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世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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監視網と追跡者

第24話です。宜しくお願いします。


 ――世界は、変わってしまった。


 ある日、何の前触れもなく。


 “ゲート”と呼ばれる現象が、世界各地に発生した。


 空間が歪み、裂け目が生まれ。


 そこから現れたのは――


 人間では到底太刀打ちできない、“モンスター”。


 最初は、局地的な被害だった。


 だが、それはすぐに拡大する。


 都市部。


 地方。


 関係なく、ゲートは開き続けた。


 自衛隊が出動し、対応にあたったが――


 結果は明白だった。


 “限界”。


 通常兵器では通用しない個体。


 数の暴力。


 対応の遅れ。


 人類は、追い詰められた。


 そんな中。


 異変が起きる。


 人間の中に、突如として“力”が芽生え始めたのだ。


 後に――


 “超人族”と呼ばれる存在。


 彼らは、個々に異なる“スキル”を持ち。


 モンスターに対抗できる唯一の戦力となった。


 そして、国は決断する。


 この力を、統制する。


 組織として、運用する。


 それが――


 **SPМ(エスピーエム)**の誕生だった。


 SPМは、5隊の部隊で構成される。


 主に都市部を拠点とし、ゲートの制圧とモンスター討伐を担っている。


 彼らの活躍により、都市部は一定の安全を保っていた。


 だからこそ、人々はそこへ集まる。


 地方を捨て。


 危険を避け。


 “生きるために”。


 だが――


 問題もあった。


 人手不足。


 それは深刻だった。


 次々と現れるゲート。


 止まらないモンスター。


 それに対し、戦力は足りていない。


 結果。


 未熟な超人族。


 能力の低い者。


 そういった人間も、次々と組織へと組み込まれていった。


 そして――


 歪みが生まれる。


「俺は超人族だぞ?」


「一般人は黙ってろ」


「守ってやってんだから感謝しろよ」


 そんな声が、あちこちで聞こえるようになった。


 力を持った者の、傲慢。


 選ばれた者という意識。


 差別。


 暴言。


 暴力。


 SPМは、人類を守る組織でありながら――


 同時に、“恐れられる存在”にもなっていた。


 それでも。


 人々は頼るしかない。


 SPМがいなければ、生き残れないからだ。


 物資も、食料も、足りていない。


 それでも。


 そこが“唯一の安全圏”だから。


 人は、そこへ集まり続ける。


 希望と、不安を抱えながら。





「……クンクン……」


 崩壊した街の中。


 瓦礫の隙間を縫うように、1人の男が歩いていた。


 その右手は――


 異形。


 肉が変形し、“犬の鼻”のような形状へと変わっている。


 そして、それを地面へと近づける。


 匂いを、嗅ぐ。


「……血」


「……鉄」


「……焼けた匂い」


 そして、わずかに目を細める。


「……違うな」


 ただの戦闘じゃない。


 ただの殺し合いでもない。


「……統率されてる」


 匂いで分かる。


 攻撃の流れ。


 倒し方。


 無駄のなさ。


「数じゃねぇ……」


 ボソリと呟く。


「……質だ」


 それも――


 かなり高い。


 男は立ち上がる。


 そして、ゆっくりと歩き出す。


「……この先か」


 匂いは、まだ続いている。


 まるで、道を示すように。


 しばらく歩いた先。


 男は、足を止めた。


「……は?」


 思わず、声が漏れる。


 目の前にあったのは――


 “異物”だった。


 崩壊した街並み。


 崩れた建物。


 荒れ果てた地面。


 その中で――


 そこだけが、別世界のように存在していた。


 8階建ての建物。


 外装は美しく整えられ。


 傷一つない。


 どころか――


 豪華。


 明らかに、この世界の現状と噛み合っていない。


「……なんだ、これ」


 思わず呟く。


「ありえねぇだろ……」


 さらに耳をコウモリに変えて澄ましてみる。


 すると――


「……監視……?」


 建物の周囲。


 小さなノイズ音が聴こえる。


 違和感。


 空気の張り詰め方。


「……要塞かよ」


 低く笑う。


 そして、ポケットからスマホを取り出す。


「……証拠、残しとくか」


 カシャッ。


 写真を撮る。


 その瞬間。


 ――ピピピピピピッ!!


 甲高く、無機質な音が響いた。


「っ!?」


 男の表情が変わる。


「やべぇ……!」


 瞬時に理解する。


 “感知された”。


「近づきすぎたか……!」


 即座に判断。


 その場でスキルを発動する。


 体が変形する。


 骨が軋み。


 筋肉が膨張し。


 形が変わる。


 そして――


 “馬”へと変身した。


「チッ……!」


 次の瞬間。


 地面を蹴る。


 爆発的な加速。


 一気にその場を離脱する。


 土煙が舞う。


 音を置き去りにする速度で――


 男は、その場から消えた。


――ピピピピピピッ!!


 突然、拠点内に警報音が響いた。


「……っ!?」


 俺は反射的に顔を上げる。


「今のは……」


 陸斗もすぐに反応した。


「警備スキルの……アラームですね」


「ああ」


 俺は立ち上がる。


「侵入……か?」


 すぐに外へ向かう。


 扉を開け、周囲を見渡す。


 だが――


「……誰もいないな」


 視界に映るのは、いつも通りの景色。


 荒れた街。


 静まり返った空気。


 異常は、ない。


「気配は感じません」


 陸斗が静かに言う。


「……おかしいな」


 確実に、アラームは鳴った。


 つまり――


「一瞬だけ、侵入したか……」


 そして、すぐに離れた。


 そんな動きだ。


(……人間か?)


 モンスターじゃない。


 そんな気がした。


「悠真」


 未来が一歩前に出る。


「上から見てみる」


「ああ、頼む」


 未来は軽く頷き、手をかざす。


「――“動植物図鑑”」 


 空間が揺らぐ。


 そこから現れる、一羽のカラス。


「共有」


 その瞬間、カラスが空へと舞い上がる。


 高く。


 さらに高く。


 周囲を見渡すように旋回する。


 数秒後。


 未来の表情が、少しだけ変わった。


「……あれ?」


「どうした?」


「……馬が走ってる」


「……は?」


 思わず聞き返す。


「馬?」


「うん、かなりのスピードで」


 未来が空を見たまま言う。


「こっちから離れていってる」


「……この辺に馬なんていたか?」


 俺が眉をひそめると。


「いえ……」


 陸斗が首を振る。


「この周辺にそういった施設は確認されていません」


 少し考えてから。


「……動物園から逃げ出した可能性もありますが」


「いや、それは無理があるだろ……」


 こんな状況で動物園なんて機能してるわけがない。

 だが。


(……タイミングが良すぎる)


 アラームの直後。


 そして、走り去る馬。


「……偶然か?」


 そうは思えなかった。


「……念のため、強化しておくか」


 俺は小さく呟く。


「未来」


「うん」


「この前の“植物罠”、増やせるか?」


「できるよ」


 未来はすぐに動いた。


 周囲の植物に手を触れる。


「“強化”」


 その瞬間。


 植物の質感が変わる。


 しなやかだった枝が、鈍く光る。


 内部構造が変質していく。


 タングステンへ。


 鋭く。


 硬く。


 そして――


 罠へと変わる。


「これで……」


 未来が周囲を見渡す。


「さっきより広範囲に設置できた」


「いいな」


 俺は頷く。


「もしまた来たら……今度は逃がさない」


 静かに言った。


 その言葉に、全員が小さく頷いた。


 ――数十分後。


 SPМの拠点。


 簡易的に作られた司令室。


 そこに、男は戻っていた。


 すでに人の姿へと戻っている。


「……戻りました」


 部屋の奥。


 椅子に座る男に向かって言う。


「遅かったな」


 低い声が返る。


「何かあったか?」


「はい」


 男はポケットからスマホを取り出す。


 そして、画面を見せる。


「これを見てください」


 そこに映っていたのは――


 あの建物。


 周囲とは明らかに異質な、8階建ての要塞。


「……これは」


 隊長の目が細くなる。


「この状況で……おいおい羨ましいなぁ!」


「はい」


 男は続ける。


「大量のシャドウウルフの死体を辿ったらここに……」


「そしたら、ここに行き着いた」


「……なるほどな」


 隊長はゆっくりと立ち上がる。


「監視もされてました」


「要塞レベルです」


 その言葉に、隊長は小さく笑う。 


「面白いじゃねぇか」


 一歩、前に出る。


 そして――


 静かに言った。


「……間違いないな」


 一拍。


 空気が張り詰める。


「この中に――」


「超人族が居る」


 その目が、鋭く光った。




前回の話で出てきた、アルとソックスは個人的には気に入ってます。

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