③
エビルハウンド達は吸収魅力の力で生命力を吸われ息絶えていた。
マヤは「相手になりませんね〜」と呟きながらバキュスに目を移すとバキュスが赤ちゃんになっていた。
(これはインキュバスの魅惑幻視ですね〜どうやら、私は半淫魔だから少し効いてしまったようです〜)
マヤは魅惑幻視を解こうとした時、バキュスが泣き出した。
「あらあら〜、どうしたんでちゅか〜?怖かったでちゅね〜?」
マヤは思わず赤ちゃんのバキュスを持ち上げてあやした。
すると赤ちゃんのバキュスは親指をしゃぶりながらキラキラした目で見つめる。
「ふぁぁはわわわわ〜!どうちたんでちゅか〜?ちょんな目で見ちゅめられると〜ママだきちめたくなりまちゅよ〜」
マヤは魅惑幻視の影響で溢れる母性が止まらなくなり赤ちゃん言葉になっていた。
その後、なんとか魅惑幻視をふりほどいたマヤはギルドに討伐終了の連絡を入れた。
その後、ギルドはすぐに別の馬車を手配し、マヤはバキュスの家の前に着いた。
バキュスと手を繋ぎ、大きな庭園の門の前まで来ると、マヤは屋敷を見上げた。
「ここがバキュス君のお家?」
「………うん!」
入り口の門のインターホンを押すと門が開き奥から
「バっきゅ〜ん!!!」
男が凄いスピードで走ってきた。
「いったいどこに行ってたんだよー。パパ心配したじゃないか!」
父親はバキュスを抱きしめて頬擦りをする。
バキュスは若干嫌がりながらも
「ただいま、パパ」
「ただいまじゃないよー」
父親の顔が涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「全く、どこに行ってたの?」
男の後ろから、小柄な女性がぴょこんと姿を表した
「ママー!」
バキュスは母親に抱きついた。
「そちらの方は?」
母親はマヤに気づく。
「あ、私はギルドから来ました〜。「マヤ・カナリア」と申します〜」
マヤは丁寧に頭を下げた。
「ギルド?と言うことはエビルハウンドの件ですか?」
「それならもう〜、討伐終わりましたよ〜」
「「え?!」」
マヤはゲストルームに招かれ、事情を説明した
「あとでギルドからの説明があると思います〜」
「そうですか、ありがとうございます!」
「さて、私はこれで…」
マヤはビックバードの卵とビックバードの肉を早く買いに行かなくては…と急いでいた。
そこに
「奥様、見てください!この大量のビックバードの卵とお肉!」
ふくよかなメイドが嬉しそうに走ってきた。
「今日はチキンステーキと唐揚げとオムレツにオムライス、いっぱい出来ますよ!」
「………あの〜、ビックバードの卵とお肉、まだ残ってました?」
マヤがふくよかなメイドに恐る恐る在庫について尋ねると
「え?あたし達が買ってきたのが最後だったよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
マヤは膝から崩れ落ちた。
「ミヤちゃん……不甲斐ないお母さんでごめんなさい…」
その様子にバキュスの父親と母親が目を丸くする
「あ………、大丈夫です…すいません…」
マヤは力無く立ち上がりヨロヨロと歩き出す
その光景を見て、バキュスの父親は
「あ、待ってください!おい、ビックバードの卵とお肉分けてやれ」
メイドに命令しビックバードの卵とお肉を持って来させた。
マヤは「いいですいいです」と断るが、押し切られる形でビックバードの卵とお肉を貰った。
屋敷を出たマヤは、
「貰っちゃいました…」
と、嬉しい半面、申し訳なさも感じながらギルドへ戻った。
ギルドで私服に着替え、報酬を受け取る。
ところが、その額は金貨2枚。相場の4倍だった。
「ビックバードの卵とお肉……さらに金貨2枚……わ、私…今日死ぬんでしょうか……」
突然怖くなり必要以上に周りを警戒し家路につくのだった
マヤはミヤが帰ってくるまでにオムレツチキンカレーを作っていると玄関のドアが開き
「ただいまー」
「おかえり〜ミヤちゃん」
娘が元気よく帰ってきた
マヤとミヤは食卓に並べられたオムレツチキンカレー、チキンと卵のスープを食べながらミヤが「今日あったこと」や「学校の勉強」を話し、マヤがニコニコして聞いている
何気ない時間が彼女にとってかけがえのない時間となっている
王都の夜道を、一人の長身の美女が歩いていた。
黒髪の姫カットストレートにフレームレス眼鏡。ガントレット、肩アーマー、アーマーブーツ、そしてマイクロビキニアーマーという目立つ装備を身につけている。
「流石に辺境地の討伐依頼三件は無茶だったな」
美女は首から下げたロケットペンダントを開いた。
「コゥ…お母さん、やっと仕事終わらせて帰ってきたぞ…」
その瞬間、長身美女がロケットの写真に気を取られその場に転んでしまう
が、ふぅ…とため息をつき何事もなく立ち上がり歩き出した




