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第10節
頭が朦朧とする。
先ほど突き飛ばされときにどこか痛めたのだろうか。
だけど、もだえ苦しむほどでもないから、僕は立ち止まることはなかった。
それから続けて、勉強をしていった。
僕は自分でもおかしくなりそうだった。
今までこんな状態に陥ったのは初めてだった。
集中ができない。
あのハリネズミに拒否されてから、講演会を中止にできない、先生を取り戻せないという僕の気持ちが募っていき、どろどろの訛になって能や体の奥底に、沈殿していくようだった。
――何もかもができない。
そのとき、小さなフユシャクが僕の足元に来るのを見つけた。
蛾の仲間で天敵がいないこの時期に活動している。
「あ、あの」
話しかけてきたことに僕は訝しんだけれど、とりあえず「何だよ」とぶっきらぼうにいった。
「君にいろいろ教えてほしいことがあるんだけど」
「はぁ?」
フユシャクは灰色の上体だけを持ち上げた。
「ぼくも勉強したいと思って。いつも君を見ていたけれど、君はすごく熱心だったからきっとぼくに有意義な時間を与えてくれると信じて頼みに来たんだ」
「でも、僕には時間がないんだ。それに優秀な先生を知っているから、紹介してあげるよ……あぁ、でも今は違うかも」
「?」
「とにかく、僕はまだ教える立場じゃない。だからあっちへいっててくれ」




