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121 巨大コルド

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 クリスティーヌはリックからネモレ王国の地図を用意してもらうように伝えた。


 そして、ファタールの手の中にある飛蝗から魔力が残っているか確かめる。


「駄目だわ。小さ過ぎてもう魔力がないわ」


「やっぱり、生きている虫から魔力を感じないと駄目か……」


 エスイアは溜息をつき、取り敢えず現場へと案内してもらう事にしたのだ。


 被害を受けている平野へと近付くにつれ、飛蝗の数が多くなる。


「いやぁぁぁぁぁ‼ 虫は嫌いよ‼ 」


「俺は今のお前が怖いわ‼ 」


 エスイアは呟いた。


 クリスティーヌは叫びながら、ジュイナに借りた布を頭から被り、口元を覆い、目だけ出している。

 傍から見れば、怪しくおかしな人にしかみえないのだ。


「クリスさん。これは……虫では……」


 ファタールが言いかけたと同時に、クリスティーヌの目の前に幼児位の大きさの飛蝗が出現したのだ。


「目障りですわ‼ 」


 クリスティーヌは拳に魔力を込め、飛蝗(コルド)の顔にそのまま拳叩き込む。


 瞬時にクリスティーヌの魔力と拳の威力で飛蝗の頭が吹っ飛び、胴体はそのままゆっくりと地面に倒れたのだ。


「ク……クリスティーヌ? 虫は嫌いなんじゃ……」


「虫は嫌いよ。これは()()。ただの虫ではないわ。魔物よ」


 ふんっと鼻を鳴らし、指と指を合わせパチンと音を鳴らすと、倒れた飛蝗が一気に燃え上がったのだ。


 辺りには虫の焦げた何とも言えない臭いが漂っている。


 この時、虫も魔蟲も一緒の様なものなのだが、クリスティーヌにすれば大きさが問題なのだな、と全員一致で思ったのである。



「クリスさん……魔力を感じれたの……? 」


「あ……忘れてたわ」


 残りの胴体も燃やしてしまい、踏んだり蹴ったりのデニス班である。


「あっちにも大きいのがいるから、あれならどうだろ? 」


「なぁ……ファタール……あれ、どう見てもさっきよりデカくないか? 」


「そうだね。けれど雄かな?   雌はもっと大きいんじゃないかな? 」


「いや……そういう事ではなくてだな……」


「おい!! エスイア、デカイ奴がこっちを見たぞ!! 」


 ファタールが指差していた魔蟲コルドが急にこちらに振り向き、向かってきたのだ。


 デニスが叫び慌てて走り出すと、皆一斉に走り出した。


「おい! ファタール。一体これは何だ?! 」


「そうですね。縄張りを荒らされたと怒った雄が、僕達を殺そうとしている感じですね」


「んな事はわかっている‼ どうすれば良いんだ?! 」


「倒すのみです」


 エスイアは走りながら、クリスティーヌが二人居てるみたいだ、と嘆き、魔力を込め拘束魔法を使う。


 コルドの動きを一時的に止め、クリスティーヌが魔力の型を覚え、ファタールが火炎魔法で焼き払う。


 見事な連携である。


「あっぶねーー……」


「何とかぎりぎり間に合ったな」


「いえ、間に合ってないような気が……」


 エスイアとデニスがほっと胸を撫で下ろしている時に、ファタールは水をさすのだ。


 クリスティーヌ達は無我夢中で走り、森の中にある洞窟の前まで来ていた。


 洞窟は普通の岩場をくり抜いた洞窟ではなく、明らか何かが故意的に作った土の洞窟だったのである。


「これは?! 」


「ファタール、もしかして……もしかしなくとも、もしかして……」


「そうですね。これは巣ですね。先程の飛蝗の巣ですが、ここら中にある糸が気になります」


「なぁ……ルギ。俺は嫌な予感しかしないのだが」


「デニス団長。そう思います。嫌な予感が……」


「取り敢えず、皆さん隠れて下さい‼ この飛蝗より糸が気になります‼ 」


 ファタールは叫び、咄嗟に皆木の上へと登り、姿隠しの魔法をかけたのだ。


 森の奥から葉の擦れる音が近づき、何か硬い物が連続してぶつかる音が小さく聞こえる。



 "来るぞ‼ "



 エスイアが念話で話す。


 木々の音が一層大きくなり、土の洞穴の側に巨大な紫の色をした蜘蛛が現れたのだ。


 赤い目が不気味に光り、口元の牙を何度も何度も打ち、小さい音を鳴らしている。


 巨大な蜘蛛の背中には、黒い魔石が埋め込まれており、黒い魔力を放っている。



 "こいつは一体なんだ?! "


 "ただの魔蟲ではなさそうね"


 "背中に魔石が見えるわ"


 "もしかしてキメラか?! "


 "違う。魔蟲蜘蛛(スピア)の突然変異かもしれない"



 クリスティーヌ達C組は念話を通し、会話ができるが、デニスは念話が出来ないのだ。

 だが、ルギは以前浄化魔法を取得した時に念話も取得していたのである。



 "しっ。ちょっと間様子を見ましょう"



 紫色の蜘蛛は赤い目を土の洞窟へと向けると、中から無数の飛蝗が出てきたのだ。

 平原で見たコルドと同じ位の大きさだろうか。


 蜘蛛はコルドを見るなり、糸を吐き出し、数十匹の飛蝗を捕獲し引き摺り始め何処かへと移動を始めたのだ。



 "え……この蜘蛛は何処に行くのかしら? "


 "取り敢えず、ついていってみるか"


 "ルギさん、私達は蜘蛛を追います。デニス団長に宜しく"


 "私達も行きますから! デニス団長も連れて行きますから、少しお待ち下さい" 



 ルギは慌てて、クリスティーヌ達に念話をすると、デニスに伝えた。


 デニスの諦めたような顔は遠目からでもよくわかる。

 隣ではルギが苦笑いしながら、クリスティーヌ達の後を追ったのだった。

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