表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫のカフカ  作者: キャベツはどうした
石を見上げていさくさ
PR
68/90

第15節

しばらくの間、あの欠けた石の周りには様々な者たちが押し寄せたという。



 単なる講演にとどまらず、最後にオチがついた話芸を披露する者が現れたりと、色々盛り上がっていたらしい。



 騎士団は私に、欠けた石を中心として、右手に流れる宝陽川までのエリア、ファーム4を住処にする者たちを一定時間、一か所に集めてほしいと頼んだ。



 冬眠する季節であるため、留まっている者たちは少なく集めることはできたのだが、それがまさか、娯楽行事を増やすことになるとは思ってもみなかった。



 騎士団は彼らを欠けた石に陽動し、我々の見ていないところで一体何をしていたのか、私にはさっぱりわからないが、皆の楽しみが増えたのだからよかったのだろう。



「で、詳しいことは言えないのだな」



 騎士団本部の石門の前でハリネズミの分隊長と私は対峙していた。

 分隊長は答えた。



「残念ながらな。だが俺たちの楽園が壊されそうになっているのは確かだ。何せ俺がいっている」

「それがファーム4と関係があるのか」



 私の問いに、彼はだるそうに腕を組み、呟く。



「ただ防衛網の強化を行っただけだ。お前はアマリリスのよしみだし、上にも繋がりがあるからいっているが、他の者たちには公表くれるなよ。騒ぎになるのは面倒だ」



 よしみの奴は不在だったので、部外者である私は門の前にいるしかなかった。



「何に怯えてる」



 分隊長の沈黙は長い。



「……これ以上知りたけりゃアマリリスの野郎に伝えろ。いい加減俺たちのところに戻れと」

「それはまた、難題だな」

「ならとっとと去れ」



 私は家路についた。



 余計なことを聞かなければよかったと、心に残るもやもやを感じて後悔したが、風に揺れる葉先といつも通りの風景を見れば、落ち着きが舞い戻ってくる。



 壊されることはない。

 きっとそんなことは起きないだろう。



 私はそう思い、いつも通りの景色の中を淡々と進み続けた。



<end>





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ