法は少なくて済んだのである。
ジュイナが一命をとりとめ、目を冷ましたのは三日後の事だった。