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妖精讃歌
その時、暗がりを選んだ。
何て事はない、
気紛れのようなものだった。
闇と見紛うその中で
踊るように揺れる数多の金色が、
未練がましく浮き世にしがみつく、
人の残渣に見えていたのだろう。
その数は、よっつ。
今にも闇に溶けてしまいそうなそれが
事実そうだとするのであれば、
一際弱々しいあの灯火が
私のそれだったのだろう。
それは雪のように舞いながら
僅かな余韻さえ残さずに
溶けて、消えた。
あとにはきっと、
なにも残らない。
そんな儚い
妖精の謳。