125 復活
遅くなりました!!
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一段落したら、この学園編の改訂や加筆を行おうと考えています。
「エスイア‼ 最大魔力の放出よ」
「わかってるって」
クリスティーヌの声に、エスイアは魔力を掌に込め、スピアの足元に魔法陣を展開させる。
ファタールが魔導具を使い、エスイアの魔力回復の援護に回るのだ。
クリスティーヌはブツブツと詠唱をし、魔力を光の槍へと集中させる。
光の槍から魔法陣の文字が現れ、生きているかのようにゆっくりとスピアの腹や背中へと流れていく。
全ての魔法陣の文字がスピアへと移り、魔法陣の形へと戻ると赤く光出したのだ。
「《光の鎖と共に眠れ》」
クリスティーヌが最後の呪文を唱えると、スピアの身体の赤く光る魔法陣から無数の光の鎖が飛び出し、スピアの身体全体に巻き付き、拘束ししたのだ。
エスイアも魔力を込めると、足元の魔法陣が光り、スピア全体を光で球型へと包みこむ。
スピアは動かなくなり、足元から徐々に結晶石化されていく。
「やりましたね」
ルギがそう言うと、クリスティーヌは魔力が強く感じる、奥の封印を解除した場所を見たのである。
閉じ込められた人物が目を見開き、石の中からこちらを見ていたのだ。
「生きてる……」
「ん……? 」
デニスはクリスティーヌが見ている方向を見ると、驚きと共に怒号をあげたのだ。
「ハミル‼ 」
デニスの言葉に皆、先程クリスティーヌが勝手に解除した石へ目を向ける。
石の結晶にはヒビが入り、魔力が流れ出したと同時に、眩しく光を放ったのだ。
「久しぶりの空気です」
ハミルは深呼吸し、首や肩を鳴らしながら、手を握ったり広げたりを繰り返し、鈍った身体の凝り等を確認をしている。
「ハミル‼ 貴様‼ 」
「おやおや。誰かと思えば……デニス殿。お久しぶりです」
ハミルは激怒するデニスに向かって、わざとらしく膝を折り、右手を胸に当て一礼をする。
ハミルの姿を目の当たりにし、誰もがこの状況は不味いと感じ、念話に切り替える。
"こいつ、モルテリリー事件の首謀者なのか"
"デニス団長は、ハミルと言ってたし、間違いないわ"
"クリスティーヌ‼ お前わかるか?! "
"ええ。リリー事件の時に一度顔を合わせたもの……まさか……"
クリスティーヌは自身の軽率な行動により、ハミルを復活させてしまった事、そしてハミルと対峙するとは思わなく、思考も何もかも停止している状態になっていたのだ。
「また、お会い致しましたね。エルノーワ家のご令嬢様。助かりましたよ」
ニコリと紳士的な笑みを浮かべるハミルは、直ぐに回復魔法を使い自身の体力回復を行う。
「ここで、呪縛結界を解除して頂いた貴方達にお礼をしたい所ですが、なに故、久し振りの世界ですので、色々とやらなければならない事があります。残念ではございますが、これにて、私はお暇させて頂きます」
「ハミル‼ 行かせるか‼ 」
「デニス団長? 長生きできませんよ? 」
ハミルは笑いながら、指を合わせ、パチンと鳴らす。
すると地面から数体のゴーレムが出現し、デニス達の行く手を阻むのだ。
「ちっ……ルギ‼ さっさと倒してハミルを捕まえるぞ」
「は……はい‼ 」
デニスとルギは地面を蹴り、素早く剣を抜くと、ゴーレムへと斬りつけ石の塊へと戻したのだ。一瞬の出来事だった。
「中々やりますが、それ程甘くないですよ。では頑張って下さい」
ハミルはそう言い残し、洞穴の横に繋がる道へと姿を消したのだ。
デニスとルギは追いかけようと走るが、先程石の塊となっていたゴーレムが壁を作り、先へと勧めなくなってしまったのである。
デニスとルギは必死にゴーレムの壁を斬りつけるが、全くびくともせず、傷ひとつつける事ができなかったのだ。
「く、くっそ……」
デニスは剣を下げ、壁をただ見つめるのであった。
「クリスさん……」
ジュイナは固まったままのクリスティーヌに声をかけたのだ。
「デニス団長……ごめんなさい。私が、もっと話を聞いていれば……」
クリスティーヌは俯き、唇を噛みしめる。
ジュイナとエスイアは初めてみるクリスティーヌの姿に驚いたが、口を出さずに静かに見守ったのだ。
「いや。俺の指揮が悪かったんだ。クリス嬢が全て悪い訳ではない。だが、俺の言葉もたまには聞いてくれ。さて、城へ戻り報告せねば」
デニスはクリスティーヌ達にそう言葉を残し、先に洞穴の出口へと歩き出したのだった。
クリスティーヌ達はデニスの後を追うように、洞穴の出口へと向かったのだ。
"エスイアとジュイナにお願いがあるの"
"どうした? "
"ハミル魔法師の脚に呪縛魔法の紋様が見えたの。それをデニス団長に伝えて欲しいの"
"わかったわ"
"あと……"
クリスティーヌはエスイアとジュイナにお願いの言葉を最後に、忽然と皆の前から姿を消したのだった。
誰も行き場所もわからないまま、捜索も暫くしていたが、手掛かりがないまま時が過ぎていったのだ。