第15節
しばらくの間、あの欠けた石の周りには様々な者たちが押し寄せたという。
単なる講演にとどまらず、最後にオチがついた話芸を披露する者が現れたりと、色々盛り上がっていたらしい。
騎士団は私に、欠けた石を中心として、右手に流れる宝陽川までのエリア、ファーム4を住処にする者たちを一定時間、一か所に集めてほしいと頼んだ。
冬眠する季節であるため、留まっている者たちは少なく集めることはできたのだが、それがまさか、娯楽行事を増やすことになるとは思ってもみなかった。
騎士団は彼らを欠けた石に陽動し、我々の見ていないところで一体何をしていたのか、私にはさっぱりわからないが、皆の楽しみが増えたのだからよかったのだろう。
「で、詳しいことは言えないのだな」
騎士団本部の石門の前でハリネズミの分隊長と私は対峙していた。
分隊長は答えた。
「残念ながらな。だが俺たちの楽園が壊されそうになっているのは確かだ。何せ俺がいっている」
「それがファーム4と関係があるのか」
私の問いに、彼はだるそうに腕を組み、呟く。
「ただ防衛網の強化を行っただけだ。お前はアマリリスのよしみだし、上にも繋がりがあるからいっているが、他の者たちには公表くれるなよ。騒ぎになるのは面倒だ」
よしみの奴は不在だったので、部外者である私は門の前にいるしかなかった。
「何に怯えてる」
分隊長の沈黙は長い。
「……これ以上知りたけりゃアマリリスの野郎に伝えろ。いい加減俺たちのところに戻れと」
「それはまた、難題だな」
「ならとっとと去れ」
私は家路についた。
余計なことを聞かなければよかったと、心に残るもやもやを感じて後悔したが、風に揺れる葉先といつも通りの風景を見れば、落ち着きが舞い戻ってくる。
壊されることはない。
きっとそんなことは起きないだろう。
私はそう思い、いつも通りの景色の中を淡々と進み続けた。
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