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【Monster編開始】世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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200/203

正面突破

第200話です。少し短めですが、宜しくお願い致します!



教会の中の一室。

 そこには、合計3人の男女がいた。

 豪華な調度品に囲まれた部屋の中で、金髪の女性が長い足を組みながら、苛立たしげに爪を見ている。

 化粧は少し濃く、整った顔立ちをしているが、その表情は不機嫌そのものだった。

 彼女はアメリカ人女性。

 名前はルーシー。

「はぁ……暇だわ」

 ルーシーは椅子の背もたれに体を預けながら、つまらなさそうに息を吐く。

「襲いかかってくるならくるで早く来いよって感じ!」

 待つことが苦手なのだろう。

 その声には、隠しきれない苛立ちと好戦的な空気が滲んでいた。

 すると、部屋の反対側にいた男が穏やかな声で呟く。

「ルーシー、まぁ良いではないですかぁ」

 青い瞳が特徴的な短髪のロシア人男性。

 名前はウラジミール。

 口調は丁寧だが、その笑みにはどこか底の見えない不気味さがある。

「いつ来るか分からないこのドキドキした時間を楽しみましょう」

 ルーシーは露骨に顔をしかめた。

「えぇ!?」

 そして、足を組み替えながら声を荒げる。

「アタシはウラジミールみたいには待てないわぁ!」

 彼女は拳を握り、口元を吊り上げた。

「生意気な奴らを早く蹴散らしてやりたいのよ!」

 ウラジミールは、困ったようにため息をつく。

「はぁ……」

 そして、部屋の隅へ視線を向けた。

「ワンさんを見てみて下さい……」

 そこには、1人の男が座禅を組んでいた。

 丸顔で目が細く、男性用のチャイナ服を身に着けた中国人男性。

 彼の名はワン。

「彼は座禅で身体だけではなく、精神を鍛えているのです」

 ワンは目を閉じたまま、静かに呼吸を整えている。

 しかし、ルーシーは鼻で笑った。

「何を、こいつはただの酒飲みジジイでしょ?」

 ウラジミールは肩をすくめる。

「相変わらず、ルーシーは口が悪いですね……」

 3人の間には、奇妙な余裕があった。

 東京側が攻めてくる。

 そう知らされているにもかかわらず、慌てる様子はない。

 むしろ、待っている。

 獲物が自分達の前に現れるのを。


 ◇


 その時だった。

 ドンッ!!

 教会全体を揺らすような、凄まじい衝撃音が響き渡った。

 壁が震え、天井から細かな埃が落ちる。

 3人は一瞬だけ音のした方向を見る。

 だが、すぐにルーシーがニヤリと笑った。

「やっと来たわねぇ……!」

 ウラジミールも、ゆっくりと立ち上がる。

「では、動くとしますか……」

 座禅を組んでいたワンも、静かに目を開けた。

 そして、何も言わずに立ち上がる。

 悠真達の殴り込みが、ついに始まったのだ。


 ◇


 時間は数分前に遡る。

 夜。

 教会の周囲から一般市民がいなくなったことを、未来の偵察で確認した悠真達は、正面突破の準備を整えていた。

 大坂にある《Monster》の本拠地。

 その巨大な教会を前に、悠真は静かに息を吸う。

 そして、スキルを唱えた。

「スキル、《日常生活》で《派遣》、そして《警備》!」

 次の瞬間、悠真の周囲にお馴染みの面々が姿を現す。

「呼ばれて飛び出てアルです!」

 最初に現れたアルは、召喚された瞬間、手に持っていた機関銃をクルクルと回した。

 そして、派手に決めポーズを取る。

「チャキーン!」

 自分で効果音まで口にした。

 その横で、ソックスが冷静に呟く。

「効果音は自分で言うんだな……」

 そして、少し遅れて悠真へ頭を下げた。

「あっ、ソックスです……」

 アルは頬を膨らませる。

「良いじゃんかぁ!」

 そして、キラキラした目でソックスを見る。

「いつも最高にカッコいいけど今日は特にカッコよく登場できたよね?」

 ソックスは少しだけ目を細めた。

「動きを入れたのはセイコがうらやましくなったから……」

 アルは胸を押さえる。

「それは言わない約束であります……」

 その直後、どこからか音楽が流れ始めた。

 先に現れたのは、ラジカセだった。

 そこから流れるのは、子犬のワルツ。

 軽やかな音楽に合わせて、セイコが優雅なバレエダンスをしながら姿を現す。

 くるりと回り、最後に美しくポーズを決める。

「決まりましたわぁ〜!」

 アルが思わず叫ぶ。

「いや、どっからラジカセ出したんだよっ!!」

 ソックスはそんなアルを横目で見る。

「アル……お前もなかなか良かったよ……」

 アルは逆に傷ついた顔になった。

「いや、急な慰めはやめるであります!!」

 戦闘直前とは思えないほど、いつもの空気だった。

 さらに、多くの警備隊と共にガドラーも姿を現す。

 ガドラーは悠真の姿を見るなり、感極まったように両手を広げた。

「あぁ……!!」

 そして、深く頭を下げる。

「我が君っ!!」

 顔を上げたガドラーの瞳は、いつも通り輝いていた。

「本日もカッコいいお姿、眼福でございます!」

 警備隊達も整然と並び、いつでも動けるように構える。

 すると、その後ろで異常なほど目を輝かせている者がいた。

 夏山京樹である。

「あー、悠真さんの伝説の警備隊だぁ!!」

 夏山は両手を握りしめ、震える声で呟く。

「生で見れるなんて死んでも悔いはない……」

 その言葉に、アルがぴくりと反応した。

「……何? 伝説って言った?」

 夏山は勢いよく頷く。

「はい、それはもうっ!!」

 アルの顔がぱあっと明るくなる。

「君はなかなか見所があるでありますなぁ!」

 夏山とアル。

 妙な方向で相性が良さそうな2人だった。

 だが、このまま放っておけば、いつまでも話が進まない。

 悠真はパンッ、パンッと手を叩いた。

「ほら、今からMonsterに殴り込みに行くんだから集中してくれよ!!」

 ソックスが申し訳なさそうに頭を下げる。

「申し訳ありません、うちのアルが……」

 アルはすぐに反論した。

「アルだけなんてあんまりですぅ!!」

 悠真は苦笑しながらも、教会へ視線を戻す。

 中に一般市民はいない。

 未来の偵察も終わっている。

 あとは、乗り込むだけだった。


 ◇


「とにかく、先ずはド派手に一発入れるぞ!」

 悠真はセイコを見る。

「セイコ、やれるな?」

 セイコは胸に手を当て、自信満々に笑った。

「オーッホッホッホ!」

 そして、両手にいつもの魔法のステッキを召喚する。

「淑女に不可能なんてありませんわぁ!!」

 セイコは教会を見据えた。

「いきますわよ!」

 次の瞬間、セイコの身体がもの凄い速さで回転し始める。

 優雅なバレエの動き。

 だが、その周囲に生まれるのは、優雅さとは程遠い暴風だった。

 空気が唸る。

 砂埃が巻き上がる。

 竜巻のような風が、セイコの周囲に渦を巻く。

 そして、セイコはそのまま教会へ向かって突撃した。

 回転する淑女が、巨大な教会の壁へ一直線に迫る。

 次の瞬間。

 ドンッ!!

 凄まじい衝撃音が響き渡った。

 教会の壁が砕け、石片が飛び散る。

 煙が一気に広がり、周囲を白く包み込んだ。

 その衝撃は、教会の奥にいる者達にも届くほどだった。

 やがて煙が晴れていく。

 そこには、大きな穴が開いた教会の壁があった。

 正面突破。

 その言葉にふさわしい、あまりにも豪快な入り口だった。

 悠真は思わず頷く。

「流石、セイコだ!」

 セイコは誇らしげに胸を張った。

「これくらい、当然ですわ!」

 悠真はその穴を見据える。

 アルが機関銃を構え、ソックスが静かに周囲を確認する。

 ガドラーと警備隊達も、一斉に戦闘態勢へ入った。

 陸斗、未来、浮田、ルドルフ、阿川、今井兄弟、夏山。

 近藤と世紀末漢隊のメンバー達。

 全員が、次の一歩を待っている。

 悠真は深く息を吸った。

 ここから先は、《Monster》の本拠地。

 銀武尊の支配する教会。

 関西の人々から、祈りと引き換えに奪い続けてきた場所。

 悠真の目に、静かな怒りが宿る。

「行くぞ!」

 その一言を合図に、悠真達はセイコが開けた大穴へ向かって一斉に突撃を仕掛けた。



節目の200話達成です!!


ただ、200話目なのに、構成上の都合で短くてごめんなさい……。

でも、皆さん200話ですよ!!

気分屋で飽き性の自分がここまで続けれたのは皆様のお陰です!

さぁ、Monster編もエンジンフルスロットルで宜しくお願い致します!!

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