第11節
僕はフユシャクに冷たく当たったが、彼は簡単にめげなかった。
しつこく僕に頼み込んでくる。
「お願いだよ、ぼくは自分の衝動をおさえることが苦手なんだ」
「……」僕は無視して集中する。
「君の努力に感服しているんだ」
「……」あの草はなんて名前だったっけ。
「君の知っていることをぼくにたらふくおしえてくれよ」
「……」時間がない。早く講演会を辞めさせないと。あの怠惰な化け物を打ち負かすんだ。
「だからぼくは――」「うるさいッッ!」
僕は彼を脚で蹴飛ばしていた。
僕ははっとして、フユシャクに駆け寄った。
「大丈夫かい!? ごめんよ。そんなつもりはなかった。あぁどうしよう。と、とにかくごめんよ」
フユシャクは起き上がると羽を広げた。
「まさかこんなことをされるとは思わなかった。しつこくして悪かったよ。ぼくは暴力は嫌いだし、君にも嫌われたみたいだから、も、もう頼まないよ。それじゃあ」
フユシャクは激しく羽ばたきながら飛んでいった。
僕は息を吐きだした。
父親に蹴られたときのことを思い出す。
同じことをしてしまった。
苛立っていたとはいえ、忌み嫌っていた相手の常套手段をついに僕も利用してしまった。
僕はますます頭をかかえた。
視界がもやもやになって、真っ白になる。
意識が薄くなっていく。
ここがどこなのか、判断できなくなっていく。
思わず力が抜けた。
ややあって、僕は自分が倒れたんだとわかった。
そして僕の意識がここで途絶えた。




